歯の痛みの原因として考えられるものには虫歯や知覚過敏などがあります。両方とも甘い物や冷たい物がしみることがよくあります。まずここで痛みのメカニズムについて少し説明していきます。歯は外側からエナメル質、象牙質、歯髄(神経)という3層の構造をしています。そして歯根の周りはエナメル質にかわりセメント質とよばれる組織で覆われています。歯の頭部の外層であるエナメル質はとても固く虫歯になりにくい部位です。でもその内側にある象牙質は柔らかく、虫歯が広がりやすいうえに痛みを感じやすい部位です。象牙質にはエナメル層との境目からさらに内部にある歯髄まで放射線上にのびている無数の象牙細管とよばれる微小なトンネルがあります。そこには「組織液」という液体が流れていて急激な温度変化が加わると体積の変化により管内を移動します。この液体の移動する刺激が歯髄に伝わり、中の神経を興奮させ痛みとしての感覚が生じるわけです。また、冷たい、熱いといった温度刺激だけでなく、甘い物によっても浸透圧の変化が起こり、組織液の移動が生じ痛みとしての感覚がおこります。そしてなんらかの原因でエナメル質やセメント質がけずれて薄くなったり、象牙質が露出してしまうと刺激が象牙質に伝わりやすくなります。
原因の一つの虫歯とは口腔内のミュータンス菌と呼ばれる中性の虫歯菌が食後残った糖分を摂取、分解発酵させ、乳酸を生成し、歯を溶かして穴をあけてしまうことです。知覚過敏とは歯ブラシの毛先が触れたり甘い物や冷たい物があたったときに歯に感じる一過性の痛みです。虫歯や神経の炎症などの病変がないのにおこる症状をいいます。知覚過敏用の歯磨き粉は、1日2回1カ月くらい持続して使うことにより、削れてしまったエナメル質を再強化させ、歯をしみにくくする効果があるので使ってみるといいと思います。ただ、虫歯か知覚過敏かを見極めるにはX線をとり、歯科医による検診を受けることが非常に大切です。様子をみることによって悪化させてしまうこともあるので、6カ月毎の歯科検診はもとより、症状があるときは必ず歯科医にみてもらい、虫歯の有無を確認し、虫歯の処置、知覚過敏ならその適切な処置法を相談する必要があります。