賀川 裕美先生
親身な漢方・丁寧な鍼灸をモットーに賀川漢方クリニックで診療。CA州鍼灸師で、米国東洋医学会認定の東洋医学師。家族の慢性疲労が針灸と漢方で治ったのを目の当たりにしたことをきっかけに東洋医学に魅了される以前には、東京工業大学で理学博士号取得後IL州アルゴン国立研究所に勤務、現在はCA州NASAエームス研究所にて宇宙での微生物利用の研究にも従事。
年々生理痛が重くなってきている気がします。 漢方や鍼に興味があるのですが、どのような効果が 期待できますか?(30代女性)
 生理痛が重いのは漢方では主に瘀血(おけつ:血の滞り)ととらえます。血が滞る原因はいくつか考えられます。一つめは気の滞りによるものです。漢方では気が血を体のすみずみまで行き渡らせていると考えますので、その気が滞ってしまうと血も滞ってしまいます。気の滞りの主な原因はストレスです。やりたいようにできない、物事が思うように進まないという状態は気がのびのびと自由に動くのを妨げてしまうからです。2つめは冷えです。水が氷になると流れなくなるように、血も冷えると動きにくくなって滞ります。3つめは血虚(けっきょ)、つまり体を潤して栄養を与えるための血が虚している状態です。水が豊富な川では舟はスムーズに動いていきますが、水が枯れると舟は止まってしまいます。それと同じように血は虚していると滞りがちになります。無理なダイエットや行き過ぎたベジタリアン、出産、ケガや大病、長年の重い生理出血などは血虚をまねく要因の代表的なものです。4つめは痰飲・水毒などの障害物によって血の運行が邪魔されるために滞るものです。これは太った人や、消化系が弱い人などに見られることが多いです。
 ご質問の方の場合の瘀血がなぜ起こったか、なぜ年々重くなってきているのかは体格、顔色、食欲、睡眠、便通、生理の特徴、他の症状、生活習慣や腹診などから推察し、瘀血を解消するにはどうしたらいいのかを考えます。もしストレスによる気の滞りが原因なら、気のめぐりを良くする漢方薬や鍼がおすすめです。もし冷えが原因であれば、温める漢方薬やお灸がいいでしょう。血虚が原因であれば食事や生活を見直し、血を補う漢方薬を薦めます。痰飲・水毒が原因であれば痰飲や水毒を取り除く漢方薬や体重コントロールが必要かもしれません。どの漢方薬が合うのかは最終的には試してみないとわかりません。合わない場合には、何か好ましくない反応が飲み始めて1週間以内に出ることが多く、1週間飲んでも好ましくない反応がでなければ1カ月くらい続けます。少しでも良いようであれば3カ月くらい続けてみます。生理は月1回なので3カ月くらいは観察しないと漢方薬の効き目の判断ができません。生理痛が軽くなってもう大丈夫になったら様子をみながら少しづつ漢方薬を減らしていき、最終的には漢方薬なしでも大丈夫になるのが理想です。

(BaySpo 2017/12/15号 掲載)
有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.