捻挫をした後にそのまま適切な治療を受けずに誤魔化してしまう方はよくいらっしゃいます。捻挫がきちんと治っていない状態でランニングなどを行うと、痛めた足首そのものはもちろん、不自然な走り方を続けることで、代償動作によって身体のほかの部分に負担がかかってしまい、そのうちに別の場所に痛みが出てくることもあります。
一般的に多い、内反という内側に足首をひねった時におきる捻挫のケースでいえば、基本的に足首の外側を守る靱帯や筋肉を損傷します。そして捻挫を放置している人に多く見られるのが、足首の背屈といわれる足首を中心に足を自分のほうに引き上げる動きの減少、または消失です。足関節を構成する骨同士の、本来あるべきわずかな「遊び」ともいえる動きが阻害されることで、関節が本来あるべき機能を果たさなくなって動きの制限や痛みが起こるようになります。
またヒトの身体には、自分の身体が空間において今どう位置しているかという情報を読み取るProprioceptorという受容体が、筋肉や腱、靱帯や関節に存在しており、それらの情報が脳に送られて統合されることで、リアルタイムで自分が空間においてどのように位置しているかを認知することができるProprioceptionというシステムがあります。捻挫などで筋肉や筋肉や腱、靱帯や関節を損傷するとこのProprioceptionに異常をきたして、正しい自分自身の身体の位置情報を認知できなくなります。捻挫がクセになるというのは、損傷した部位そのものが弱くなっていることもそうですが、このProprioceptionのシステムに異常をきたすことにも由来します。治療としてはまず足首の関節の機能を元に戻す、あるべき関節の動きをスムーズに痛みなく行えるようにすることを考えます。これにはカイロプラクティックのアジャストメントや関節のモビリゼーション、また筋・筋膜療法などが含まれます。もし足首だけでなくそれを原因として既に別の場所にも問題があるのであればそちらもケアします。それと並行してProprioceptionを回復させるトレーニングも行います。
捻挫を放置しておくと、人の基本的な動作である立つ、歩く、走るといった部分に影響を与え、様々な問題を引き起こす原因となるので、きちんとした治療を受けられることをお勧めします。