紀平 昌保医師
医学博士。名古屋市出身。名古屋大学医学部卒業。旧日本整形外科認定医。日本での医師歴7年。1992年よりアメリカで診療。アメリカ家庭科学会認定医。ホームドクターとして全科(内科、小児科、外科、婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、精神科)、健康診断・人間ドック、理学療法担当。
食中毒と風邪の見分け方について。もともと頭痛があった時に、ちょっと庶民的な中華料 理店でランチ。その時に食べたエビがやや臭く...。晩になり熱と腹痛がスタート。その後、 嘔吐、下痢で2日寝込みました。風邪なのか食中毒なのか不明です。 食中毒のよくある症状を教えてください。(40代男性)
 食中毒の一般的な症状は、腹痛、下痢、嘔吐、発熱です。まさにお尋ねの方の言う症状です。ここで「もともと頭痛があったとき」ですから、「ひょっとして風邪かな」と思われたのでしょう。体調が悪いときにどうも悪いものを口にされたということでしょうか。風邪の症状はやはり、発熱、のどの痛み、咳、鼻水です。ですから腹痛、下痢、嘔吐、発熱という症状では風邪というには無理があります。アメリカではよく腹痛、下痢、嘔吐、発熱の症状の場合にStomach Fluと言います。日本語では胃腸風邪でしょう。これは風邪というよりウイルスによる胃腸炎の症状で、Fluと言いながらインフルエンザとは全く関係ありません。
 食中毒とは、有毒な「細菌、ウイルス、化学物質、毒素、寄生虫」などを口から摂取して上記の症状を起こす疾病です。同時に同じものを食べても一人だけ症状が出たら食中毒というか、食あたりと食中毒。集団食中毒はどう違うのかという問題はさておき、代表的なものに下記(A)(B)があります。
 
(A)細菌性食中毒
@毒素型食中毒
古くなったおにぎり、すしなどに増殖する黄色ブドウ球菌。ソーセージ、発酵食品で増殖するボツリヌス菌等の毒素によるもの。
A感染型食中毒
感染により体内で増殖することにより毒素を発生するもの。卵、内臓肉からのサルモネラ、未加熱の魚介類からのビブリオ、肉類からのカンピロバクターや、病原性大腸菌。
B両方の性質を持つ中間型
ウェルシュ菌やセレウス菌。
(B)ウイルス性食中毒
 ノロウイルス、ロタウイルスが代表です。ノロウイルスの場合、人から人へ、または飲食を介して感染するため、感染性が強く、老人ホームなどの環境では多数の死者を出しうる場合もあります。ロタウイルスは乳幼児を対象に経口の予防接種を行っています。実際の診療の場では、いかにもウイルス性の胃腸炎で「これはノロウイルスでしょうか?」「ロタウイルスでしょうか?」と聞かれることがあります。多くの場合それなりに健康な方が外来に受診されるわけで、ノロだろうがロタだろうが、たいていの場合一過性のもので、対症療法をすれば短い間に回復されていきます。ですので特に調べることもありません。
 いずれにしても、健康上の問題が起こったときは早めにかかりつけの医師にご相談ください。

(BaySpo 2018/04/20号 掲載)
有澤保険事務所

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