痛風はプリン体を含んだ食品の食べ過ぎで起こるわけではなく、プリン体の分解物である尿酸の体外への排出が何らかの原因で遅くなることで尿酸が体内に過剰に残ってしまうために起こります。原因は遺伝による場合や生活習慣・環境による場合があります。この方の場合は肥満でもなく食べ過ぎ飲み過ぎもないということなのでもしかすると遺伝が原因かもしれません。尿酸は新陳代謝によりどうしても体内で生産されてしまうものなので、排出を早めることが痛風発作の予防に大切になってきます。
痛風の急性期の代表的な症状は、足の親指の関節が赤く腫れてひどく痛むというものですので、漢方では湿熱が体にたまっていると考え、湿熱を取り除く竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)などの方剤を用います。急性期でないときは尿酸の排出をできるだけ早めて発作を予防したいので、排出作用を高めるような猪苓湯(ちょれいとう)などの方剤を用います。
ただこれは一般論で、その人がどんな体質か、丈夫な人かひ弱な人か、暑がりか寒がりか、潤したほうがいいのか乾かしたほうがいいのか、などによって合う漢方薬は違ってくるので、実際は顔色や体格、しゃべり方を観察し、食事・睡眠・便通・運動・生活習慣・ストレスレベル・その他に何か気になる症状がないかなどについて質問し、総合的に判断して一番合っていそうな漢方薬から順に試していきます。そして飲んでみてどのような反応があったかフィードバックをいただきながら本当に合う漢方薬に出会うまで試行錯誤をしていくということになります。
たとえば同じ痛風という病名でも寒がりな方の場合は、先ほど述べた湿熱を取り除く冷やすタイプの方剤ではかえって悪化し、温めるタイプの桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)や当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)が良い場合もありますし、それほど寒がりではないが血行の悪いタイプの方の場合は疎経活血湯(そけいかっけつとう)がいい場合もあります。またお医者さんから処方されている薬を飲んでいるけれど副作用があって続けにくい場合などには、西洋薬を治療の主役とし漢方薬で副作用を抑えるということもできる場合があります。ご相談下さい。