紀平 昌保医師
医学博士。名古屋市出身。名古屋大学医学部卒業。旧日本整形外科認定医。日本での医師歴7年。1992年よりアメリカで診療。アメリカ家庭科学会認定医。ホームドクターとして全科(内科、小児科、外科、婦人科、整形外科、皮膚科、耳鼻科、眼科、泌尿器科、精神科)、健康診断・人間ドック、理学療法担当。
BBQで牡蠣を食べたら、翌日頭痛と体調不良に悩まされました。 食べ物によって頭痛が起こることはあるのでしょうか? それとも、他の原因が考えられるでしょうか。(20代女性)
 まず、原因のよくわからない頭痛がかなりあります。ですから、原因は何でしょうか、何でしょうかと尋ねられても、答えが無いことがかなり多いということです。次に、牡蠣といえばノロウイルスです。十分に加熱してなかった可能性もあります。その食中毒症状のなかに頭痛は含まれます。脱水が原因となることが多いようですが、腹痛や吐き気がなくとも、軽い食中毒症状であった可能性もあります。

 一方、食べ物で頭痛の原因になる物もよく知られています。その代表的な成分はチラミンです。血管を急激に収縮させ、その後血管が拡張し頭痛を引き起こします。チラミンはタンパク質が分解されてできる物質で、よく熟成したチーズ、ヨーグルト、発酵食品である納豆、燻製食品、赤ワインやビール、チョコレートなどに多く含まれます。また、赤ワインやチョコレートには抗酸化作用で良く知られるポリフェノールやカフェインが多く含まれ、これらの物質も血管の収縮拡張に作用します。
 アルコールは脳血流を増加させる作用があり、また食品保存剤や添加剤として使われるSulfate(亜硫酸塩−酸化防止剤として赤ワインに含まれる)、Nitrate(硝酸塩−チーズ、清酒、食肉製品に含まれる)、調味料や添加剤としてのMSG(グルタミン酸ナトリウムー味の素、うまみ、中華料理店症候群等として知られる)等も頭痛の原因となります。
 その他の例を挙げれば、ホットドッグ、ハム、ソーセージ、ベーコン、ピーナッツ、ピクルス、玉ねぎ、アボカド、ドライフルーツなど、もうほとんどすべての食品が頭痛の原因になりうるのです。 

 ここまで原因になりえそうなものが揃うと、そのBBQで食べられたものが牡蠣だけということもないでしょうから、また、赤ワインでなくともアルコールはつきものですから、結局この方の頭痛は何が原因だったかはよくわからないままです。
 今回のBBQの話からは離れて、どうも御自分の頻発する頭痛の原因を食品と疑っている方は、食べもの日記をつけたらどうでしょうか。実際頭痛が起こった場合と、また起こらなかった場合も参考になるかもしれません。犯人が分かるかもしれません。

(BaySpo 2018/08/10号 掲載)
有澤保険事務所

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