矯正治療中の痛みは個人差があるものの、みなさん経験すると思います。矯正装置を装着、または調節して大体4時間前後から痛み出す場合が多く、ただその痛みはいつまでも続くわけではなくて2〜3日で自然に治まり、1週間も経てばなんの痛みも感じない患者さんがほとんどです。なので矯正治療期間中、歯がずーっと痛いわけではないのでご心配なく!
ではなぜ歯が痛むのか。矯正装置等が与えた力によって、歯が歯茎の骨の中を動く前に、骨の中の毛細血管や神経にプレッシャーが加わります。この時起こる一時的な炎症や血の巡りの変化から私たちは痛みを感じます。その後、数日経って痛みを感じなくなってもまだ歯は動き続けているので「痛くない=歯が動いてない」と心配している方、安心してくださいね。
本題のこの痛みの対処法ですが、アセトアミノフェンやイブプロフェンのような鎮痛薬が適しています。イブプロフェンは長期間的に使うと歯の動きを遅らせる作用が認められているのですが、歯の痛みに対して数日の間服用する程度なら問題ないでしょう。研究では矯正装置の調節前に痛み止めを飲んでおくと、後から感じる痛みが減少されるという結果も出ていますので、是非試してみてください。
矯正治療中の不快感は歯から感じる痛みだけではありません。お口の中が矯正装置に慣れるまで少々時間がかかります。矯正装置も常に進化を遂げて、大きさや形に工夫はされているものの、違和感があるのは当たり前。唇の内側や舌に矯正装置やワイヤーが当たることで口内炎ができたりするときは、専用のワックス等を使って傷が早く治るように工夫してあげてください。毎回アポイントメントが終わったら、帰る前に何か痛いところはないか、必ずチェックしましょう。そして次のアポイントメント前にワイヤーが長くなってきたり、左右にシフトしてしまったりしたら、我慢せずに担当医に連絡してください。
アメリカでは「Beauty is pain」というフレーズがあり、矯正治療にも痛みは付き物です。でもなるべく治療中の痛みを軽減し、患者さんが不快な思いをせずに、美しくなおかつ機能的なスマイルをゲットするお手伝いをしたいと思っています。