中野柔道塾では4〜8歳のキッズクラス、9〜13歳のジュニアクラス、初級クラス、中上級者クラスにわかれ、最近始めたばかりのママさん柔道家や日本から続けている黒帯のビジネスマンなど多様な生徒が日々稽古に励んでいます。還暦を過ぎて白帯から始めた方もいるそうで「何歳からでも始められるという点は日本と違うところかもしれません」と中野先生。日本で生涯スポーツとうたわれている柔道を老若男女問わず楽しんでほしいというのは先生の願いでもあります。土曜日のオールレベルクラスで年齢関係なく乱取りが組めるのは「柔能く剛を制す」柔道らしいところ。力の差は当然ありますが、とくに子どもにとってプラスが大きいと先生は考えています。家族で参加して親子で組み合えばわが子の成長を体感できる貴重な機会になりそうです。また道場のあるジムには世界チャンピオンが直接指導するブラジリアン柔術のプログラムも併設されています。
取材ではキッズクラスを見学。ヨガボールでじゃれあっていた子どもたちも、クラスが始まると表情が一変。整列して正座をし「礼!」という号令に合わせた挨拶から稽古が始まりました。前転や後転、開脚前転や側転などまるで器械体操のようなウォームアップは身体の柔軟性を高めバランスを鍛えるトレーニングとして取り入れています。「投げて投げられてといろんな体勢を取る柔道では受け身が大切。ケガを防ぐためにもウォームアップと受け身の練習をしっかり行います」と中野先生。打ち込みを続ける子どもたちの目は真剣そのもの。先生は終始そばで見守りながら子どもたちの集中が途切れないように適宜指導を行います。クパチーノからお子さんを通わせているというお母さんは「先生はほめてモチベーションを上げてくださるのが上手。テクニックも詳細まで丁寧に教えてくださるので、子どもも理解しやすいようで『技が決まるようになるのが楽しい』と進んで通っています」と話してくださいました。
中野先生は現役時代、60キロ級、66キロ級日本代表として長らく活躍。現在は強豪サンノゼ州立大柔道部のコーチも務めロンドン五輪メダリストをはじめ世界トップレベルの選手たちを指導しています。そんな先生が同塾で重んじることのひとつは日本の柔道文化の伝導。アメリカで多いレクリエーションとしてのJudoではなく、正統派の柔道を教え礼儀作法もきちんと身につくよう指導しています。もうひとつは強さを追求する柔道。「競技スポーツである以上勝つために努力するという空気を作りたい」と熱く語ります。心身ともに鍛えることができるのも柔道の強み。子どもたちの変化は顕著で数カ月で成長が見えてくると言います。「礼儀正しい人材を育てたい。そして将来のオリンピック代表を輩出するのが目標です」。
まったくの初心者が日本代表経験者からマンツーマンで指導を受けられるのは、本場日本でも滅多にないチャンス。全米でも柔道が盛んな地域のひとつであるサンノゼで始めるのもいいきっかけになりそうです。