不妊治療を受けるご夫婦は、その治療期間が長くなれば長くなるほど不安、焦り、苛立ちなどのストレスに苦しんでいます。そのストレスが同じ目標へ向かうパートナーへ向けられてしまうと、苦しみは増すばかり。浅尾先生は、そんな患者さん一人ひとりの状況を丁寧なコンサルテーションで把握し、鍼灸、漢方などによる体質改善や、ストレスからの解放を目指す施術を行います。そして東洋医学の経験と実績に基づき、不妊治療に効果があるツボへの鍼治療を行うことで、妊娠へ導くのだそうです。物理的な施術はもちろんのこと、患者さんが胸の内を明かしてくれるコンサルテーションから既に治療は始まっていると言う浅尾先生。西洋医学的な不妊治療にギブアップし消沈しきった患者さんや、「藁をも掴む思いで訪れました」という切羽詰まった患者さんたちは、心の声をぽつりぽつりと話すうちに、時には怒りながら、時には涙を流しながら吐き出すのだそう。先生はそんな患者さんに寄り添い、リラックスさせてから施術を行うことで、効果を高めると同時に患者さんとの間に信頼関係を築くことに努めています。当院では、日本とアメリカの西洋医学で6年以上の不妊治療に挑んでいた患者さんが、浅尾先生の鍼治療を続けた結果たった2カ月で妊娠したり、一旦不妊治療をお休みして、リラックスや体質改善のための施術を続けていたところ妊娠に成功したりといった実績が積み上げられています。

浅尾先生は、文明の発展によって得られる便利さと引き換えに、すぐに薬に頼り、人間が本来持っている機能「自己治癒力」が低下してしまうのはとても残念なことだと話します。ストレス、冷え、加齢などの理由から体の免疫力が低下すると、あらゆる悪い症状が現れますが、その症状に効果的な「薬」というのはほとんど存在しないのが現実です。薬による治療ではなく、東洋医学的なアプローチによって気(エネルギー)を開き活性化させ、血液や体液の流れを整えて免疫力を高め、本来持っていた自己治癒力を呼び覚ますことでこそ、不調を本当に取り除くことができるのだそう。体からのサインを見逃さず、早めの対応をすることは、病気を未然に防ぐためのメカニズムなのだと教えてくれました。

東洋医学の治療は、即効性の施術と、体質改善のような遅効性の施術の2通りに分類されます。即効性の施術としての具体例は、ぎっくり腰を患い、這いながら来院した患者さんを、歩いて帰れるまでに回復させたり、花粉症で鼻詰まりに困っている患者さんに鼻通りを良くするツボの鍼治療を施すことで、スッキリと鼻が通るようにしたりといったもの。一方、同じ花粉症であっても、鍼灸や漢方でじっくり体質改善を行い、翌年の花粉症が緩和されるといった治療は、遅効性の施術の代表例です。
春先に多く発症するとされているぎっくり腰や鬱のような症状は、冬の間に蓄積された冷え、疲れ、ストレスなどが芽吹きの春のタイミングで排出されるプロセスに則っています。浅尾先生は、「これからの冬は、冷えや疲れに注意し、ストレス軽減を意識して、春に潜む不調の予防を心がけてほしい」とアドバイスしてくれました。