一般編  Vol.167
服部 信子さん
1969年東京生まれ。高校時代に1年間オハイオ州に留学。立教女学院短大卒。大手金融会社勤務時代に心理学の道へ進むことを決意。2004年、Alliant International Universityにて博士号(Ph.D)修了。2006年、カリフォルニア州臨床心理士免許取得。現在ペタルマにて開業。成人への個人心理カウンセリングを行っている。日米ケアネットワークを通して東日本大震災復興心のケア支援にも協力。
経験は一つも無駄にならない
高校時代のアメリカ留学後、帰国して逆カルチャーショックになった経験から心理学に興味を持ったという服部さん。現在はセラピストとして仕事をする服部さんに、ベイエリアでの暮らしぶりについて伺いました。
服部 信子さん

(Nobuko Hattori)BaySpo 1336号(2014/07/04)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1987年から日本とアメリカを行ったり来たりしながら、1998年にイーストベイに引っ越すことで、ベイエリアの住人となりました。ノースベイに移ってから今年で12年になります。

ベイエリアの印象
 アメリカの他の地域に比べて、文化も人種も多様でなじみやすく、気候も過ごしやすいので快適ですね。豊かな自然が身近にあることも嬉しいです。

自分の専門分野について
 臨床心理士、英語ではLicensed Psychologist、またはセラピストという仕事をしています。日本語では「セラピー」よりも「カウンセリング」のほうが一般的だと思います。アメリカでは良く利用されているサービスですが、日本人は敬遠しがちかも知れません。かくいう私も実際に受けてみるまでは、心理学に興味はあるけどカウンセリングは「私には不要!」と頑なになっていました。けれどもひょんなことがきっかけで受けることになり、初めてその良さと大切さを実感。色々な面で妨げになっていた心の「癖」に気づいたり、自分としっかり向きあう中で起こった、「眼からうろこ」というような体験は、私にとって一生の宝となっています。
 私の専門分野は、怒りや恐怖感といった強い感情との付き合い方の改善や、長期にわたり心と体に影響を残す『トラウマ』と呼ばれる出来事からくる症状の緩和・解消です。トラウマを経験された方は、それを思い出したくないがためにカウンセリングを避けたくなるものですが、トラウマの後遺症は時間がたっても自然改善されにくいという特徴がある一方、近年ではトラウマ経験の詳細を語らなくてもできる、効果的な療法が確立されてきているので、是非とも専門家に一度会って、少しでも楽になって頂けたらと願っています。
 カウンセリングから得られることは多いですが、近寄りがたいのも確かなので初めての方にもお気軽にご相談頂けるように心がけています。また、問題が大きくなる前ならば短期間でいい結果に結びつきやすいので、そのようなカウンセリングの利用を広めたいと思っています。

その道に進むことになったきっかけ
 高校時代のアメリカ留学から帰国後、逆カルチャーショックに長く悩まされ、そんな自分を理解したいという思いが心理学に興味を持つ始まりでした。20代で初めてカウンセリング的なことを経験して、本格的に心理学を学ぶという方向性が固まりました。

英語で仕事をするということ
 英語を話すときの自分と、日本語で話すときの自分の違いに気づくのがおもしろいです。

英語で失敗したエピソード
 覚えていないほど沢山・・・。自分で気づかなかったことはもっと沢山あるんでしょうね。時々あったパターンは、クライアントが言っている言葉の意味がわからず、そのうち話の筋からわかるだろうとわかった振りをしていたのに結局わからず、後から相手に聞いて信用を失ったり、後から自分で調べてみて、ちぐはぐな応答をしていた自分に自己嫌悪になるというもの。知ったかぶりするとろくな事はありませんね。(笑)

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 今と同じ仕事を続けたいですが、一般や専門家向けのワークショップやセミナーを開くことに対してもっと積極的になるかもしれません。

あなたにとって仕事とは?
 大好きなことであり、ありがたいこと。楽しいことも苦しいことも、どんな人生経験でも一つも無駄なく全部仕事に生かせるので、それが自分の喜びにも支えにもなっています。一人の方と本音で深い会話ができ、信用を分かち合い、それが仕事になるということだけでもありがたく、それを通して人の役にたてることはこの上なく嬉しいです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 獣医。子供時代はよく捨て猫や、捨て犬を連れて帰りました。家では鳥を沢山飼っていたので、犬猫は飼わない方針だったので、近所の家をたくさんまわって貰い手探しをしました。(初対面の人に話しかけるのが平気なのはその経験のお陰かも)

いまの仕事に就いていなかったら
 この先カウンセリングから離れることは考えられませんが、この道に進んでいなかったら会社員を続けていたと思います。

現在、住んでいる家
 ソノマ郡ペタルマ市にある一軒家に家族と住んでいます。

乗っている車
 Lexus RX330

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 7時起床、12時就寝が多いですね。早起きは苦手です。

休日の過ごし方
 家族と家でのんびりしたり、気分次第でガーデニングや散歩をするのが好きですが、子供の行事や習い事関係に付き合うことが多いです。

好きな場所
 家。

最もお気に入りのレストラン
 ペタルマにあるイタリアンレストラン、Cucina Paradiso。手作りのパスタがとても美味しいです。オークランドにあるベトナム料理のレストラン、Le Cheval。

よく利用する日本食レストラン
 ロナートパークの花と、サンラファエルのSushi to Dai for。

1億円当たったとして、その使い道
 そう聞かれてみると10万から50万円くらいでできそうな、細々したことは沢山思いつきますが、まずは1億円あると自分の気持ちにどんな変化が起こるのかを観察。でも、自分で稼いだお金でなく、無条件でもらったり、当たったりしたお金であれば、少しだけ使わせてもらって、残りはもっと必要としている人や団体に寄付しそうです。

最近日本に戻って驚いたこと
 心のケアに関する情報がマスメディアで増えたこと。食と健康への関心が一層高まっていたこと。流行の幅が広がっていたこと。

日本に持って行くお土産
 エコバッグ、Trader Joe’sのお菓子やアメリカらしいスナック菓子、グリーティングカード、ソノマ郡のワイン。
日本に郷愁を感じるとき
 年末年始など日本の季節の行事があるころ、日本のお風呂が恋しくなる冷え込む夜。

お勧めの観光地
 ヨセミテとシエラ山脈。

永住したい都市
 日本の地方都市かベイエリア。

5年後の自分に期待すること
 何事ももっと楽しみながらすること。

最も印象に残っている本
 『アルジャーノンに花束を』(ダニエル・キイス)、『壬生義士伝』(浅田次郎)、『SYBIL』(ベンジャミン・ディズレーリ)。

最近読んだ本
 仕事関連の専門書ばかりですが、好きな分野なので楽しみながら読んでいます。

最も印象に残っている映画
 『レナードの朝』、『ライフ・イズ・ビューティフル』。

最近観た映画
 『ミラクル・ツインズ』。日本人の母とアメリカ人の父を持つ、難病を抱えた双子の方のドキュメンタリーで、私自身の人生の捉え方を見なおすきっかけになりました。

自分を動物にたとえると?なぜ?
 イルカ。家族やグループを大切にしながらも気ままな感じがするので。

座右の銘は?
 「していることがしたいこと」。イヤイヤ「やらされている」ように感じることも、実は無意識のうちに「他の嫌なことよりもましだから」と、自分で「選んで」しているもので、それを自覚することで心が落ち着いたり、その事に対するもっと相応しい取り組み方があることに気づかせてくれる、自分自身への戒めの言葉です。

(BaySpo 2014/07/04号 掲載)

▲Topに戻る

有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers
Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
2695 Moorpark Ave, Ste 101, San Jose, CA, 95128
http://www.arisawaagency.com

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.