一般編  Vol.191
田鍬 修平さん
スタンフォード大学生物学科ジュディス・フリードマン研究室Research Associate。大阪大学医学系研究科博士過程修了(医学博士)。現在はデングウイルス複製と進化に関するシャペロンの意義について研究中。趣味:培養、放浪、写真、姪観察。
やりたい事が仕事という幸せ
6年前にベイエリアに来て、スタンフォード大学生物学科の研究室にて病原ウイルスを研究している田鍬さんに、ベイエリアでの暮らしぶりについて伺いました。
田鍬 修平さん

(Shuhei Taguwa)BaySpo 1416号(2016/01/15)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 日本で大学院を卒業後、進路先を決め損ねていた2008年に現所属の研究室の教授が、日本滞在されている間のアテンドを仰せつかった事が縁で留学が決まり、2010年春からスタンフォード大学で働いています。国内思考というより、海外で働く選択肢やイメージを持っていなかった自分にとって、「ある意味、島流しの刑にあったようなもんだよなぁ」なんて思っていました。本当にアレヨアレヨという間に進んで行った印象があります。

ベイエリアの印象
 街というより人が飄々(ひょうひょう)としているなぁと。良い意味で根無し草な印象を強く持ちました。あとベイエリア限定ではないかもしれませんが、とにかく全てが新鮮に見えて、車の前を通り過ぎる、今ではわずらわしく感じるリスにさえ感動して写真を撮ったものです。ちなみに渡米後買った自転車を、4日で施錠を切断され、盗まれた時は、「これがアメリカに住むという事か・・・」と思いました。

自分の専門分野について
 病原ウイルス学が専門です。ウイルスは細胞内寄生体で、宿主細胞の色々な機能を盗用して自己増殖します。その一つにタンパク質の形を整えるシャペロンという分子があります。現在は、昨今話題のデングウイルスをモデルに、ウイルスがどの様に宿主細胞のシャペロンを利用して増殖し、そしてシャペロンがどの様にウイルス進化に影響するのかを明らかにするため日々研究しています。

その道に進むことになったきっかけ
 子供の頃はホラー映画が苦手で、人間の手の届かない存在を克服したいという願望があったのでしょうか。高校時代にダスティン・ホフマン主演、致死性の高いウイルスに立ち向かうSF・サスペンス映画、『アウトブレイク』という映画を見て、ウイルスに興味を持ったのが始まりだと思います。

英語で仕事をするということ(英語を使うということ)
 6年目ですが、いまだに英語は苦手で、ある意味あきらめてコミュニケーションツールの一つという認識で割り切ってやっています。足りない分は身振り手振り、そしてプレゼン資料を充実させれば、言うほど困らないという感じですかね。

英語で失敗したエピソード
 研究室に到着した1日目、「When did you arrive?」とラボメイトに聞かれた時に「When %&$ alive?」としか聞き取れず。「生きてる? ってどういう事? 俺そんなにゾンビみたいな疲れた顔か?」と言われたと勘違いして、「I’m fine!」と答えた事が初めての失敗エピソードです。留学直後の会話はレコーダーで録音していて、今聞くと恥ずかしい失敗エピソードは満載です。まぁ今でも失敗続きですが。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 もう少し楽に研究していると思います。研究に打ち込まずに遊びに出ている可能性も否定はできませんが。

あなたにとって仕事とは?
 「仕事」はお金を稼ぐための生業という認識ですが、自分のやりたい事が仕事になっている自分は本当に幸せ者だと思っています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 サメの免疫や生態を研究したいと思っていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 漁師。性格的には趣味で何かを養殖しながら、近海漁業しているような気がします。

現在、住んでいる家
 一軒家のマスターベットルームを間借り(ホームステイ)しています。

乗っている車
 Mitsubishi Eclipse spider

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 何もなければ夜11時には寝て、朝7時に起きる、8時間睡眠 15分昼寝が出来ればベストです。

休日の過ごし方
 誘われればどこぞのパーティーに顔を出し、無ければ昼は大学で実験して、夜は一人で焚き火を見ながら瞑想しています。

好きな場所
 研究室、さらに厳密にいうと顕微鏡が置いてある暗室ですが、表向きにはゴールデンゲートブリッジということにしています。

最もお気に入りのレストラン
 「ビストロナカムラ」

よく利用する日本食レストラン
 「Sushi Tomi」

1億円当たったとして、その使い道
 統一感あるキッチン用具一式を何通りか買い揃える。

日本に戻る頻度
 年1回が基本で、学会や結婚式があればプラス1回という感じにしています。

最近日本に戻って驚いたこと
 テレビ画質が綺麗すぎて毛穴まで見えること。「テレビに出る人は大変だなぁ」と思いました。

日本に持って行くお土産
 ギラデリチョコレートやカリフォルニアワインです。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 酒と醤油です。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 美味しい醤油が手に入らない事と、日本のようなコンビニがない事です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 正直あまりないですね。良いところですし。

日本に郷愁を感じるとき
 持ち帰った日本酒を飲んで、「ボーッ」としている時。

お勧めの観光地
 国立公園は何処に行っても楽しいので、オススメですね。

永住したい都市
 Zihuatanejo(メキシコ·ゲレーロ州のシワタネホ)です。

5年後の自分に期待すること
 10年後を見据えて邁進していて欲しいです。

最も印象に残っている本
 村上春樹の『ノルウェーの森』です。退廃的な空気感というか、ああいう大学生活に憧れていました。

最近読んだ本
 Zlatan Ibrahimovicの『I AM ZLATAN』です。英語表現の勉強の一環で読み始めたんですけど、参考にするとずいぶん高飛車になるため、あまり参考にはならないなと思いました。

最も印象に残っている映画
 仕事柄、『アウトブレイク』であるべきなのでしょうけど、映画的には『処刑人』が一番です。

最近観た映画
 『The Martian』(邦題『オデッセイ』)です。限られた時間と資源で生き残る姿に感銘を受けました。

自分を動物にたとえると? なぜ?
 ネコあるいはスナフキン。人が嫌いな訳じゃないけど一人旅とか一人遊びが好きだから。

座右の銘は
苦しまずして栄光なし。

(BaySpo 2016/01/15号 掲載)

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