一般編  Vol.197
ケンモツ 順子さん
静岡県沼津市出身。1989年に渡米。バークレーに住んで19年。家族構成はいつも家でサックスを練習している夫、Jujitsuで身体を鍛えている25歳の娘、フィルム作りを勉強している22歳の娘、オーストラリアキャトルドッグの雑種犬、私の4人と1匹。趣味は、ボサノバやジャズのスタンダードを歌うこと。日本語教育者、日本語を母国語とするコミュニティに貢献するソーシャルワーカー。ひまわり会ウェブサイト:himawarikai.org
先人たちの苦労と努力を敬う
日系三世のジャズサキソフォーンプレイヤーのボブ・ケンモツと結婚、1997年からバークレーに住み、ソーシャルワーカー、Tomodachi Programインストラクター、ひまわり会の役員と3足の草鞋をはくケンモツさんに日頃のくらしぶりを伺った。
ケンモツ 順子さん

(Junko Kenmotsu)BaySpo 1426号(2016/03/25)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 初めてアメリカに来たのは1988年です。そのころ私は日本でジャズボーカルを習っていて、友達グループとニューヨークに旅行で行った時に、夫であるボブ・ケンモツ(日系三世のジャズサキソフォーンプレーヤー)と知り合いました。友人に赤い糸で結ばれた二人だと言われましたが、その通りに結婚。アメリカで結婚生活を始めました。1994年には、夫が日米両政府が後援する、National Endowments for Arts(NEA Grant)という、芸術家を日本に送る奨学金を得て日本に戻り、その時小さかった子どもたちと、埼玉県狭山市を生活の基盤にしました。1997年、ストックトンに住んでいた夫の両親や親戚からのラブコールと、娘たちをアメリカ人として育てようと思ったことで帰国。夫の両親からそれほど遠くなくて、サンフランシスコに近くてリベラルな雰囲気がある郊外の街に住もうと考えバークレーを選びました。

ベイエリアの印象
 最初に来たころは、なんて素晴らしい気候に恵まれた地域だろうと感動しました。今でもそう思います。果物や野菜が新鮮で美味しく、日本の食料品にもことかかない。進歩的な考えを持つ人が多く住み暮らしやすい。子供達が学校に行き始めると、多言語、多民族、多文化が共存していて、それぞれが主張しつつ尊敬し合うようにして存在していると感じました。また、日系人移民達の先人の苦労と努力がなかったら、私たちが今のように暮らすことは到底できていないと思います。

仕事についての質問
 3月で、4年間勤めたサンフランシスコ日本語補習校の勤務を終了しました。現在は、サンフランシスコとイーストベイを中心にソーシャルジャスティスの活動をしているAsian Pacific Islander Legal Outreachという非営利団体で、ソーシャルワーカーとして、高齢者の法律のケースマネージメントをする仕事をしています。それから、毎年夏には、UCバークレーのTomodachi プログラムのY-PLANのインストラクターをしています。東日本大地震の翌年に始まった初年度のプログラム作りから関わっているのでとても思い入れがあります。そのほかボランティアで、「ひまわり会」という日本語を母語とする者同士のコミュニケーションをサポートする非営利団体のボードプレジデントをしています。会の主な活動は、ニュースレター発行、古本市、新年会、ワークショップ、バス旅行、ピクニック、年末の老人ホーム訪問などです。

自分の専門分野について
 わたしの専門分野はソーシャルワークです。子育てをしながらサンフランシスコ州立大学でHealth Educationの学士号を取得し、その後同大学のソーシャルワーク修士課程を修了しました。高齢者対象のソーシャルワークに加え、市政や行政の仕組みに興味があったので、ソーシャルアクションフォーチェンジという概念も勉強。それらは、ひまわり会の運営や東北の若者を教える時にも役立っています。

英語で仕事をするということ
 英語が話せて書けるのは、仕事をする上で当たり前だと言われてきたので苦労しています。いまだに苦手なのは英語でのスピーチです。特に即興となると実力が試されている気がするので緊張します。リラックスして自分の言いたいことを堂々と言えるように努力しますが、終わった後は自分を「がんばったね」とほめます。ほめるということは素晴らしいことで、ほめるということを忘れないように心がけていました。

英語で失敗したエピソード
 渡米したころに、ピザを一切れ食べたいと思ってお店へ行った時、「A piece of cheese pizza, please.」と言ったら大きなピザが出て来て、説明もよくできなかったので、大きなピザを抱えて家に帰ったことを覚えています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼稚園の先生です。父が8人兄弟の長男なので、お盆や年末になると大勢の小さい従兄弟たちが泊まりがけで来るのを心待ちにしていました。子供達が集るととても楽しかったので、ずっと幼稚園の先生になりたいと思っていました。

現在、住んでいる家
 バークレー市内の大通りに面した一軒家に住んでいます。バートの駅に近く、電車が出る2分前に家を出れば間に合う便利なところにあります。

乗っている車
 2004年製のHonda CRVです。ホンダの狭山市工場で組み立てられた車です。狭山市に住んだことがあったので、それが分かった時はうれしくてすぐ買いました。いろいろ直しながら12年も乗っています。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 夜は11時から12時の間に寝るようにして、朝は7時頃起きます。7時間睡眠が平均です。

休日の過ごし方
 音楽を聴きに行くことが多いです。わたしはボサノバ系の音楽が好きなので、そのジャンルやスタンダードジャズの歌の練習をしたり、近くのカフェやコミュニティのイベントで歌うこともあり、その他は家族の用事や、お友達のイベントに呼ばれたりすることが多いですね。

1億円当たったとして、その使い道
 天から降ってきたようなお金は、コミュニティのために使いたいので、社会に役立つ持続の可能性がある事業を計画したいです。昨年は日本文化と食事をテーマにした独立型高齢者アパートの構想を練っていましたが、今年はテーマを変更して、オランダにあるような認知症の人でも自由に過ごせる施設を考えています。食料品店やレストラン、カフェ、庭園などがあって、その中では自由に歩けるそうで素晴らしいなと思います。日本の文化を盛り込んだそんな施設をイーストベイに作れたら素敵ですね。

よく利用する日本食レストラン
 バークレーの「キララ」です。今年は、ひまわり会の新年会も開催させていただき、美味しいお正月料理をいただく満員の盛会でした。ご近所の「てまり」は家庭的なレストランでホッとする雰囲気なので気軽に行きます。どちらのレストランもお寿司が美味しいです。

日本に戻る頻度
 年に一度は帰るように心がけています。雑貨店を経営し、絵を描くことが趣味の母に会いに行きます。83歳の母は幸い、弟夫婦と同居しているので心強いです。

日本に持って行くお土産
 なるべく地元に関係しているもの。Peet’s Coffee(バークレーが発祥地なので)、Trader Joe’sのカリフォルニア産ナッツ、バークレーのチョコレート屋さんChocolatier Blueのチョコレート、ハーブティー、それから夫の演奏が録音されているCDなどです。

日本からベイエリアに
持って帰ってくるもの
 鰻の蒲焼きです。静岡県沼津市の実家の近くの鰻屋さんで、新鮮な鰻の蒲焼きを真空パックにして売ってくれます。母が私の家族のために持たせてくれるので感謝しています。

お勧めの観光地
 都市の喧噪を離れてリラックスできる近場の観光地ではボデガ・ベイがいいですね。シーフードや牡蠣をグリルするレストランがあり、海岸沿いのハイキングもおすすめです。ロシアンリバーの河口あたりで夕日を眺めるのは最高です。

最も印象に残っている映画
 ドキュメンタリーフィルム、『The Cats of Mirikitani』(邦題:ミリキタニの猫)です。主人公はニューヨークに住む80歳のホームレスの画家です。プロデューサーとの思わぬ出会いから始まり、驚く発見の数々と奥深いところで人間愛を感じながら最後はジーンとくるフィルムです。

最近読んだ本
 渡邊奈々著の『社会起業家という仕事 チェンジメーカーII』という本をひまわり会の古本市で見つけました。社会起業家(社会を良くする変革を目的に仕事をしている人達)が、どうやって自分と周りを変えてきたかについて書いてあります。

座右の銘
 詩人のマヤ・アンジェローが70歳の誕生日に言った、「I’ve leaned that making a 『living』 is not the same thing as 『making a life』.」。この言葉が好きで、机の脇に飾ってあります。

(BaySpo 2016/03/25号 掲載)

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