一般編  Vol.202
三浦 茜さん
アーリーステージの米国スタートアップ企業を支援するベンチャーキャピタル「Scrum Ventures」でマーケティングVPを務める。日経MJに寄稿ほか、ライターとしても活動中。米国の新サービスやサンフランシスコ関連情報を「Be Magnetic!」にて発信している。
米国スタートアップトレンドを発信
サンフランシスコでベンチャーキャピタルのマーケティングVPとして働きながら、シリコンバレーの新商品やサービスの情報、体験談を中心としたブログも執筆。スタートアップ情報やトレンドなどを日本に紹介している三浦さんの暮らしぶりを伺いました。
三浦 茜さん

(Akane Miura)BaySpo 号(2016/05/12)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 2014年、結婚をきっかけにサンフランシスコに住みはじめました。あっという間に2年が経ちました。

ベイエリアの印象
 大企業もスタートアップも新たなサービスをどんどん生み出していて活気があるエリアだと思います。新しいことや挑戦を受け入れる雰囲気も好きです。来米当初は人と目が合うと、笑顔で返してくれることに驚きました。調べたところ多民族国家ゆえ、敵意を持っていないことを示す必要があったという背景があることを知り、なるほどと思いました。大きな季節の変化がないので住みやすい反面、時が経つのが早く感じます。

自分の専門分野について
 ライター、編集者、プロデューサーとしてウェブメディアに関わる仕事をしてきました。日本語で伝える仕事が自分の専門分野だと自負しています。現在はScrum VenturesというベンチャーキャピタルでマーケティングVPとして働いています。Scrum Venturesは日本、韓国、台湾といったアジアの企業からファンドのお金を集め米国のスタートアップに投資している会社です。私は主に日本向けのマーケティングを担当しています。日本の皆さんにサンフランシスコ、シリコンバレーのスタートアップの情報や注目されているテクノロジー、ビジネストレンドなどを自社メディアやイベントを通じてお届けしています。来米時は特に仕事のことは考えていませんでしたが、自分の強みが活かせる仕事に就くことができて良かったと思います。Scrum Venturesとの仕事とは別にサンフランシスコに住んでいることを活かして、自身のブログ「Be Magnetic!」を運営したり、日本のメディアに寄稿させていただいたりもしています。

その道に進むことになったきっかけ
 子どもの頃から本や漫画など読むことが好きで、書き手を支援する仕事をしたいと思い、ネットメディアの会社に就職しました。新卒で就職した会社は社員数人のスタートアップだったので、メディア運営に関わらずなんでもやる必要があり、なんでもやってたら最終的に社長になりました。そんな流れもありメディアだけでなく、ビジネスモデルにも興味があるので、ベイエリアの新サービスを試すのが趣味です。

英語で仕事をするということ
 英語と日本語50/50で仕事をしています。英語はまだまだ苦手です。両方の言葉を実際に使うようになって、言語に含まれる文化的な違いなどにも気づくようになりました。日本語にはあるけれど、英語にはない言葉、逆に英語にしかない言葉など発見があっておもしろいです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼稚園のころ、ケーキ屋さんになりたいと思っていたのですが、みんなとかぶるのがイヤで卒園文集には「お金持ち」と書いてました。ソファーに座って、まわりにお金が舞っている絵が描かれています(笑)。

乗っている車
 車は運転しません。もっぱらMUNIかUberかLyftで移動しています。1日も早く自動運転カーが普及することを祈っています。

休日の過ごし方
 日本に住んでいた時は3連休でカンボジアに行ったり、深夜バスで国内旅行したりアクティブでしたが、最近は家で寄稿原稿やブログをかいたりしています。またドラマのシーズンを一気見するのが好きです。たまに友人宅でのバーベキューに呼んでもらい、お肉とビールを楽しんでいます。バーベキューの機会が頻繁にあるので肉好きとしては嬉しい限りです。

1億円当たったとして、その使い道
 自分の会社の投資先は面白い会社ばかりなので、自社のファンドに投資したいです。それから老後はキャンピングカーかヨットで旅したいのでどちらかの購入資金にしたいです。

好きな場所
 リビングのコタツ。日本で買うよりはだいぶ高かったですが、フル活用していると思います。そろそろしまわなくては・・・と思いつつ、思い切れません。

最もお気に入りのレストラン
 ファイナンシャルディストリクトにあるイタリアンレストラン「Cotogna」です。「Turtle Tower」のフォーも好きです。

よく利用する日本食レストラン
 「Delica」さん。オフィスでケータリングをする際にもよく利用させてもらっています。レストランではないですが、美味しい和食が恋しくなったら、恭子さんの料理教室「Gochiso Kitchen」に参加しています。料理を学びつつ、本当に美味しい和食が食べられるのでオススメです。

日本に持って行くお土産
 前回の帰国の際は、Technology meets CHOcolateのTCHOのチョコレート、女優から起業家になったジェシカ・アルバのHonest Companyのクリームやリップをお土産にしました。日本にないもので、できれば簡単なエピソードを話せるようなものをお土産にしたいと思っています。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 紀伊國屋、成城石井、富澤商店などに行って、ちょっと良い食材を買って帰ります。混ぜご飯の素など、ご飯に合う食材は日本ならではかなと。またKindle版が出ていない書籍も買ってくるものリストに入っています。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 ランチなどで「軽く食べる」ということができない点。コンビニも適度なファストフードもないので「ちょっと食べる」ために考える必要があるのは不便だと思います。一方で普段ランチにUberEATSやSprigなどを活用しているので、オンデマンドサービスの充実は本当に便利だと思います。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 家賃や生活費の高騰。ランチでサラダに15ドル払ったり、自分の感覚がおかしくなっている気がします。

日本に郷愁を感じるとき
 疲れた時に「温泉に入りたいなー」と思います。Facebookに満開の桜の写真が並んでいる時にも、桜を見に帰りたいと思いました。

お勧めの観光地
 サンフランシスコに遊びに来た人には、Walt Disney Family Museumをお勧めしています。ウォルトの娘が作ったミュージアムで、ウォルトの一生を垣間見ることができます。ディズニーのファンタジーな世界ではなく、人物にフォーカスしていて、ディズニー好き嫌い関係なく楽しめると思います。代表的な観光地を見た後は、Rainbow Groceryでのお買い物がローカル気分も味わえて、おもしろい食材もたくさんあるのでオススメしたいです。

5年後の自分に期待すること
 あまり太らないでほしいと思います。サンフランシスコに来てから体重が増加傾向なので。

最も印象に残っている本
 美内すずえの『ガラスの仮面』。おそらく人生で最も繰り返し読んでいる本だと思います。状況に合わせて仮面をかぶるという対応は人生においても役立っています。

最近読んだ本
 英語学習のため、英語の本を意識的に読んでいます。最近読んでいるのは、『Improv Wisdom』です。Improv(即興)は日本にいる時には知らなかった概念ですが、Googleやマッキンゼーなどこちらの企業では社員教育などで活用されていると知り興味を持ちました。フォートメイソンセンターにある、BATS Improv TheatreでImprovのワークショップに参加したことがあるのですが、数時間でも即興力が鍛えられていることを感じることができました。即興力を訓練によって改善することができるというのは大きな発見でした。

最近観た映画
 『Something Ventured』。なぜシリコンバレーでベンチャーキャピタルがうまれたのか? についてのドキュメンタリーです。最近ネットフリックスのドキュメンタリーカテゴリの作品をよく見ています。

座右の銘
 「見る前に跳べ」。普段は慎重なタイプだと思いますが、人生たまには見る前に跳ぶことも大事かなと思っています。

(BaySpo 2016/05/12号 掲載)

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