一般編  Vol.204
廣田 智也さん
兵庫県姫路市で生まれ、人生の大半を関西で過ごす。神戸大医学部を卒業し、岡山県で精神科医として3年間勤務した後に渡米。テネシー州のナッシュビルで3年間の成人精神科研修を終え、2015年7月よりUCSFにて児童思春期精神科の専門研修(フェローシップ)を行うためベイエリアに移住。医師として、そして自宅では双子の父として日々研鑽中。
予想外を楽しもう
2012年テネシー州ナッシュビルに渡米。昨年からはサンフランシスコのUCSFで児童思春期精神科のフェローシップをされている廣田さんに、ベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
廣田 智也さん

(Tomoya Hirota)BaySpo 1435号(2016/05/27)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 現在の職場(University of California San Francisco UCSF)でこどもの精神科の専門のトレーニングが決まり、2015年6月末にベイエリアに引越しました。2012年の7月に渡米してから3年間テネシー州のナッシュビルという街で成人の精神科のトレーニングをしていました。それ以前は、何度か数カ月海外に滞在したことを除けばずっと日本での生活でした。

ベイエリアの印象
 6月末に到着した際に、何と湿気の少ない住みやすい地域だと感動したことを覚えています。

自分の専門分野について
 こどもの精神科(児童思春期精神科といいます)を専門にしています。18歳以下の発達や感情、行動の問題などが主な対象です。しっかりと診断し、治療につなげることは他の医学の分野と共通していますが、目の前のこどもたちが青年・成人になるときは今のこの問題・症状がどのように変わっていくのだろう、自分は彼・彼女らに今何をするべきで何をするべきでないか、と定点観測ではなく、こども自身の成長・発達を考慮しながら、あれこれやっていくところがこの分野の醍醐味だと考えています。

アメリカでこの道を学ぶことを
選んだきっかけ
 人種・文化・その他もろもろにおいて多様性を排除しないこの国で、個々人と家族と社会がどのように作用しあって、それらがどのようにこどもたちに影響を与えているのかを臨床の現場で経験したい、と思ったことが一番の理由です。

英語で失敗したエピソード
 随分前に、面接旅行に出掛けていた時、アトランタの空港内のハンバーガー屋で南部訛りのとても強い英語で色々質問する店員に対して、疲れていたのとよく聴き取れなかったことが相まって、「No、No」と言い続けた結果、バンズに肉だけ挟まれた不細工なハンバーガーを手渡されました。振り返ってみると、おそらく中にトマトやチーズや玉ねぎ入れるかどうかの質問をひたすら断り続けたのだと思います。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 多分英語圏でない国に住んで、今の仕事をしていると思います。
あなたにとって仕事とは?
 考えるきっかけを与えてくれるものです。こういう仕事をしているので、日常の臨床で耳にすることのほとんどが、自分にとって非日常的なものです。そういった非日常のものから湧いて出た疑問を調べて、時には研究のテーマにして・・・という感じです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 学校の先生です。

いまの仕事に就いていなかったら
 うーん、思いつきません。もう少しこの分野を突き詰めていけば違ったことに目がいくかもしれません。

乗っている車
 ホンダのPilotです。テネシー州からカリフォルニア州までルート40を一緒に横断した愛車です。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 午前1時から1時半ごろに就寝、6時半ごろに起きることが多いです。

休日の過ごし方
 仕事(オンコール業務)以外は家族と過ごすことがほとんどです。コストコで車のトランクに入るだけ色々買い込んだり、市内を観光したりしています。

好きな場所
 フェリービルディングの周辺にいるととても落ち着きます。学生時代に過ごした神戸の街と少し似ているからかもしれません。美しい海とベイブリッジの見える景色が好きですね。

1億円当たったとして、その使い道
 とりあえず家族が熱狂的に好きなディズニーランドにもう一度いって、その帰りに最近クパチーノにできたと噂の「くら寿司」でお皿が積めなくなるほど食べて・・・、あとは家族がOKならメキシコでルイス・バラガンという人の建築を巡る旅がしたいです。

最もお気に入りのレストラン
 「Kingdom of Dumpling」です。店自体は洒落た感じは全然ないのですが、ここの小籠包がサンフランシスコでは一番美味しいと思います。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 10ドルや20ドル札で運賃を支払おうとしても路面電車ミュニの運転手さんがお釣りをくれないことです。1ドル札かコインしか受け付けないって・・・。

最近日本に戻って驚いたこと
 Wifi環境をみつけるのが大変で、メールなど連絡のやり取りに苦労しました。

日本に持って行くお土産
 トレーダージョーズの品物が多いです。気軽に買えて心惹かれるお土産がアメリカには少なく感じますね。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 ふりかけの爆買い、菓子、本などです。テネシー州に住んでいた頃はうどんの乾麺や缶詰などもっと色々買って持ち帰ってきましたが、ベイエリアは結構こういったものが良心的な価格で手に入るので、次回日本に帰るときは何か別のものをトランクに詰め込めそうです。

日本に郷愁を感じるとき
 日本の友人が、フェイスブックで僕の好きな食材を使った料理をアップしているのを見てしまったときです。ただ、ベイエリアに移ってきてアジア食材が手に入りやすくなり、家で食べられる日本料理が結構増えたので、日本料理を恋しく感じることは随分減りました。あとは、くるりの曲をYoutubeで聴いているときになぜか日本が恋しくなります。

永住したい都市
 海外だとスペインのバルセロナかシンガポールで、日本だと関西に比較的近い西日本です。バルセロナは昔ポルトガルからスペインをゆっくり巡ったときの旅の最終地点で、自分の好きな建築物が街にうまく調和していたので、ああここに住んで目的もなく街をゆっくり歩きたいな、という場所です。シンガポールは学生時代に1、2カ月病院実習のため滞在していました。中華、マレー、インドの食文化が中途半端に融合せず、むしろかなり強く主張しあっていたので、どこの屋台・フードコートで食べても美味しいんです。

お勧めの観光地
 アメリカ内だとアルバカーキ(国内引越しのときに車で数時間立ち寄っただけですが、魅惑的な街でした)、国外だとギリシヤのメテオラ、クロアチアのドブロブニクです。この二つの街はどちらも学生時代にバックパックを背負って旅している時に立ち寄って印象深かったところです。メテオラは崖の上の修道院が、ドブロブニクは青い空とオレンジと白を基調にした街の色の調和が素晴らしいです。

5年後の自分に期待すること
 自分のことばを持った人になりますように。今多くの人から受けている恩を絶対忘れないように。

最も印象に残っている映画
 『Life is beautiful』です。映画の前半と後半部分の対比に心が揺さぶられました。

最近観た映画
 『Frozen』ほかプリンセスの登場するディズニー作品を多数、家族と一緒に観ました。わが家はかなりディズニー色が強くなりました。

;最も印象に残っている本
 イシグロ・カズオの『わたしを離さないで』と、ベルンハルト・シュリンクの『朗読者』。後者の映画化されたのも観ましたが、小説のほうが断然深みがあったように思います。

最近読んだ本
 ここ最近読書ができていなかったので、イシグロ・カズオの一番新しい作品『Buried Giant』を近々読もうと思っています。

座右の銘
 日本を発つ前に、職場の先輩が書いて下さった、「Enjoy the unexpected(予想外を楽しもう)」。

(BaySpo 2016/05/27号 掲載)

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