一般編  Vol.206
永井 邑なかさん
13歳の時、実母の影響で大森英櫻氏の食養(マクロビオティックス)に出逢い、大学受験を機に大好きだった肉食を止める。大学卒業後は航空会社に勤務。そのころ初めて大森氏に出会い、食養と姓名学の教えを受ける。2000年長女妊娠を機に完全穀物菜食の生活を始め、マクロビオティックス創始者の高弟から直接学び独自のマクロビオティックスを深める。2004年長男、2007年次男を自宅出産。これまで指導した日本人、外国人は2000人近い。
マクロビオティックスな人生を歩む
子どもの成長に合わせて東京田園調布から山梨県小淵沢、その後ハワイ島、ベイエリアへと移住し、各地で10代のころから始めたマクロビオティックを教えている永井さんに、ベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
永井 邑なかさん

(Minaka Nagai)BaySpo 1441号(2016/07/08)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 子ども達の成長に合わせて引っ越しをしてきました。一番上の娘が小学校に上がる時に、「子育ては田舎で」という夫の意向もあり、生まれ育った東京から山梨の八ヶ岳の麓小淵沢に越し、その娘が中学校に上がる時に、「子ども達は耳が固くなる前にネイティブの英会話を身に着けて、海外に住むことで広い視野を持って欲しい」と思い2014年にハワイ島に越しました。娘がミドルスクールを卒業する時、「ハイスクールはメインランドに行きたい」と言ったので、治安も良く教育レベルも高いと聞き、一人で実地見学に行った娘本人の希望もあって、2015年にサンタクルーズカウンティのスコッツバレーに越してきました。

ベイエリアの印象
 小淵沢やハワイ島の田舎に住んだ後でしたので都会で便利だと感じました。

自分の専門分野について
 中学生の時に母の影響でマクロビオティックスに出逢いました。宇宙の一部分である私達は宇宙の法則に沿った生活をすることが大切で、本来、この世に遊ぶために来ている私達は宇宙の法則に沿った生活をしていると、人生がどんどん愉快で愉しくなっていくという、「陰陽の法則に沿った生活」というのが子ども心にもとても興味深く、将来は絶対に自分の子ども達はマクロビオティックスな生き方で育てようと思いました。「本来穀物中心に食べる動物である人間は動物性食品を必要以上に摂取する必要はない」と思い、18歳の時、大学受験を機に動物性食品の摂取を一切止めました。29歳で初めての妊娠をした時に白砂糖の摂取も一切止め、完全穀物菜食の生活をしていると、どんどん人生が思い通りで、自由で愉快になり、マクロビオティックス=宇宙(自然)の法則への理解も深まり、私の生き方になっています。私が出逢った30年以上前は、マクロビオティックスを知っている人はほとんどいませんでしたが、今は多くの方が知っていて広まってきてもいます。マクロビオティックスは「あれ駄目、これ駄目」などの制限は一切なく、肉や魚は食べてはいけないといったちっぽけなことは語っておらず、「良い」「悪い」等の判断基準もなく、もっと大きな宇宙的視野で命を見つめた自由で壮大な「生き方」。自分の子ども達、子孫に繋げ、そして一人でも多くの世界中の方に伝え、皆が宇宙の一部として生きることで、個々のより愉快で楽しい人生を実現し、それが宇宙の調和、世界平和を実現していくように願いながら「講義」と「自然の法則に沿った粗食」でマクロビオティックスをお伝えしています。

その道に進むことになったきっかけ
 幼稚園から高校まで一貫教育の女子高にいたため、大学受験はとてもプレッシャーでしたが、母にマクロビオティックスを教えてくれた方が言った「動物性の食べ物をやめると集中力がつくわよ」という言葉に、子どものころから大好きだったお肉をやめてみようと思ったことです。娘が幼稚園に入るころ、周りのママ友達に、「マクロビオティックスを教えて」と言われたのをきっかけに、子育てと並行しながら自分の教室「ラ・コシナ・デ・ミナカ」を東京と山梨で開講しました。

英語で仕事をするということ
 英語でマクロビオティックスをお伝えしたことは数えるほどしかありませんが、東洋の考えであるマクロビオティックスの細かい部分を英語に訳すのはとても大変だと感じます。例えば、「お陰様で」「もったいない」「有り難い」などの言葉はその真意を訳すのが難しいように、誤解なくできるだけ正確にマクロビオティックスの哲学を英語でお伝えするのは至難の業だと感じます。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 やはり今と同じようにマクロビオティックスをお伝えし、一人でも多くの方がより幸せで愉快な人生を実現できるお手伝いをさせて頂いていると思います。

あなたにとって仕事とは?
 ライフワークです。仕事はお金を儲けることではなく、自分がその人の糧となること。夫や子ども達の夢や人生のための糧となって、妻業や母親業を務めることも大事な仕事ですし、今はマクロビオティックスをお伝えする機会をたくさん頂いていますが、子どもたちに伝えたいこと、子どもたちに継いでいってもらいたいこと、夫や子ども達に食べてもらいたい物など、夫や子ども達と同じように他の方達にも愛情を持ってお伝えし、提供することが仕事であり、それが私の生き方だと思っています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 たしか幼稚園の先生で、次が小学校の先生でした。常にお母さんになりたいという願望もありました。

いまの仕事に就いていなかったら
 妻として母としてやはり同じようにマクロビオティックスな人生を家族と共に愉しく歩んでいると思います。

現在、住んでいる家
 スコッツバレーの小さなアパートです。

休日の過ごし方
 家族とあちこち出歩いたり旅をしたりしています。

好きな場所
 山梨の小淵沢にある自宅です。

最もお気に入りのレストラン
 あまり「美味しい!」と思えるところはアメリカにはないです。

よく利用する日本食レストラン
 サンフランシスコにあるビーガンのお寿司屋さんで、「Shizen」というお店です。

1億円当たったとして、その使い道
 酵素風呂や釜土の台所がある心地よい施設を日本の自然の中に作り、多くの方が好きなだけ滞在できるようにしたいです。そこでマクロビオティックスのお料理を提供しながら、皆さんにマクロビオティックスの生活を体験していただき、心身共により充実していってもらえたらと思います。そして、田んぼを買い、そこで自然農でのお米作りをみんなでやりたいです。

日本に戻る頻度
 今は1年半戻っていませんが、この7月に戻ります。

最近日本に戻って驚いたこと
 どんどん木が切り倒され、ソーラーパネルが必要以上に増えたことです。

日本に持って行くお土産
 アメリカのビーガンのベーコンもどきや、カニもどき、チーズもどき、ソーセージもどき、サーモンもどきや、ビーガンかつ白砂糖不使用のチョコレートなどです。

日本からベイエリアに
持って帰ってくるもの
 海苔、酒粕、白玉粉など日本食材です。

現在のベイエリア生活で不便を感じるとき
 車がないと移動がしにくいことです。東京だったら子ども達も公共交通機関でどこでも移動できるのに、全て親が車で送迎しなければならないことです。

日本に郷愁を感じるとき
 四季を味わいたい時です。

永住したい都市
 スペインの南のどこかの都市かに住みたいですが、永住するのは日本がいいです。

最近読んだ本
 浅田次郎の『一路』です。

最近観た映画
 映画ではありませんが、イギリスの長編テレビドラマ『Downton Abbey』を子ども達と観ました。

自分を動物にたとえると? 
なぜ?
 猫です。人懐っこいけれど、一人でいたい時もあるから。

5年後の自分に期待すること
 自分と言う字は自然の一部分、自然から分けてもらった命と言う風に書きますが、欲や我を持たず、自然=宇宙の一部として、穏やかに愉快に暮らし続けていたいです。

座右の銘
 「自他一体」。

(BaySpo 2016/07/08号 掲載)

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