一般編  Vol.131
草野和美さん
 神奈川県平塚市出身。高校を卒業後、園田塾(ネプチューンの原田も当時所属していた)に入り、映像演劇を学ぶ。平田昆プロモーション、田辺エージェンシーなどに所属。1993年、UPSアカデミー主催の「シアター・スポーツ」 というインプロのオーディションに合格し、リン・ピアース女史に師事する。その後も、仲間ともにインプロの活動を続け、「東京Comedy Store」、「フリー4クルーズ」、「フリークルーズ」などの企画、出演をする。渡米後は、「The Kazumi and Jane Comedy Hour」として活動する。現在は、ソロ活動中。フットヒルカレッジ卒業、UCバークレー大学休学中。www.kazumikusano.com
次はLA! コメディの本場で勝負したい
数々の偉大なコメディアンを輩出する本場・アメリカで、日本人コメディアンとして挑戦を続ける草野和美さん。母国語ではない英語によるジョーク、笑いのツボの違いなど、ハンデを乗り越え、日米の文化や夫婦生活ネタを中心に笑いをとる彼女にベイエリアでの生活ぶりを伺った。
草野和美さん

スタンドアップ・コメディアン(Kazumi Kusano)BaySpo 1190号(2011/09/16)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 アメリカ留学が流行った80年代後半に漠然とアメリカにという気持ちがありました。その後、演劇を通じてインプロビセーション・コメディ(注:即興コメディのこと、以下インプロ)に出会い、本場のアメリカで勉強のため、2000年にサンフランシスコへ来ました。実は、昔付き合っていた彼氏がサンフランシスコ出身だったので、何気に気になる土地だったんですよ。旦那には内緒ですが(笑)。もちろん、本場のNYやLAも考えたのですが、当時、車の免許を持っていなかったことと、極端に暑い夏や寒い冬を避けたかったのもここを選んだ理由のひとつです。とは言っても、来てから4年間ほどは、日本とこちらを行ったり来たりしていました。日本では30歳を過ぎた独身女には厳しく、声をかけて来る男は妻子持ちばかり・・・。さすがに日本では嫁にいけないと思い、2004年頃にこちらに定住するようになりました。アメリカだとモテるんです(笑)。無事、2005年に旦那と結婚しました。

ベイエリアの印象
 最初の印象は、寒い、汚い、風強い(笑)。全部ネガティブ!でも、住んでみるとちょうど良いサイズで住みやすいですね。

スタンドアップ・コメディアンとしてどのような活動を
 週に2、3日、ネタ見せ&自己練習の為にオープンマイク(誰でも飛び入り参加できるステージ)に行きます。また、自分のネタを作り、時々クラブでショーに出させてもらってまいす。3月の日本の震災以降、義援金集めのイベントにも数回呼んでもらいました。フィッシャーマンズワーフの「Castagnola’s」にも、月に2回くらい出演しております。会場全体を上手にコントロールでき、波長があったときは最高です。人に笑ってもらうことがやっていて面白いですね。

コメディアンになったきっかけ
 日本で最初は演劇をやっていたのですが、そのうちに即興演劇に出会いました。その後、外国ではそれらをショーとしてやっていると知り、インプロにはまっっていったんです。こんなに面白いものがあるんだなぁと思いました。また、エディ・マーフィーのスタンドアップ・コメディを見て感動したことも理由の一つです。

英語でジョークやネタ探し、大変ではないですか
 ネタ探しは苦労しませんが、ジョークを作るのは大変です。昔のTVネタや文化的なことをジョークにすることもできませんし、スラングもそんなにわからないので。アメリカ人は理由を理解しないと笑ってくれないんです。

日本とアメリカのジョークの違いは何ですか
 文化の違い。日本では一般常識な事でもこちらでは理解されなかったり、その反対もあります。あと、アメリカではサーカスティックなジョークがありますが、日本ではあまり無いと思います。こちらでは日本にある一発ギャグも理解されません。「コマネチ!」(ポーズをとる)とかダメですね。

目標にしているコメディアンは? 
 尊敬している人は、エディ・マーフィー、ウーピー・ゴールドバーグ、ドリフターズ。それぞれ個性は違いますが、ただ面白い台詞を言うだけではなく、演技がすごく上手なので見ていて感動します。もう1人、サム・キニソンという方は非常に個性的だったので、彼のようなオリジナリティに溢れたものを作りたいです。

英語で仕事をすること
 日本のカタカナ英語の発音が染み付いているので、その点ではいまだに苦労してます。コメディは基本早口でしゃべりますので、それも大変ですね。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 コメディアンと俳優。俳優業の幅は今よりも広かったと思います。今できるのは外国人、移民役、無声音のCMなどになってしまいますから。

草野さんにとって仕事とは?
 生きることでしょうか。理想ですが。抽象的ですみません。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 歌手。

いまの仕事に就いていなかったら
 今はまだコメディでは食べていけてないので、仕事と呼んで良いのかわかりませんが、旅行記のライターとかでしょうか。

現在、住んでいる家
 サンフランシスコ、ジャパンタウン付近の賃貸アパートです。1920年代に立てられたEdwardian Style Buildingで、エキゾチックな雰囲気です。

乗っている車
 Toyota Corolla Wagon 91年車

休日の過ごし方
 旦那さんとご飯を食べに行ったり、カフェで話したり、海に行ったり、テニスしたりしますね。時には一日中、誰にも会わずに家で本を読んで過ごすこともあります。

ベイエリアで好きな場所
 クリシー・フィールドやベーカーズビーチ。あとは森の中も好きです。

最もお気に入りのレストラン
 Janeという近所のカフェ

よく利用する日本食レストラン
 寿司Kazu、Ten-Ichi

1億円当たったとして、その使い道
 そうですね、3割くらい投資します。あとは空から思いっきりバラ撒いて、皆のリアクションを撮影してみたいですね(ドキドキしますが)。残りは、慈善に寄付します。

最近日本に戻って驚いたこと
 姉家族とのカルチャー・ギャップ。彼女達は、海外のことを何も知らないので。

日本に持って行くお土産
 衣類や小物類。アメリカでしか買えない物を探すように心がけていますが、なかなか難しいです。この前はトレーダージョーズのお買い物バッグを友達(みんな主婦)に買っていきました。こっちでは3ドルくらいですが、日本ではネットで1500円くらいで販売されていたので、ビックリしました。

現在のベイエリア生活で不便を感じるとき
 英語が通じない時(笑)。まだ流暢ではないので、時々こちらの人にそれを逆手に取られて、理不尽なことを言われるときかな。言葉がたどたどしいとRetardedに見えるらしいです。

お勧めの観光地
 サンフランシスコでは、地元のバーやクラブでしょうか。あまり綺麗でないドラッグクィーンショーとかを友達に見せたいです。他にはロシアンリバーやナパもいいですよね。

永住したい都市
 年を取ったら、たくさんの友達のそばに住んでいたいです。

5年後の自分に期待すること
 プロのコメディアンになっていること。自分のコメディショーを定期的にプロデュースしていること。英語が上達していること。人として成長していること。ビジネスを持っていること。

最も印象に残っている本
 「原因と結果の法則 ジェームス・アレン(著)」。まだアメリカと日本を行ったり来たりしていたときに読みました。当時は自分に自信がなくビビッてた時期です。この本は、自分の考え方次第でそのようになるということを説いている本です。読んだ後、まず自分がこうなりたいと紙に書いたんです。そうしたら、3年後にはそこに書いたとおりになったんですよ!本当ですよ。この本はビビビッときましたねぇ。

自分を動物にたとえると?なぜ?
 猿。申年だし、落ち着き無いですし。今まで、猿以外の動物にたとえられたことないかも。

(BaySpo 2011/09/16号 掲載)

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