一般編  Vol.220
堂島 真弓さん
大阪出身、元バックパッカー。2001年同志社大学法学部卒業後渡米。サンフランシスコ州立大学でTESOL(英語教授法)修士取得。サンフランシスコ金門学園で子供たちへの日本語教育に従事。2007年Software and Languages, Inc. に入社。技術翻訳家、ソフトウェアローカリゼーションの Linguistic QAとして働く。2010年に第一子出産後、趣味の写真を子育てに活用、仕事とのバランスをとりながら日々子育て写真ライフに励む。2016年現在は3児の母。 www.mayumidphotography.com
子供の成長と家族の姿を残したい
人と会うこと、語学、旅好きがきっかけで留学。3人の子育てとソフトウェア会社での技術翻訳の仕事を両立させている堂島さんに、ベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
堂島 真弓さん

(Mayumi Dojima)BaySpo 1463号(2016/12/09)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
大学生のころ休みにはバックパッカーとしてよく海外(ヨーロッパ、中国、モロッコなど)を旅していました。旅先ではほとんど英語が共通語だったので、もっと話せるようになりたいと思い、大学を卒業後すぐ渡米しました。語学・人と出会うこと・旅が好き=留学、という今から考えるととても単純な動機でした。最初の1年半はサンディエゴで語学留学、その後2003年にサンフランシスコ州立大学の大学院入学を期にベイエリアに引っ越しました。

ベイエリアの印象
 2001年の夏に初めて旅行でサンフランシスコを訪れた際、濃い霧に包まれた街が幻想的で一目惚れ。夏でも涼しく、都会だけれど人も気さくで親しみやすく、地域ごとに特色があるのも面白いと思いました。2010年春から13年春までは東京に住んで、出産と育児を経験してから戻って来た時は、子育てには大変だけど楽しい場所で、子供をバイリンガルに育てるための理想的な環境だ思いました。日本と比べて保育料が高いので、年齢の近い子供たちを同時に保育園に通わせるのは大変ですが、一年を通して天候に恵まれており、広く綺麗な公園がたくさんあるので、お友だちと思いっきり公園で走り回り、のびのび遊ばせてあげられるのが嬉しいです。バイリンガル教育については、上の子供が現地校(キンダー)に通い始めましたが、クラスの9割以上の生徒にとって英語が第二言語であるようです。我が家も家ではほぼ日本語オンリーですが、現地校の先生はその方針にとても理解があり、家での母国語教育を応援してくれています。日本語デイケアや日本語学校も複数あって充実しているので、家庭の方針やスケジュールに合わせて選べるのもいいですね。

自分の専門分野について
 本業はソフトウェアのローカリゼーションで、技術翻訳、LQAをしています。別に仕事として始めようと考えているのが家族、子供写真を専門にしたフォトグラファーです。2010年からは母親業も始まり、現在3人の子育てをしています。

その道に進むことになったきっかけ
 大学院 (専攻はTESOL)卒業後は幼児教育や日本語教育に携わった仕事をしていましたが、翻訳にも興味があり、翻訳関係の仕事を探していたところ、知人の紹介で今の会社の社長夫妻に出会いました。「仕事に必要なスキルや知識はすべて教える、後は実地で経験を積み、製品知識を高めることが大事」と、一から鍛えていただきました。クライアント先のプロジェクトでプロセスの全工程に携われるのは面白く達成感があり、バージョンの進化をみるのも面白いです。今後仕事にしたいと考えている写真は、今から8年ほど前、サンフランシスコでプロのフォトグラファーとして活躍するChung Liさんのセミナーを受講して興味を持つようになりました。子供が生まれてからは毎日の子供風景を写真に撮り残しています。子育てをしていると楽しく微笑ましい場面だけではなく、顔がムンクの叫びになるようなすごい場面にも遭遇しますが、写真を撮ることで状況を客観視し、すべてがシャッターチャンスだと思えばどんな状況も比較的楽しめるようになります。あくまでも「比較的」、ですが(笑)。

英語で失敗したエピソード
 20歳を過ぎてから渡米したので、悲しくも発音に関する失敗が多いです。大学院のころカフェで、パンにクラムチャウダーが入った「Bread Bowl」を注文したら「Red Bull」が出てきたのですが、恥ずかしくて言えず、平静を装って受け取りましたが、すきっ腹にRell Bull、効きました! 3度目で「Bread Bowl」が出てきたときは嬉しかったですね。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 小学校のとき「将来なりたい職業」というテーマで作文を書くことがあって、「魔女」と書いたのを母に制止されたので「内閣総理大臣」と書いたのを覚えています。その可能性は今のところゼロですね(笑)。

いまの仕事に就いていなかったら
 今の仕事は何度か辞めようと思った時期がありました。辞めたかったからではなく、出産後や保育園に通い始めた子供が頻繁に病気にかかった時など、体力も限界に近づき、続けられないと思ったのですが、社長夫妻のご理解と励ましで今まで続けることができました。ご夫妻との出会いは何度か経験した人生を大きく左右する出会いの一つで、その後の人生がとても幸せなので、今の仕事についていなかったらと考えるのが怖いです。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 平均4〜5時間。起床午前7〜8時、就寝午前3〜4時ごろ。

休日の過ごし方
 土日も子供の補習校、習い事の送り迎えで忙しいですが、空いた時間は家族でピクニックしたり、プールで泳いだり、主人と子供たちでレゴやゲームをして過ごすことが多いです。夜は仕事をしています。連休や夏休みはキャンプやハイキング、小旅行に行くのが好きです。

最もお気に入りのレストラン
 主人と初デートで行った「Alexander's」。ステーキハウスも「The Sea」の方も好きです。

よく利用する日本食レストラン
 サニーベールの「六甲」。関西人としてはサンタクララの「鶴橋風月」の登場も嬉しいです。

最近日本に戻って驚いたこと
 大阪の子供がばりばりの大阪弁を話していたこと。5歳児が会話でツッコミを入れてきたこと。

日本に持って行くお土産
 前回日本で買うと高いMagna TilesとMagformersというおもちゃを持って帰って大喜びされたのですが、荷物がとても重くなったので、次回はもっと軽いものを選ぶと思います。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 絵本。家に子供のライブラリを作るのが夢です。後は子供のお友だちへのお土産用に可愛いふりかけやバンドエイドなど軽くて使えるもの。主人にはファイナルファンタジーグッズ。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 特にないのですが、私の実家の家族は日本、妹はアメリカ東海岸、義理の両親はミシガンに住んでいてベイエリアに身内がいないため、親業に年中休みなし。ちょっとお願い、ができないのが不便です(笑)。すべてにおいて全面協力してくれる優しい主人と素晴らしい友人に助けられているので、普段不便さを感じることはありません。

日本に郷愁を感じるとき
 空気に秋の香りがしたとき。蒸し暑い夏の日本に想いを馳せることはないのですが、秋になり冬が近づくとやはり日本が恋しくなります。12月の母の誕生日。一緒にお祝いしてあげたいです。

5年後の自分に期待すること
 フォトグラファーの道を歩み続けていること。欲がなく、決して怒らず、いつも静かに笑って包み込んでくれた母のような母親であること。これはもう少し修行が必要です(笑)。

最も印象に残っている映画
 子供のころに観た宮崎駿監督の『風の谷のナウシカ』。大好きで台詞を覚えるほど何度も観ました。今でも時々台詞が蘇ります。娘が激しくぐずっているときは「王蟲(娘)が怒りで我を忘れている・・・静めなきゃ!」とつぶやいてみたり(笑)。

最近観た映画
 『Kubo and The Two Strings』映画で流れるビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」に魅かれて観に行きましたが、ストーリーもとても面白い映画でした。上映開始1分で走り回り始めた1歳の息子を連れて主人が退出してしまったため、娘2人と私だけで観ることになったのですが、娘たちは1時間私にしがみついて泣いていました(笑)。

自分を動物にたとえると? なぜ?
 毛がふかふかの猫。マイペースで、自分のしたいことに打ち込むのが好きですが、甘えたいときにかまってもらえると嬉しいので猫でしょうか。毛がふかふかだと温かそうで居眠りが気持ちよさそう。

座右の銘は
 「笑う門には福来る」。大阪人なので(?)日々の暮らしの中でも「笑い」が重要です。アメリカ人の主人はダジャレで笑わそうとがんばってくれますが、これは笑うのが一苦労(笑)。うまくいかないことがあったときも笑顔でいるとすべてがいい方向に向かっていくように感じます。まずは自分が笑顔になる、そして人を笑顔にする。それを心掛けています。

(BaySpo 2016/12/09号 掲載)

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