一般編  Vol.236
大岡 結子さん
カリフォルニア生まれ。1歳半で帰国後、11歳の時に父の仕事の関係で再び渡米。以来カリフォルニア在住。サンフランシスコ音楽院修士課程修了。2009年ジョン・F・ケネディ・センターのミレニアム・ステージにて演奏。2012年Amalfi Coast Music and Arts Festival(イタリア)に参加、Young Artist Concertに出演。他にEastern Music Festival、Summit Music Festivalなどの夏期講習会に参加。これまでにピアノを服部真紀子、Nancy Jensen、田山由美、Gwendolyn Mok、Yoshikazu Nagaiの各氏に師事。
音楽を通して伝えたいこと
ベイエリアで生まれてすぐに帰国。小学5年生でまたベイエリアに戻り大学院を卒業。ピアノ講師として指導、レコーディングの伴奏などをしている大岡さんの暮らしぶりを伺いました。
大岡 結子さん

(Yuiko Ohoka)BaySpo 1499号(2017/08/18)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 父の2度目の駐在でパロアルトに住んでいたころに生まれたのですが、1年半で日本に帰国。その後2001年に小学5年生の夏にまた父の仕事の関係で渡米しました。

ベイエリアの印象
 アメリカに引っ越すと聞いていたので、白人の人達ばかりの場所で、「お肉をたくさん食べるのかな」と思っていました。実際学校に行くと周りはアジア人が多く、家の食卓には和食が並んでいました。違う国に引っ越すということは、違う食生活・言葉・文化に囲まれることだと思っていたので、日本人の友達もできて、日本のテレビ番組が観られ、何より日本食が食べられることが驚きでした。

自分の専門分野について
 主にピアノ講師をしています。時折コーラスの伴奏や、発表会の伴奏、オーディションやレコーディングの伴奏のお手伝いをさせていただいています。大学では主にピアノのソロ曲を勉強していましたが、クラスで伴奏や室内楽についても勉強しました。

その道に進むことになったきっかけ
 6歳の時にピアノを習い始め、日本にいる間はとても厳しい先生に師事していました。渡米後すぐにピアノを再開しなかったのですが、言葉の壁もあり上手く学校に馴染めなかったころ、少しでも自信が取り戻せるようにという母の勧めで再開しました。その後もピアノを続け、高校時代に進路を考えていたころ「他の人より少しでも優れているものがあるとしたらピアノかもしれない」と思い、その道に進むことを決意。正直なところ何時間も机に向かうより、楽譜に向かうことの方が耐えられました(笑)。

英語で仕事をするということ
 私自身が英語でレッスンを受けていた時期が長いこともあり、生徒に指導する上での専門用語や、表現を説明することに最初からそこまで苦労はありませんでした。専門分野が音楽ということもあり、言葉で分かり合えなくても、ある程度の意思疎通ができると感じることもあります。

英語で失敗したエピソード
 特に大きな失敗はなかったのですが、渡米したばかりのころは、質問の答えに対するイエスとノーの区別に慣れるのに時間がかかりました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 やはり音楽の道に進んでいると思います。ただ、今よりもっと社交的で、自分の方から色々な機会に挑戦していたかもしれません。いまだに英語できちんとやり取りができるか不安に思い、機会を逃していることがあると思うので・・・。

あなたにとって仕事とは
 自分の持っている技術や知識を生徒たちに伝えて育てることです。音楽ならではの達成感や喜びを少しでも感じてもらえればと思い、日々一人ひとりと向き合っています。出来なかったことが出来るようになるなど、生徒さんの成長を目の当たりにするととても嬉しく、また私自身も成長しなければと刺激を受けます。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 看護師です。幼いころ入院した時に、働く看護師さんたちを見てかっこいいなぁと憧れていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 何かの職人になっていたかもしれません。ピアノも一人で練習をする時間が長いのですが、一人で黙々と作業をするのが好きです。食べることが大好きなので料理関係の仕事も魅力的です。料理の世界の奥深さを追求してみたいです。

現在、住んでいる家
 サンノゼにある実家に住まわせてもらっています。

乗っている車
 HondaのCivicです。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 7時から8時の間に起床、夜は12時前後に就寝します。

休日の過ごし方
 土曜日はほとんどレッスンをしています。またリサイタルやコンサートは週末にあることが多いので、伴奏のお手伝いや聴きに行ったりしています。その他は練習したり、友達と会ったり、ゲームをしたりして過ごします。

好きな場所
 サンフランシスコにあるヘイズバレーです。学生のころ練習の合間に友達とよく行きました。個性的なブティックや靴屋さん、フレンチカフェやバー、お菓子屋さん、アイスクリーム店など何度見ても飽きません。いつもアイスコーヒーを買い、公園のベンチに座って友達と悩みの相談をしたり、息抜きをしたりした思い出深い場所です。

最もお気に入りのレストラン
 高くてなかなか行くことが出来ないのですが「Black Sheep Brasserie」です。料理にかかっているソースがどれも美味しいです。

よく利用する日本食レストラン
 最近は「やよい軒」のクパティーノ店に食べに行く機会が多いです。外で食べる日本食も美味しいのですが、やっぱり母の手作りが一番美味しいです。

1億円当たったとして、その使い道
 音大に行かせてくれた両親に親孝行をしたいです。あとは日本にいる祖父母に会うのも含め旅をしてみたいです。まだまだ行ったことのない国や、見たことのない世界遺産などを見に行きたいです。

日本に持って行くお土産
 主にクッキーなどのお菓子です(クッキーはなぜかハワイのお取り寄せです)。ただ最近は、Trader Joe'sのRosemary Marcona Almondsも気に入ってお土産によく持って行っています。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 日本にしか売っていない子供向けの楽譜などです。後はお菓子や佃煮です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 運転初心者なので、混雑時に運転するのがとても不安です。以前より車が増えたように思います。

日本に郷愁を感じるとき
 四季折々の景色が見られないときや、日本でしかない行事に参加できないときです。毎年夏にしか帰国できないので、いつかは桜や紅葉、雪景色を見られる時期に帰国したいです。

お勧めの観光地
 自然あふれる国立公園やナパバレーも捨てがたいのですが、サンフランシスコです。定番のゴールデンゲートブリッジやフィッシャーマンズワーフももちろんですが、ヘイズバレーやリトルイタリーなどもお勧めです。地区によって様々な文化があり、独特の雰囲気があります。新しいお店がどんどん出てくると思いきや、昔からの変わらないものもあり、行くたびに新しい発見や再発見があります。

永住したい都市
 都市は思いつかないのですが、国は日本がいいです。日本食が一番好きなので、日本食に囲まれて暮らしたいです。

5年後の自分に期待すること
 まだまだ講師として未熟なところばかりなので、さらに経験を積んで色々な生徒さんに対応できるようになりたいです。また音楽を通して成長できたところもあるので、自分自身も勉強を続けて音楽の知識を深めるともに、人としてさらに成長できていたらと思います。

最も印象に残っている本
 高校の時に授業で読んだTim O’Brienの『The Things They Carried』です。英語で本を読むのは苦手なのですが、夢中で読んだのを覚えています。

最近読んだ本
 中村紘子さんの『ピアニストという野蛮がいる』です。今まで知らなかったピアノの巨匠たちの裏エピソードが満載で面白かったです。

最も印象に残っている映画
 『もののけ姫』です。幼いころに初めて観た衝撃は今でも忘れられません。

最近観た映画
 実写版の『美女と野獣』。この作品もとても良かったのですが、個人的にはオリジナル版の方が好きでした。

座右の銘
 「継続は力なり」

(BaySpo 2017/08/18号 掲載)

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