ビジネス編  Vol.67
松井幸一さん
 1970年広島生まれ。1990年、大学三年時にDe Anza Collegeに3ヶ月間留学。1992年リンガーハットに就職。1997年、同社サラトガ店店長就任。2011年、リンガーハットAmerica社社長就任。盛和塾塾生。
ちゃんぽんを追いかけて
 アメリカにいながらにして日本の懐かしいちゃんぽんが楽しめる「リンガーハット・サラトガ店」。リンガーハットAmerica社社長の松井さんは自身も学生時代にこのちゃんぽんに魅了された人の一人だ。リンガーハットに就職できたらアメリカに戻れると考え、同店店長、社長として本当に戻ってきた松井さんの、ちゃんぽんに対する思いを語ってもらった。
松井幸一さん

リンガーハットAmerica社長(Koichi Matsui)BaySpo 1227号(2012/06/01)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1997年11月、リンガーハットでの転勤でベイエリアに引っ越してきました。その前には1990年、大学生の時に交換留学生としてDe Anza Collegeで3ヶ月間勉強した経験もあります。実はその留学生時代に、たまたま今のリンガーハット・サラトガ店で食事をしたことがきっかけで、アメリカで将来仕事がしたいと思うようになり、「日本に帰ってリンガーハットに就職すれば、またサラトガに戻って来れる」と思い、日本に帰ってリンガーハットの採用試験を受けました。すると、「こんなやつは今まで見たことない」と言われて見事採用してもらえたんです。

サラトガに戻ってくるまでの道のり
 1992年にリンガーハットに就職しました。それからはまずは「店長になりたい」という思いで必死に働きました。最初は埼玉で一年ほど働き、その後大阪の一号店の立ち上げに協力し、7号店まで出店しました。そこで店長になり、1997年11月、学生時代からの夢が叶い、リンガーハット・サラトガ店に店長として来ることになったんです。

ベイエリアの印象
 気候が穏やかで雨が少なく、じめじめとした時期がなくていいですね。いつも空は青いですし。

英語で仕事をするということ
 お店の中ではスペイン語、英語、日本語の順で会話をしています。もっと英語を普通に使えればと思うのですがね。スペイン語は辞書を使いながらなんとか、といった感じですが。でもスタッフとのコミュニケーションを円滑にさせるためには三か国語が必要ですが、腹を割って話せばたいていなんでもわかります。

英語で失敗したエピソード
 お店では、最初に日本から来た当初は「コーク」と「フォーク」をよく聞き間違えていたので、必ず2度聞き直すようにしていました。あとは、日常会話は問題なくても、キッチン内の機材の部品を英語で説明するのが難しかったですね。例えば機材が壊れて修理しなければいけないときに、その部品の名前やそれがどう壊れているかといった状況を英語で説明するのはとても難しかったです。

アメリカで出店するということ
 やはり、アメリカでは食べ物に対するリクエストが多いお客さんが多いですよね。ちゃんぽん屋で「具なしちゃんぽん」をオーダーするお客さんもいたりして驚きますが、どんなリクエストにもたいてい応えています。

昨今のベイエリアでのラーメンブームについて
 純粋にいいことだと思いますよ。日本の食べ物がアメリカでも流行るということは。もちろんその動向は気にはなりますが、でも、自分たちはあくまで「ちゃんぽん屋」なので、ラーメン屋とは同じ目線では見ていないです。種類が違うものなので、共存はできると思います。

ベイエリアにおけるリンガーハットの位置づけは
 ラーメン屋というと「さっと食べてさっと帰る」というイメージですが、うちは家族優先のファミリーレストランなので、どの世代の人が来てもゆっくり食べられるというのがポイントです。店内も広いですし、小さなお子様からお年寄りの方まで楽しんでいただけるお店だと思います。

配属から15年。変わるもの変わらないもの
 こちらにきて15年になりますが、15年たって変わったことはまず常連客が増えたことですかね。あとは利益体質になったことでしょうか。おかげさまで売り上げがアップしています。変わらないものは「人」です。うちのお店では10年以上働いている人がほとんどで、中には22年働いている人が2人もいるんです。長年一緒にやってきているので安心して働けます。

あなたにとって仕事とは
 生きていくための一つの手段=心を高めるための一つの方法

生まれて初めてなりたいと思った職業
 白バイ警官。「白バイ野郎ジョン&パンチ」というアメリカのテレビドラマの影響で憧れていました。

今の仕事に就いていなかったら
 警察官か航空関連の仕事でしょうか。管制塔で働いてみたかったですね。

現在住んでいる家
 2ベッドルームのアパートです。

乗っている車
 トヨタの4runner(2011)

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 だいたい6時間は寝ますね。朝は9時頃起きて、明け方3時頃寝ます。

囲み:休日の過ごし方
 バイクに乗ってツーリングか、ハイキング、キャンプに行ったりします。ヨセミテにはよく行きますね。空気はきれいだし景色も最高ですよ。特に春と秋がおすすめです。

よく利用するレストラン
 もちろんリンガーハットですね。あとは「だん」や「香風」にもよく行きます。

一億円あたったら
 家を買って、残りは貯金したいですね。あとはアメリカ一周してみたいですね。アラスカなんかも回ってみたいです。

日本に戻る頻度
 年に一度

最近日本に戻って驚いたこと
 同世代の友達が飲酒運転をやめて、バスで店に行き、タクシーでちゃんと家に帰るようになって驚いています(!)。ちゃんとそういう人が増えていていいですね。

日本に持っていくお土産
 ナパのワイン

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 実用書と饅頭、焼酎。

現在のベイエリアの生活で不便を感じるとき
 あまり感じたことはないですね。のほほんとしているので、意外にどこでも慣れてしまうんです。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 ガソリンを含める物価の上昇と、日系スーパーのものの値段。

日本に郷愁を感じるとき
 秋の山の紅葉、サラトガの箱根庭園の竹をみるとき。

おすすめの観光地
 箱根庭園(近所なので)や、アメリカに数ある国立公園。

永住したい都市
 サンノゼ。気候もいいですし、便利です。

5年後の自分に期待すること
 サンノゼ、長崎、広島で何か役に立てる仕事をしていること。長崎はリンガーハット発祥地であり、広島は自分の生まれ故郷なので、そのどこかで何かしていたいですね。あとは、サンマテオやサンフランシスコなどにチェーン展開もできたらなと考えています。

最も印象に残っている本
 『成功への情熱』稲森和夫、『ジョブズの哲学』竹内一正、『幸福なる人生』中村天風

最も印象に残っている映画
 Cast Away

自分を動物に例えると
 犬。戌年だから。あとは鼻が利くんです。

座右の銘
 至誠天動 天が揺らぐまで誠を尽くせ、という意味ですね。

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取材を終えて
 学生時代に訪れたレストランに、就職してからまた戻ってきたという松井さん。ちゃんぽんに対するものすごい情熱を感じました。ベイエリアにももっとたくさん店舗が増えてほしいです。

(BaySpo 2012/06/01号 掲載)

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