一般編  Vol.247
唐橋 秋栄さん
サンマテオ日本学園で日本語教師として生徒に日本語を教えている。日本文化の素晴らしさに気がつき、趣味であった書道を学び直し、現在は日本書道も教えている。気持ホームでは書道ボランティアとして活動するほか、書友会の代表も務める。夫、息子3人、孫5人。
書道を通じて社会への繋がりを保ちたい
3度にわたる渡米、日米二重生活の経験をもち、普段はサンマテオ日本学園で日本語教師として生徒に日本語を教える。書友会の代表として日本書道の師導や、気持ホームでは書道ボランティアとして活動する唐橋さんにベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
唐橋 秋栄さん

(Akie Karahashi)BaySpo 1525号(2018/02/16)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 夫のサンフランシスコ駐在勤務がきっかけで1970年に家族で渡米しました。1975年に日本に帰国しましたが、1980年に夫の2回目のサンフランシスコ駐在勤務で家族で渡米しました。1990年に夫は日本に帰国しましたが、家族は当地に残り日米二重生活をしました。10年後の2000年に夫がシリコンバレーのIT企業に勤務のため、再び渡米しました。そして退職後も当地在住、現在に至ります。

ベイエリアの印象
 第1印象は、緑の芝生、色とりどりにペイントされた家が並ぶサンフランシスコはおとぎの街に見えました。歩道も車道も道幅が広いこと、信号機の統制の取れた点滅にも感激しました。サンフランシスコ日本町のストリートの名前が英語と日本語に表記されていることを発見したときは驚きました。

自分の専門分野について
 ながらく主婦業の生活でしたので、自分の専門分野などとは考えたこともなく過ごしていました。しかし、最近「これが専門分野かな」と思えるものに出会いました。日本書道です。そして、書道を通じて社会への繋がりを保ちたいと願っております。普段は、サンマテオ市のレクレーションセンター、サンマテオ書友会教室、サンマテオ日本学園のアフタークラス、ボランティアでサンフランシスコとサンマテオの気持ホームなどで日本書道で教えています。生徒は気持ホームの100才以上の方々をはじめとして、サンマテオ日本学園の6歳からの子供たち、日本語を分からないけれど日本文化を理解するアメリカ人たちと楽しく書いています。

書道クラスについて
 気持ちホーム書道クラスは、他には比べようのない楽しいクラスです。シニアの方々の書道に対して前向きで真剣な気持ちが溢れています。「筆を持つのは何十年ぶりかしら、もう忘れた」と言いながらスラスラと書くのです。「昔、日本で習った」とか、この地の日本語学校、例えば「金門学園で習った」とか、あるいは「初めての経験だ」「日本語を忘れた」「姉さんは上手だった」など色々ですが、味のある感動的な書を書かれ何時も驚かされます。5年から6年前までは、気持ちホーム書き初め展を大勢のボランティアの助けを借りてユニオンバンク社交室で開いていました。100才以上の方々も参加するほど心意気のある書展でした。一方、サンマテオ日本学園の生徒たちの真面目に取り組んでいる姿は可愛いです。書き初めは2部授業に分かれ、90人ずつの生徒たちが一斉にお習字をする光景は見事なものです。学園の校歌の一節「〜小さな翼が未来の空に飛び立つ〜」を、私が心ひそかに思う時です。書道を通して文化の継承を実践出来ることは嬉しく楽しいことです。

書道の難しさ
 書道は字を美しく書く芸術です。書画一致とは言いますが、字は世の中で通用する形、筆順、書き始めた線は一回で仕上げ、二度擦りしない等の約束事があり、運筆、筆さばきの妙なのですが、これを理解するまでが生徒も私も辛抱の時です。

桜祭りで楽しみにしていること
 北加桜祭りでは、書友会書展を開きます。書展会場に来てくださる方々に、書友会の日頃の練習の成果を見て頂ける嬉しい時です。また、来場者の英語の名前、モットーなどをひらがな、カタカナ、漢字を駆使して筆文字で書くサービスをします。一体感が感じられ、とても楽しいです。日本語学校生徒作品、気持ホーム作品、日本からのゲスト作品、墨絵、書道吟、仮名デモ、川初先生のデモも予定しております。

その道に進むことになったきっかけ
 遅きに日本語学校の教師になって、初めて日本文化の素晴らしさに気がつきました。そして、それまでは趣味であった書道を学び直し、こちらの国の人々にも楽しんでもらいたいと思い書道を教え始めました。

英語で失敗したエピソード
 覚えていないくらい沢山あるので特定が難しいです。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 この国とこの国に住む外国生まれの人々との橋渡しの仕事をしたいです。

あなたにとって仕事とは?
 生きていることが仕事です。
いまの仕事に就いていなかったら
 それなりの主婦の生活をしているでしょう。

現在、住んでいる家
 今住んでいる家は、今までの人生の時間で1番長く住んでいる家です。独立した息子たちの子供時代の思い出が散らばっています。

乗っている車
 トヨタのカローラです。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 0時に就寝を目標としていますが、自分の時間はゆっくりと過ごしたいのでついついゆっくりしすぎてしまい、遅くなりがちです。起床時刻は、6時45分です。

休日の過ごし方
 書道三昧が理想です。書道は心技一体です。気持ちを込めて書く、気持ちが字に表れる。疲れているときは、疲れを取り去ってから書くと新鮮な字が自然に書けます。書道はとても自然なものです。自然に書くとき、美しい字が書けます。と、言うように自分自身を確認出来る事も魅力です。逆に書いていると心が落ち着くことも魅力ですね。

好きな場所
 ゴールデンゲートブリッジの付近でしょうか。子供たちが幼い頃に一緒によく出かけていました。

よく利用する日本食レストラン
 外食は半年に1度くらいですが、サンマテオの日本食レストラン「うさぎ」はよく利用します。

1億円当たったとして、その使い道
 日本文化を発信する事務所の基金にしたいと思います。

日本に戻る頻度
 1年に2回くらいでしょう。日本に帰国した時は、まず日本書道教育学会教授の浅野秋月先生の指導を頂きます。その後、書展めぐり、お墓参り、ショッピング、旅行等、時間のある限り動きます。

最近日本に戻って驚いたこと
 目まぐるしいほど地下鉄路線が多くあることに驚きました。ベイエリアの路線はシンプルなのに比べ、日本の路線は複雑で乗り換えが難しいです。

日本に持って行くお土産
 ハーブティーや綺麗なポストカードを日本に持って帰りお土産にしています。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 和菓子、海苔、お茶、書籍、書道用品、文房具。日本ならではのものが多いですね。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 電車の本数が少ないことです。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 英語が未だに不自由なので、不安というより不便を感じています。

日本に郷愁を感じるとき
 お彼岸のお墓参りの時期などです。

永住したい都市
 住めば都の考えが根底にあるので特定できません。

5年後の自分に期待すること
 健康維持です。

最も印象に残っている本
 山岡荘八の歴史小説『徳川家康』です。この本のシリーズを買いにサンフランシスコの素敵な名前の五車堂に通いました。家康の人生訓に学ぶこと沢山ありました。

最も印象に残っている映画
 息子と一緒に観たアニメの『ロビンフッド』、カークとスポックの『スタートレック』シリーズ、『もののけ姫』です。

座右の銘
 般若心経

(BaySpo 2018/02/16号 掲載)

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