一般編  Vol.264
楠谷 勝さん
大阪生まれ。神戸の大学を卒業して、東京海上火災保険(株)に入社。2016年からシリコンバレーでのテクノロジー拠点を立ち上げるためにベイエリアに駐在。
仕事も遊びも全力で
東京海上グループのテクノロジー拠点を立ち上げるために、2016年にシリコンバレーに赴任。現在、日本とシリコンバレーを行き来しながら、ベンチャー発掘なども手がける楠谷さんにベイエリアの暮らしぶりを聞きました。
楠谷 勝さん

(Masaru Max Kusutani)BaySpo 1547号(2018/07/20)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 勤務している会社が、日本以外では初めてとなるテクノロジー拠点をシリコンバレーに立ち上げることとなり、その開設メンバーとして2016年11月にベイエリアに渡米してきました。

ベイエリアの印象
 仕事では常に新しいこと、新しい人と出会う大変刺激的な日々です。また、山や海に囲まれて、東京やアメリカの他の大都市と比べると随分ゆったりとした時間の流れもあるエリアだと感じており、とても気に入っています。

自分の専門分野について
 東京海上グループという保険会社の中で、デジタルを活用した新しい保険サービスの開発や、デジタルプレーヤー、プラットフォーマーとのアライアンス構築などを担っています。欧米を担当しているので、出張でヨーロッパに行くこともあります。また、ベイエリアでR&D活動を行なうグローバル企業とシーズ段階からの協働プロジェクト立ち上げも視野に入れています。

その道に進むことになったきっかけ
 僕はバリバリの文系ですし、デジタルの専門性もないのですが、新たな場所に全く新しいチームを1から作る仕事なので、失敗にあまりめげない(鈍い)人間を選んだのではないでしょうか。

英語で仕事をするということ
 帰国子女でもないですし、初の海外生活なので、本当に笑えるくらい英語には苦労しています。とにかく伝わらないと仕事にならないので、「英語がうまく聞こえてほしい」という気持ちを抑えて、ハッキリと大きな声で話すようにしています。いまだに初めての相手との電話は深呼吸してから行います。

英語で失敗したエピソード
 たくさんありますが、バーでバーボンを頼んでも、ほとんどの場合違うものが出て来て、仕方なくそれを飲んでいる日々です。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に
 今の仕事をまた一から始めて、どのような違いがでるか試してみたいですね。

あなたにとって仕事とは
 仕事は「終わらない旅」みたいで結構好きです。割りかし飽きっぽい性格ですが、次から次へと降ってくる問題に対して、チームでああでもない、こうでもないと議論しながら解決して行くプロセスに面白みを感じています。また、仕事を通してしか出会えないような方々と出会うことができ、刺激が多くて楽しいです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 小さい頃から船や飛行機などの大きな乗り物が好きで、小さい頃は将来大きな船の船長になって世界の海や港を航海したいと思っていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 ギターかピアノを弾くシンガーソングライターになって、自分の歌で人の心を動かしてみたいですね。ちなみにギターもピアノも全く出来ないので、ただの妄想です。

現在、住んでいる家
 単身赴任なので、マウンテンビューの小さなアパートに住んでいます。オフィスのあるパロアルトにも近いし、徒歩圏内にスーパーもたくさんあるので気に入っていますが、少し環境を変えるためにサンフランシスコのダウンタウンに住みたいなと最近少し思い始めています。

乗っている車
 大きめのSUVに乗っています。いざとなれば多人数乗れるので便利かなと思って選びました。サイズが大きいので、サンフランシスコ・ダウンタウンの狭いパーキングはたまに苦労します。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 0時頃にベッドに入り、5時過ぎに起きてアパートのジムに行ったり、近所を散歩したりしています。短眠でも大丈夫な方です。

休日の過ごし方
 セーリングチームに入れていただいてからは、ヨットでサンフランシスコ湾を航海して楽しんでいることが多いです。大きなヨットなので覚える操作も多く、まだまだビギナーですが、全く知らなかった世界なのでとても楽しいです。その他、気楽な一人暮らしなので自宅で友人に素人料理を振る舞うこともあります。串カツ、お好み焼き、手打ちうどんなどにトライしています。

好きな場所
 休日にパシフィカのピアに一人で行き、釣りをしている人やBBQをしているファミリーを眺めながらぼんやりするのが好きですね。

最もお気に入りのレストラン
 オフィス近くにあるパロアルトのメキシカン「Sancho's Taqueria」のタコスが大好きです。特にフィッシュタコス。辛いのが好きなので、ホットソースを大量に投入します。

よく利用する日本食レストラン
 バークレーの「Mitama Restaurant」ですね。個室の貸切が出来るので大人数で少々賑やかでも大丈夫なのと、スクリーンも借りれるので簡単なパーティーもできます。ヨットのメンバーですっかりお世話になっています。

日本に戻る頻度
 まだ、チームの立ち上げ段階なので頻繁に仕事で日本に出張します。2カ月に1回くらいでしょうか。これだけ頻繁に戻っていると、僕がシリコンバレーに行ったことに気がついていない人もいます。

日本に持って行くお土産
 カリフォルニアワインを持ち帰って友人に振舞います。あとは、たまに娘にトレーナーとかTシャツを買っていきますが、生存率(パジャマにならずに、普段着に採用される率)は3割くらいでしょうか。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 日本のプレミアム芋焼酎やドレッシングですね。日本のドレッシングは本当に美味しいと思います。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 ダントツで宅配便ですね。日本が便利すぎるからだと思いますが、こちらは平気で予定日に到着しません。あとは、ニンニクのチューブが売っていないことです。生姜やワサビのチューブの取り扱いはあるのに、どうしてニンニクのチューブは取り扱わないのか疑問です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 ベイエリアの生活に不安は全くありません。ただ、たまに日本に帰った際に飼い犬(柴犬:コタロウ 3歳)の歓迎ぶりが、どんどん淡白になっていくのが気になります。「成長の過程(親離れ)かな」と思っていたら、宅配便のおじさんにはちぎれんばかりに尻尾を振っていたので、これからどうなっていくのかがとても不安です。

日本に郷愁を感じるとき
 やはり新鮮で美味い魚が食べたいなと思うときですね。日本の自宅が海の近くなので、戻るとすぐに近所の漁港に新鮮なアジ、イカ、キスなどを仕入れに走ります。

お勧めの観光地
 灯台を見るのが好きなので、よくポイント・レイズやピジョン・ポイントに行くのですが、夕日の時間帯が本当に綺麗です。ワイナリーなら、ナパ・ソノマよりも、サウスベイ以南のワイナリーをお勧めしますね。パソロブレスなどのセントラルコーストのワイナリーは、日なびいてのんびりしていていいなと思います。

永住したい都市
 アメリカならベイエリアが本当に気候も良くていいですね。問題は、物価だけです。日本なら神戸か鎌倉ですね。

座右の銘は
 「人生、生きてるだけでまるもうけ」、「過去と他人は変えられない、未来と自分は変えられる」、「遊びも仕事も全力でやったほうが楽しい」。 

自分はすっかりアメリカの住人だなと思う瞬間
 電車やバスがスケジュール通りにくることを全く期待しなくなっている自分に気づくとき。

自分はやっぱり日本が好きだなと思う瞬間
 世界選手権、オリンピック、ワールドカップ等国別対抗のスポーツで、日本と他の国との試合では、必ず日本を熱く応援してしまいます。そういう時は、やっぱり自分は日本が好きなんだと思います。


5年後の自分に期待すること
 気持ち的に、今よりも若く好奇心満々でいたいです。出来るだけ長くベイエリアにいて、公私ともに最高に楽しんでいたいですね。

(BaySpo 2018/07/20号 掲載)

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