一般編  Vol.
久保田 展行さん
サンラモン在住。バークレーにある日本のスタートアップ、Preferred Networks America, Inc.の子会社でVP of Engineeringとして働く。中学高校不登校でその間にカナダとアメリカに語学留学をして英語を習得。その後、大検を取って大学に進学し、2009年に卒業し、現在の仕事に就く。2014年7月に現地法人立ち上げのために渡米し、今に至る。全米で唯一、ゲーム「beatmania IIDX」において称号「両皆伝」を持つ。
最新技術に触れ、自己研鑽に励む
バークレー拠点を置く日本のスタートアップ、Preferred Networks, Inc.の子会社でVP of Engineeringを務める久保田さん。アメリカ子会社を立ち上げるために2014年に渡米。現在、ソフトウェアエンジニアとして機械学習技術の製品開発をリードしている久保田さんにベイエリアの暮らしぶりを聞きました。
久保田 展行さん

(Nobuyuki Kubota)BaySpo 1548号(2018/07/27)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 私はPreferred Networks, Inc.(PFN)という、主に深層学習・ディープラーニングを軸に機械学習の技術を研究開発する会社の米国子会社で働いています。その前身となるPreferred Infrastructure, Inc.(PFI)が2013年にアメリカで子会社を立ち上げることになりました。私はその最初のメンバーとして立候補し、渡米しました。ただ、当時会社がまだ小さかったり、出資を受けていなかった(100%自己資本)ということもあって、ビザ取得の際に非常に厳しい審査がありました。そのためビザの取得までに1年半かかり、実際に渡米したのは2014年7月です。

ベイエリアの印象
 ベイエリア的と言うよりカリフォルニア的と言うべきなのかもしれませんが、ポジティブな人がたくさんいて楽しいです。気候の影響もあるのかもしれません。また、人種や思想を含めて多様な人が生活しており、会社にしても文化にしてもそれらが良いように混ざり合っていて常に新鮮な気分でいられます。そのような素晴らしい土台の上に優秀な人達が多く集まり、世界最先端の技術が次々にこの地から生み出されているため、技術者としてはこれ以上ない環境だと感じます。

自分の専門分野について
 私はソフトウェアエンジニアで、主にサーバサイド・バックエンドの領域を得意としています。エンドユーザからは直接見えない「ミドルウェア」と呼ばれるものの開発が大好きで、PFIの時にはエンタープライズ検索エンジン製品の開発をリードしていました。その後も機械学習(人工知能の分野で使われる技術の一つ)やそれに関連するツールを作ってきました。また、会社が小さい頃から働いているということもあって、開発業務だけではなくシステム運用、お客様やパートナーの方々とのお話し、講演、総務的な業務、採用活動など、会社を成長させるために必要なことはなんでもやります。

その道に進むことになったきっかけ
 小学校の頃からプログラミングが好きだったのですが、中学高校に行っておらずその間はひたすら何かを作り続ける生活を続けていたので、プログラミング以外で定職に就くということをそもそも考えていませんでした。その後、大学時代に「ICPC」というプログラミングコンテストで運良く成績上位チームが招かれる合宿に参加でき、その時にPFIのメンバーと出会い、そのままアルバイトを開始して大学卒業後にすぐに働き始めました。

英語で仕事をするということ
 英語で仕事をすることによって、日本語だけを話していると接点のない人達と関わりを持てるのが魅力です。特に、文化の違いは仕事の仕方やコミュニケーション方法に差として現れますが、それを観測して他国について学ぶのが楽しいです。多様性を許容できる人が多く集まるベイエリアだからこそ、そのような差があっても深刻な問題が起こらずに楽しめているというのはあるかもしれません。

英語で失敗したエピソード
 否定疑問文で質問してしまい、さらに返答を勘違いして、間違った飛行機に乗ってしまったことがあります。なぜかゲートも通過できてしまいましたが、飛び立つ寸前に気付いてもらいなんとかなりました。飛行機は止めてしまいましたが。

あなたにとって仕事とは
 学習や趣味の延長だと感じています。今の会社が恵まれているというのもあるのですが、基本的に新しいことを学ぶとそれが会社の価値に直結する仕事や、希望するキャリアパスに繋がるようなチャレンジを常に提供してもらえる環境で働いてきました。そのため、自分の趣味なり生活の一部になっているような領域で、生涯を通して伸ばしていきたい能力を実践しながら伸ばしていく機会が自分にとっての仕事の位置づけになっています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 父親が教師だったので最初は教師になることも考えていました。しかし、私は学校が合わずに不登校になったので、その後学校で働く形態の教師は無理だと思うようになりました。

いまの仕事に就いていなかったら
 大きな会社が合わないので、小さいベンチャー企業で働いていたのではないかと思います。また、昔からゲームセンターが好きで不登校中にゲームセンターで働いていた時期もあるのですが、良い職場が見つからなかった場合はゲームセンターで働きながら空き時間でプログラムを書くような生活を送っていたと思います。

休日の過ごし方
 家族で公園に行ったり、娘の友達家族と一緒に遊んだり、買い物に行ったりしています。他にもゲームセンターに置いてあるbeatmania IIDX(音楽ゲーム)が趣味でもう15年以上プレイしているのですが、妻と娘が教会に行っている間はサンノゼかコンコードにあるラウンドワンに行って楽しんでいます。残りの時間は料理や副業の開発作業をしています。

近所の好きな場所
 フォスターシティのセントラル・レイク・ラグーン沿いにアパートがあるため、頻繁に娘と一緒に走り回っています。週に何回も歩いていますが、未だに癒やされます。
最近買ってよかったもの
 GoogleのProject Fiを使い始めたのですが、従量課金で安く、海外出張中もSIMカードを交換せずに同じレートで使えるため便利でした。

最もお気に入りのレストラン
 サンカルロスにあるアフガニスタン料理屋さんの「Kabul」が大好きです。

最近日本に戻って驚いたこと
 スーツケースを持っての移動がしづらすぎて驚きました。ポジティブな面では、点字ブロックに頻繁に引っかかったのでその多さに驚きました。ネガティブな面だと、バリアフリーがあまり行き届いていないところに驚きました。特に、踊り場付きの階段なのにエスカレータが下から踊り場までの分しか付いておらず、そのエスカレータに乗ってしまうとその後は上にも下にも階段でしか移動できなくなるという罠のような配置が注意書きもなしに放置されているのはショックでした。自分も重たいスーツケースを持っていたので大変でした。

日本に持って行くお土産
 美味しいものは他の人が買ってくれるので、アメリカのお菓子の中でも特に癖の強いものや不味いものを買っていくようにしています。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 赤ちゃん本舗などで子供用品をよく仕入れてきます。また電子化されていない本も日本に行ったついでに買うことが多いです。

アメリカ生活が長くなったな…と思う時
 レストランの料理を大体完食できるようになってしまった時です。日本から出張で来ている人に驚かれ、体がアメリカに適応してきたのかなと複雑な心境ながらも感じました。

永住したい都市
 家族がOKなら数年ごとに住む都市を変えていろいろな国で生活したいです。

最も印象に残っている本
 梅原大吾著『勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」』です。

最近読んだ本
 Kindle Unlimitedの対象になっている本をひたすら読むのが好きで、最近は『小惑星探査機 はやぶさの大冒険』を読みました。

最も元気になれる音楽
 beatmania IIDXの高難易度曲を聴くと条件反射で元気が出ます。

(BaySpo 2018/07/27号 掲載)

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