一般編  Vol.311
田浦 秀樹さん
名古屋市熱田区生まれ、日本ではとある有名芸能プロダクション、機械設計、ファインジュエリーデザイナーを経て、1985年にベイエリアに渡り翌年WestWind Trading Coを起業し現在に至る。ベイブリッジにほど近いイーストベイ在住。
ベイエリアはバランスの取れた住みやすい場所
ベイエリアで30年以上物流貿易会社を運営する傍ら、バンドやヘリコプターの操縦、フレンチ料理にサルサダンスなど、プライベートでも精力的な田浦さん。初めて観光で訪れた時にベイエリアに魅せられたのが移住のきっかけと語る彼に、現在のベイエリアでの暮らしについて伺いました。
田浦 秀樹さん

(Ricky Hideki Taura)BaySpo 1619号(2019/12/06)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1983年に日本で知り合ったアメリカ人の方の所に遊びに来てベイエリアを案内してもらいました。日本に帰ってからどうしてもここで暮らしてみたくなり、当時はすでに亡き父の会社で機械設計をする傍ら、自己のお店としてプレシャスジュエリーをデザインして販売、夜は歌手をしていたのですが、それらを全て辞めてベイエリアに宛もなく一人やってきたのが1985年です。翌年ここでもっと暮らしてみたいという夢を実現するためWestWind Trading Coという貿易会社を設立しました。今でいうスタートアップですね。

ベイエリアの印象
 やはり人種の多様性に伴って世界中の美味しい食べ物が沢山ありますね。天候の良さは世界でも有数で、それに何といっても海と山との素晴らしい調和があるのに都会も存在しているバランスの取れた住みやすい場所という印象です。

自分の専門分野について
 1986年に起業した会社は基本的には物流貿易会社です。私がベイエリアに住み始めたのは今から35年近く前ですのでその当時は日本と比較してとても大きな家が凄く安いと感じました。今は世界で一番高いと言われるこのベイエリアの家が安かったなんて信じられないかも知れませんが現在の5分の1ほどの価格で家を買うことができました。車にしても同様で、当時日本ではいわゆる外車は非常に高価でしたが、車大国アメリカでは驚くほど安い価格でした。今までにスポーティンググッズ、木材、衣料、車両、など、その他色々なものを専門的に輸出入してきましたがその中でも車関係、特にパーツの分野は設立した当初から現在まで売り上げ全体の70%以上です。でも一般的な車のパーツではなくて1960年代からのいわゆるスーパーカーが専門です。それに準じて横浜にAutomobili Veloceという提携会社があり、世界的にも希少なスーパーカーのレストレーションなどもしています。また2003年からはベイエリアローカルの市のトランジットを対象に様々なパーツを納めています。

その道に進むことになったきっかけ
 元々ベイエリアに住みたいという目的で立ち上げた会社でしたから、最初は一体何を貿易すればよいのか全くアイディアもありませんでした。そこで先に書きました通り日本とアメリカでの価格差に目を付けたわけです。また当時は日本と販売店レベルで直接貿易をしている会社はほとんどありませんでしたので、大勢の方々が興味を示して来られ、その方々からきっかけをいただいた次第です。

英語で仕事をするということ
 最初は辞書とにらめっこの毎日でしたが、言葉も文章も一度経験して覚えればそれが変わることはありませんから一言で言えば実践あるのみです。一番役に立ったのはネイティブの友人たちから学んだスラングを含めた生の英語です。ベイエリアで生まれ育った友人が、こちらに来た当初から沢山できたのはラッキーでしたね。その頃からの友人達とは現在も深い絆で繋がっていますから私にとって計り知れない、またかけがいのない財産です。

英語で失敗したエピソード
 失敗とは言えないかも知れませんが、こちらに来た当初銀行の口座を開設しようと銀行に行った時の事です。今までに聞いたことのない専門用語を英語で連発されて、全然わかんないやって思わず笑っちゃいました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
大学院の教授になってわかりやすく量子物理学を教え、そして世界中の優れた生徒達と一緒に研究して現在の量子コンピューターの問題点も全て解決してみたいものですね。

あなたにとって仕事とは?
 社会に対しての私の役割です。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼少の頃から科学の実験の番組を見るのが好きでしたから科学者です。好きな研究をしてお金も貰えるなんて素晴らしいですよね。

いまの仕事に就いていなかったら
 多分ヘリコプターパイロットかフレンチのシェフだと思います。今は2つとも私の趣味になっています。

現在、住んでいる家
 ベイブリッジからほど近い高層コンドに愛妻と愛犬と一緒に住んでいます。窓から見える街の明かり、ベイブリッジの向こうに見えるサンフランシスコの景色や毎日違う夕日は飽きることがありません。

乗っている車
 Mercedes Benz Eクラスに乗っています。

休日の過ごし方
 ナパバレーやベイエリアの面白スポットへドライブをしたり、美味しいものが好きなのでレストラン巡りや愛犬とロングウォーク、テストドライブをしたり、バイクに乗ったりして思いっきり遊んでいます。またビートルズとボサノヴァが大好きでパーティーバンドもやっています。

好きな場所
 この16年位サルサを週に2、3回していますが、サルサクラブに行くと運動とラテン音楽で頭を開放できるので好きです。2〜3時間踊りっぱなしですので良いカルディオにもなります。

最もお気に入りのレストラン
 最もお気に入りのと聞かれたら答えは迷わずレストランみさですね。私の妻が作る料理は世界一です。

よく利用する日本食レストラン
 ベイエリアに来た当初からお寿司が食べたくなったら炉端焼きもあるバークレーのキララを利用することが多いです。

1億円当たったとして、その使い道
 特に欲しい物が無いので取り敢えず1億円全部銀行に入れておいて必要に応じて人や動物、地球のためになるように使うと思います。

日本に戻る頻度
 近年は年に二度ほど10日前後日本に帰って、今までに行ったことの無い所へ妻と友人達と旅行する様にしています。また生まれが名古屋の熱田区なので、「日本武尊」が八岐大蛇(ヤマタノオロチ)を退治したといわれる神剣草薙剣がご神体の、1400年ほど歴史がある熱田神宮が子供の頃の遊び場だったこともあり、神社の気を感じることが大好きで、日本に帰ると必ず色々な神社を訪れます。

最近日本に戻って驚いたこと
 ごみの分別が細かすぎてさっぱりわからない事と、沢山の日本人以外の人達が暮らしている事です。

日本に持って行くお土産
 親しい方たちにいつも日本では手に入らなような上質のカリフォルニアワインを持って行きます。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 やはり食べ物ですね。例えば北海道物産展などの催しを見つけると勇んで見に行きます。

日本に郷愁を感じるとき
 日本人の細かな優しさ、思いやりに触れた時ですね。

永住したい都市
 永住とまで行くかはわかりませんが、昨年私の親友ご夫婦とロンドン、リバプールにビートルズツアーをしに行きました。ロンドンは都会なのに大きなパークが幾つもあり、夜も遅くまで活気がありますし比較的に安全で、古い文化もあり良い街だなと思いました。

最も印象に残っている本
子供の時に読んだ『トムソーヤの冒険』です。

座右の銘は?
 All you need is Love

(BaySpo 2019/12/06号 掲載)

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