一般編  Vol.330
ディアース 治子さん
山梨県甲府市出身、早稲田大学卒業。NGOの途上国支援に携わった後、2004年カリフォルニア州立大学にて政治学修士号取得。フリーランス政治ライター、フィナンシャルアドバイザーを経て、(株)YPS International SF支社ディレクターとして北加日本商工会議所(JCCNC)の理事も務めた。現在次なる目標に向けて充電中。一男一女(共に大学生)の母。
紆余曲折とチャレンジの連続
留学を機に渡米後、結婚・出産を経てフリーランスの政治ライター、マーケティング職、ファイナンシャル・アドバイザーなど様々な経験を持つ治子さん。現在はさらなるステップに向けて準備中というチャレンジングな生活を送る彼女に、ここでの暮らしについて伺いました。
ディアース 治子さん

(Haruko DeArth)BaySpo 1651号(2020/07/17)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 1999年に大学院留学のため渡米しました。カリフォルニア州立大学チコ校で政治学修士号(国際関係論)を取得後、元夫の転勤でポートランドとシカゴを転々と。その後、2003年にカリフォルニアに戻り、リポンというサンフランシスコから車で一時間余りの郊外都市に移り住みました。以来ここが生活・仕事の拠点です。コロナによるSIPが始まるまでは、平日は仕事でサンフランシスコ、週末はリポンという二重生活を送っていました。

ベイエリアの印象
 人種的多様性があり政治的・文化的にリベラルで、ITや環境問題など世界のイノベーションの中心地でもあり、とてもエキサイティングで居心地がよく感じています。

自分の専門分野について
 私のキャリアは紆余曲折とチャレンジの連続です。まず大学卒業後、開発途上国や紛争地域などへ人道支援を行うNPO「難民を助ける会」のスタッフとしてカンボジアに赴任し、地雷による障害者のための職業訓練支援プログラムに携わりました。仕事は対象地域の実態調査、プログラム開発とマネージメント、各国政府・現地コミュニティー・支援者などとのパートナーシップ構築など、多岐にわたります。
 その後、専門性と英語力を磨くため大学院で勉強しましたが、結婚・出産を機にいわゆる「仕事と家庭の両立」の壁にぶつかり、約5年間育児に専念しました。幼い子ども達と過ごした時間はかけがえなく、またその間、学校や地域でのボランティア活動に積極的に関わり、社会貢献というアメリカ文化を実体験できたのはとても幸運だったと思います。
 しかし、キャリア復帰とその後の離婚に伴う経済的自立への道のりは極めて厳しく、マイノリティー、女性、言葉の壁、育児ブランクなどにいろんな壁に突き当たりました。まず、フリーランスライターとして日米の政治・社会問題をテーマに10年間執筆活動を続け、ついで米エンジニアリング企業でマーケティング&リサーチ職を経験し、更には金融・財テク分野の勉強をして州資格を取得しフィナンシャル・アドバイザーとして起業しました。
 幾度かのキャリアチェンジ(アップ?)を経て自立し、最近までは翻訳・通訳を専門とする日本企業のUSオペレーションのマネージメントを担当し、多くの日・米系企業、政府機関、スタートアップ等のお客様の海外事業展開をサポートしてきました。
 こんな一貫性のない職歴ですが、私には必要な踏み石だったのでしょう。その一つひとつから得たスキルや経験、人的ネットワークのすべてが大切な財産となっています。ここまで来ることができたのは、多くの方々の支えと励ましのお陰です。現在、新たな目標に向けて充電中ですが、今後は得た財産を何かの形で還元し、社会に役立てるような仕事をしたいと考えています。

その道に進むことになったきっかけ
 「その道」といいますか、「紆余曲折」のはじまり(笑)は、大学時代にバイオエシックス(生命倫理学:命と人権を守るための公共政策学)を専攻したことと、その実践でボスニア人難民キャンプで学生ボランティアをしたことです。戦争が、人々の生活と、人生にもたらす想像を絶する困難を目の当たりにし、絶対的貧困や暴力、差別の犠牲となっている人々を支える仕事、また、そういう状況を生み出さないような政策立案や活動に関わりたいというのが大きな目標となりました。

英語で仕事をするということ
 英語圏の文化・習慣・社会をより深く理解するということ、その上で自己表現・対話し、相互理解を深めていくということでしょうか。

英語で失敗したエピソード
 沢山あり過ぎます…。例えば、取材のため大規模なセミナーに出席し、質問に立った時のこと。マイクを持った瞬間緊張で頭の中が真っ白に…。この沈黙の5秒がトラウマとなり、以来特に英語の場合、質問は必ず事前に書いて手にもっておくようになりました。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 キャリア目標は変わらないと思います。ただ英語でレポートや記事を書く時、Proofreadingの必要がなくなるでしょう。

あなたにとって仕事とは?
 社会貢献であると同時に自分の人生を豊かにしてくれるものでしょうか。

現在、住んでいる家
 リポン市の一戸建ての家。子ども達が巣立っていくのを機にダウンサイズを計画中です。

休日の過ごし方
 まずは、たまった家事を片付けること。そして、長めのランニングでフィジカルのケア、教会のボランティアやワークショップでスピリチュアル・メンタルのケアをするのが結構楽しいルティーンです。あとは、子ども達と過ごしたり、友人グループでZoomしたりですね。

好きな場所
 一つはDavies Symphony Hallです。クラシック音楽ファンでサンフランシスコ・シンフォニーのコンサートによく行きます。もう一つはオークランドの山側にあるRedwood Regional Parkです。森林の中のトレイルはお気に入りのランニングコースです。

最もお気に入りのレストラン
 レストランの代わりにお気に入りのベーカリーをご紹介します。一つは「Vive La Tarte」というHoward St.にあるフランス人オーナーの本格派ベーカリー。もう一つはCalifornia St.の「b. patisserie」。フランスとサンフランシスコローカルテイストの融合が見事で、ペイストリー好きにはたまりません。 
1億円当たったとして、
その使い道
 まずは家のローンの全額返済と子ども達の大学資金の確保ですね。その後はチャリティー基金を設立して資金運用をしつつ、ミッションに賛同できるノンプロフィット団体を支援したいです。

日本に持って行くお土産
 Trader Joe’sのオーガニックジャムやハーブティー、地元の農家直売のアーモンドなど、オーガニックものが喜ばれます。
日本からベイエリアに
持って帰ってくるもの
 実家の母の手作りの梅干し、無添加の佃煮などがメインです。

お勧めの観光地
 シエラネバダやヨセミテ国立公園など、大自然でのバックパッキングがおすすめです。観光地化されていない手つかずの自然が満喫できます。例えば、岩肌のトレイルからシェラネバダの雄大な景観が楽しめるKennedy Meadows。また、レイク・タホの西方の高山ににたたずむ青く美しい湖群Lake Alohaへのバックパッキングは初心者でも楽しめます。体力に自信がある方は、Yosemite 最高峰の一つ、Cloud Restへの登頂はいかがでしょうか。ピークから有名なハーフドームが見下ろせます。

永住したい都市
 未定ですが、将来子ども達がそれぞれ家庭を持つようになったら近くに住みたいですね。

5年後の自分に期待すること
 ゆっくりハーフマラソンが走れるくらい健康でいること。仕事とは別に、自分の経験を活かしメンターとして後輩(特に若い日本女性)のキャリア実現をサポートしていたいですね。また、身近なコミュニティーを通してボランティア活動を続けていたいと思います。

座右の銘は?
「人事を尽くして天命を待つ」
Everything happen in life is either blessing or a lesson.

(BaySpo 2020/07/17号 掲載)

▲Topに戻る

有澤保険事務所

自動車保険をはじめ、火災保険、アンブレラ、ビジネス保険、労災保険、生命保険、健康保険などを取り扱う総合保険会社です。Farmers
Insurance、Blue Cross等のエージェントであり、日本語できめ細やかな安心のサービスを提供しています。

有澤保険事務所
2695 Moorpark Ave, Ste 101, San Jose, CA, 95128
http://www.arisawaagency.com

有澤保険事務所
(408) 449-4808
No Reproduction or republication without written permission
Copyright © BAYSPO, Inter-Pacific Publications, Inc. All Rights Reserved.