一般編  Vol.336
小野 孝太郎さん
1994年に日本オラクルに入社後、1996年より本社勤務のためベイエリアへ移住。10年前から教育を志し、2013年にサンフランシスコ日本語補習校保護者会会長、2014年に同校講師を経て2016年から2年間Teach For Japanを通じ福岡県で小学校の教師として従事。現在はコーチを専門としながら、シリコンバレー教育研究会など教育に関わる事業に取り組む。妻と娘2人。フォスターシティー在住。
心が強くて優しいリーダーを沢山育てる
ソフトウェアエンジニアとして渡米後、ソフトウェアエンジニアとして何不自由ない生活を送っていながら、あるきっかけで教育の道に進むことにした小野さん。現在はコーチングを専門としながら、シリコンバレーで教育に関わる事業に携わる彼に、ここでの暮らしについて伺いました。
小野 孝太郎さん

(Kotaro Ono)BaySpo 1662号(2020/10/02)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 横浜生まれの横浜育ち。24歳までは海外に住むなど夢にも思いませんでした。慶應義塾大学大学院時代には「満員電車に乗らない」、「ゴルフを毎週末したい」という夢だけを持っていました。就職活動では日本の大手メーカーと日本オラクルのみを受けて、夢が叶う可能性がより高そうな日本オラクルを選択。入社前にあった「学生集客コンテスト」では後輩たちのおかげで一位になり、ご褒美旅行でシリコンバレー本社に連れてきてもらいました。その際にベイエリアの空気に触れ、美しい本社ビルを見たのがきっかけで本社勤務を熱望しました。当時の上司をはじめ関わった皆様のおかげで、新卒3年目の19 96年に念願叶ってベイエリアに移住しました。

ベイエリアの印象
 今年はコロナや山火事で印象が一変しました。でも基本的には気候が良く、40歳までの趣味だったゴルフをするには最高の場所です。37歳からマラソンやトライアスロンをするようになってからも、ベイエリアは素晴らしい場所だと感じています。心地よいトレイルが沢山あり、気持ちよく自転車に乗ることができます。

自分の専門分野について
 大学院ではコンピュータサイエンスを専攻し、オラクルではソフトウェアエンジニアでした。しかし思うところあって5年前にオラクルを辞めて教育の道へ。2016年から2年間Teach For JapanというNPOを通じて福岡県で小学校の教師をしました。紆余曲折の末、私は「目の前の人の心に火をつけられた時が一番幸せ」ということを再認識し、残りの人生は人との関わりを特に大切にすることを専門にすると決めました。そんな役割をしながら「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」をミッションに、「全ての人がやりたいことをやり尽くす世界」をビジョンに、現在は沢山の方の協力を得ながらいくつかの事業をしています。昨年8月に立ち上げた「シリコンバレー教育研究会」はほぼ毎週「生き方探求セミナー」を開催し、先日通算35回目の開催で申し込み人数の累計が2000人を超えました。

その道に進むことになったきっかけ
 10年前、「1000億円持っていたとしたら、本当にしたいことは何か?」本気で考えてみたら、自分にないのはお金ではなく「描きたい未来を考える力」だと気が付きました。この力をつけずに年を重ねたら後悔すると確信し、考える力をつけると決め、人生で初めて明確な目的を持った学びを始めました。自ら学ぶとともに、特に教育格差や貧困問題を解決するために教育を変えていかなければならないと思い、教育・人材育成の道に進みました。

英語で仕事をするということ
 オラクルで働いていたときはしばらく日本人が私だけの部署で働いていたこともあり、英語は成果を出すために必要なコミュニケーションツールでした。

英語で失敗したエピソード
 長年アメリカに住んでいるけれど英語力が伸びていない人は大勢いるのではないでしょうか。私はその一人です。意識的に勉強しないと必要最低限のこと以外に力がつくはずがありません。これが長期的な失敗です。これは母国語でも同じことだと思います。

あなたにとって仕事とは?
 人生のミッション・ビジョン実現のための手段であり、関わる人と喜びを分かち合い、世に何らかの価値を創出する媒体です。

いまの仕事に就いていなかったら
 この問いそのものがどういう意味なのか? ずっと考え続けているかもしれません(笑)。今は、本当にやりたいことをやって生きているつもりなので、頭の中がグルグルしています。つまり、今の仕事に就いていなくても、結局今の仕事につく選択をしていると思うのです。
現在、住んでいる家
 Foster Cityに住んでいます。Bay Trailがすぐ近くにあり、オラクルの本社に歩いていける場所です。

休日の過ごし方
 休日という概念がありません。ほぼ毎週土曜日夕方にシリコンバレー教育研究会のセミナーをしています。またコーチングのクライアントの大半は日本にいるので、日本の休日にあたる日に仕事をすることが多いです。

好きな場所
 豊かな緑に囲まれた場所が好きです。ベイエリアでは例えばWoodsideあたりのトレイルやMuir Woodsなど。

最近日本に戻って驚いたこと
 横浜に住んでいる今年84歳になる母と夕食に行き、母が途中でお手洗いに行ったまま行方不明になった時です。お店の人も総出で探しましたが、見つからず。しばらくしてようやく携帯電話がつながったと思ったら、なんと酔っていて、徒歩15分の家にうっかり帰ってしまっていました(笑)。

日本に郷愁を感じるとき
 大好きな人たちに会いたい時。福岡・田川のお気に入りのお店「タツ」「向山食堂」「とり啓」に行きたい時。

お勧めの観光地
 (沖縄戦で陸軍の特攻機が出撃した飛行場のある)鹿児島の知覧です。わずか20歳前後で命を落とした人たちが飛び立った場であり、信じられないような達筆で書かれた壮絶な遺書の数々や彼らの遺影を見て欲しいです。彼らがどんな思いで散っていったのか。どんな未来を創りたかったのか。私は2015年に知覧に行って日本で2年間教師をする覚悟を決めました。

永住したい都市
 今考えているのは福岡県か長崎県。あるいは日本のどこか。ご縁があればどこでも。

5年後の自分に期待すること
 「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」「全ての子どもたちの心に火をつける」をミッションに教育・人材育成事業をいくつか経営している。特に教育・人材育成機関のエグゼクティブ向けにコーチをしている。

最も印象に残っている本
 『修身教授録』もし一冊だけ手元に残しても良いと言われたらこの本を選びます。

最近読んだ本
 『咸臨丸にかけた夢: 幕末の数学者・小野友五郎の挑戦』鳴海風・著
あまり読まれなさそうな本ですがベイエリアにご縁のある本なので紹介します。幕末に咸臨丸に乗ってサンフランシスコに来た小野友五郎のお話で、私の高祖父にあたります。子どもも大人も楽しめる児童書です。

最も印象に残っている映画
 『Groundhog Day』20代の頃から20回以上は見ました。毎日を大切に生きることを楽しく伝えてくれます。

座右の銘は?
 「心が強くて優しいリーダーを沢山育てる」をミッションに、「全ての人がやりたいことをやり尽くしている世界」をビジョンに生きています。

(BaySpo 2020/10/02号 掲載)

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