一般編  Vol.340
前田 修治さん
山口県日本海側出身、調理師専門学校卒業後東京に就職。2007年から世界中を旅に出てヨーロッパ、アジア、南米など40数カ国をまわり、2014年から渡米。現在はイーストベイ在住。
今は嵐の真っ只中、 でもその先が楽しみ
世界旅行中に出会った人の紹介で、アメリカで調理師として働くためにベイエリアにやってきたという前田さん。海育ちで、現在も休日はバス釣りに出かけるという彼に、ここでの暮らしについて伺いました。
前田 修治さん

(Maeda Shuji )BaySpo 1672号(2020/12/11)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 きっかけは友達にアメリカで働いてみない? とメールをもらった事です。当時、世界一周飛行の途中で東南アジアを旅していました。日本から西回りで旅をしていたのでアメリカはまだまだ先だなと思っていたのですが、海外で働くってどんな感じだろうと少し気になっていました。そんな時タイで会った旅人から今から東南アジア暑くて厳しいよと言われ、んじゃ先にアメリカ行くかって! これがもし日本で働いてる時だったら、エッってなってたと思いますが旅の途中だったのでフットワークが軽かったですね。

ベイエリアの印象
 アメリカ大陸キター! って前にイミグレで別室行き…パスポートにスタンプが多いバックパッカーあるあるですね、9・11以降入国が厳しくなったと言う事で大国の洗礼をうけました。ベイエリアは仕事や趣味、自分が楽しみながら生きていける場所だと思っています。街中に蚊がいないのがいいですね。

自分の専門分野について
 調理師をしています。手に職があったおかげでアメリカで働く事ができました。

その道に進むことになったきっかけ
 海育ちで子どもの頃から釣りや磯遊びによく行ってました、新鮮な魚介類を取って食べているうちになんとなく料理を仕事にしようと思うようになってました。

英語で仕事をするということ
 もう何年も住んでいるのに全然英語が上達しないです、勉強しないとダメですね。日本食レストランで働いてるので日本語でも大丈夫なところもありますが、英語に関しては他のスタッフにいつも助けられていて、それでも働ける環境に感謝しています。

英語で失敗したエピソード
 NOと言えない日本人って昔誰かが言っていたので、よくわからない時はNOと言っています。失敗しかないですね。なんとなくですが相手が言ってる事がわかる時も、それに返せる語学力がないので、好意的に話してくれた相手には申し訳ないと思いつつ笑顔で返すようにしています。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 100%ネイティブの人がよく路上で寝ていたりする街なので…。英語はスキルの一つだと思います。アメリカなので英語は話せるに越したことはないですね。

あなたにとって仕事とは?
 若い頃に東京のフランス料理店で働いてた事もあって本場フランスを見に行こうということで最初の海外旅行は2カ月間パリin、パリoutのバックパッカーの旅でした。最初の宿で会った日本人の中にはワーキングホリデーで星付きのレストランで働いてるって話をしている人もいたりして、がんばってんなーっと思いましたが、昨日はバルセロナにいて今日パリで次はエジプトみたいな、当時は何それって思う人もいたりして、最初のパリの宿で日本人に会えて安心したのを覚えています。
 パリから半時計周りで最初に向かったのは世界遺産のモン・サン・ミシェル、ブルターニュ地方でプレサレ(子羊)、海沿いの街、サン・マロでブルトンオマール(青いロブスター)とフリュイ・ド・メール(魚介類盛り合わせ)、ペリゴール地方ではフォアグラなどなど、日本で覚えのある食材を食べて周りました。メニューは読めてどんな料理か想像はできるのに喋れない、そんな中で優しく接してくれるサーバー、店内の温かい雰囲気に貧乏旅行ながらレストランの良さ特別な時間を感じることができました。
 産地だからできる料理、文化や素材を生かした料理は、フランス料理であってもシンプルで飾らないものが多かったと思います、そしてそれが自分の好きな料理であり、素材の良さと言う面で子どもの頃に食べた故郷の味を思い出し、初心にかえる事ができました。この旅の最後にパリの宿で会った旅人が数年後にアメリカでの仕事を紹介してくれ、今に繋がっています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 大工さんとか発明家、エジソン的な︎何か物を作る仕事だったと思います。

乗っている車
 Jeep Wrangler MOAB、ドリームカーです!

休日の過ごし方
 M・F・C INTERNATIONAL (Maeda Fishing Club)の代表をさせてもらっています。年間を通してバスフィッシングをメインに、季節によりハリバット(ヒラメ)、ストライプバス、ロックフィシュ、トラウトなど。今年はショアからのキングサーモンにチャレンジしてみましたが7回行って一匹も釣れなかったです、心折れました。だいたい釣れた後の料理を考えていると釣れないです。以前はよくゴルフにも行っていましたが…またコースをまわれるように練習しています。

好きな場所
 バークレーヒルから見たべイエリアの風景。ベイブリッジ、ゴールデンゲートブリッジ、
サンフランシスコ湾が一望でき、一息つける場所です。水辺が好きです!

最もお気に入りのレストラン
 Downtown BerkeleyにあるIPPUKUです。友達や職場の人達と行ったりいろんな思い出があります。コロナ禍でアウトダイニングOKになって久しぶりの外食、焼きたての焼き鳥とお酒に感動しました! いろんな意味で輝くサーバーの方も素敵ですね。
よく利用する日本食レストラン
 UCバークレーの近くにあるKirakuです。日本の居酒屋をそのままこっちに持ってきた感じのお店で、一品一品の料理とお酒の品揃えに店主のこだわりと才能を感じます。天才ここに有り! だいたいここにいます。

最近日本に戻って驚いたこと
 ゲリラ豪雨ですね、晴れていたのにいきなりそんな降る⁉︎って感じで。それに対抗するかのような東京の駅周辺の地下通路は、雨に濡れないのはいいですが地図を見ないと出口がわからないです。

日本に持って行くお土産
 帰って会う予定の人に聞くとだいたいエコバッグです、あとはチョコレートとか。地元に持っていくお土産は東京駅で買います。その方が喜ばれるし、新幹線の待ち時間でお土産選びも楽しめます!

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 北米原産のブラックバス、日本では外来種となっていますが釣りの対象魚として人気があります。独自に進化した日本の釣り具、こっちで手に入らないものや安く買えるものを買ってきます。あとは薬系、風邪薬のルルとムヒは必須です。

現在のベイエリア生活で不安に感じること  
 どこにいても少なからず不安はあると思います。「バタフライ効果」的な。それで言うと今は嵐の真っ只中ですかね、その先にある生活がどうなるか楽しみです!

日本に郷愁を感じるとき
 変な話ですが日本に帰る予定が決まったときに急に郷愁を感じます。限られた時間で予定を組む中、会える人の顔が浮かぶといろんな思い出が蘇ります。あとは匂い、ふとした瞬間に懐かしい匂い、季節、風の匂い、潮風の匂いがした時です。

お勧めの観光地
 世界各地にオススメはありますが、近場で現実的なグランドサークルがいいかと。パウエル湖を中心に半径230kmの中にいろんな国立公園があり、アメリカの大自然を感じられます。赤土に飽きたらヨセミテ、暑さに負けたらセコイヤ国立公園、キンズキャニオンで森林浴なんかオススメです!

最近読んだ本
 普段本は読まないのですが「ニーチェの言葉」と言う本を持っています。ふとした時に開いたページの一節で新しい一日を始める事もあります。

座右の銘は?
 「Don’t think. Feel ! 」考えるな、感じるんだ!感じて行動する。やっぱブルース・リーでしょ! 疲れた時は考えるなってニーチェも言ってました。たぶん。

(BaySpo 2020/12/11号 掲載)

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