一般編  Vol.109
森川清二さん
 熊本県出身。ニューヨークでは日系旅行会社勤務、航空会社(客室乗務員)を経験。13年間住んだニューヨークを離れ、1997年にカリフォルニアへ。グルーミングスクールを卒業後、7年前にビジネスをスタートさせ、現在、ペットグルーマー兼「Seiji Morikawa Certified Groomer」のオーナーとして活躍する。
45歳で出会った生涯の職
たまたま自分の犬をグルーミングに出したのをきっかけに、現在、ペットグルーマー兼「Seiji Morikawa Certified Groomer」のオーナーとして活躍している森川さん。プロフェッショナル・グルーマーとして新しい技術を学び色々なカットに挑戦し、いずれはコンクールに出たいと思っている森川さんに、ベイエリアでの暮らしぶりについて聞いた。
森川清二さん

ペットグルーマー(Seiji Morikawa)BaySpo 1117号(2010/04/16)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけは?
 渡米したのは1982年です。13年間のニューヨーク生活が苦痛になり、どこかのんびりした天気の良い所を探していたところ、友人2人でサンフランシスコに遊びに来た際、前の彼と知り合ったのをきっかけにサンフランシスコに移り住んできました。1年後、その彼と別れ、アパートを探していた時、アラメダで日系人オーナーが1階の部屋を貸し出していたのをきっかけにこちらに引っ越してきました。そこで今の彼と知り合い、今年で12年目になります。アラメダは、治安も良いし小さい独立国みたいでビクトリアンの古い家並みが沢山あって最高です!

ベイエリアの印象は?
 それまではニューヨークにいたので、ベイエリアは1年を通して温暖なこと、空が青いこと、都会の田舎的なところ、人々が優しいなどの印象があります。それにアジア系が断然多いことです。またセクシャリティに関してはニューヨークよりもっと自由な気がします。とはいうものの、会社勤めをしていた時には、自分のセクシャリティについては誰にも言うことはありませんでした。もちろん、皆わかっていたはずと思いますが、そっとして置いてくれたことに感謝しています。

現在の仕事は?
 ペットグルーマー兼オーナーです。20年以上旅行業界(ホテル、航空会社、日系旅行代理店)を歩んで来て、さすがに疲れていた時、たまたま自分の犬をグルーミングに出したことがきっかけで、自分にもできるのでは?と思いこの仕事を始めました。以前からクリエイトすることが好きだったのと、動物が好きなこと、それに旅行業界で培ったカスタマーサービスの経験などがぴったりマッチしたのだと思っています。グルーマーはアーティストのようなもの。ただへアカットをするだけでなく、人間にも色々な顔があり、その人のプロポーションがあるように、犬も同じ。同じブリードの犬でも顔とか体つきが違うのでその犬の魅力を引き出せるヘアカットを心がけています。ですから犬を見ると、「こんな形に仕上げたい」というアイディアが自分の中で湧いてきます。

ショップについて
 現在、僕を含めて6名のスタッフが働いています。ショップのやり方はかなり日本流で、とにかくお客様が安心してペットを預けられるように心掛けています。その為には一人一人のお客様、ペット達とのコミュニケーションをすごく大切にしています。ただペットを連れて来て、そしてピックアップするだけではなく、ペットの健康状態とか問題点などを毎回お客様にレポートしています。それにヘアカットをする際も、お客様と徹底的に話をします。
 7年前にビジネスをスタートした時は、自宅の地下を使い1日4〜5匹を相手に、利益目的ではなく、「自分がエンジョイできること」をコンセプトにスタートしました。ヘアカットが終わったペットは庭で遊ばせ、お客様がピックアップに来られたら庭で一緒にワインを飲んだりもします。1年、2年とビジネスをやるうちに、お客様同士の口コミが広がり、お陰さまで一人では難しいくらいになりました。現在、お客様は1800名ほどで、大体、6〜8週間毎にペットを連れてきます。

英語で仕事をするということ
 アメリカ人の方を相手にするビジネスですので英語が大切と思いますが、長年のお付き合いのせいか、僕の熊本弁なまりの英語でもお客様はわかってくれているようです。コミュニケーションをスムーズにするためには、ボキャブラリーをもっと増やしたり、発音に注意したりしようと思うのですがなかなか駄目ですね。そんな時アメリカ人のパートナーの存在は大きいです。

英語で失敗したエピソード
 色々ありますが、今でも笑える話は、30年前初めての海外旅行で友人たちとハワイに行った時、ベーコンバーガーを注文するはずが「バコーンバーガー」と注文したことです。そのままローマ字読みで発音したんですね。それ以来、友人から「バコーン清二」と呼ばれています(笑)。

森川さんにとって仕事とは?
 100%仕事にはしたくないですね。出来れば50%仕事、50%遊び=旅行がベストです。100%仕事になってしまうとそればかりを考えてしまいリラックスできませんので。僕にとっての仕事とは思いっきり遊べる為にする物で、今の仕事は天職だと思います。45歳で出会った生涯の職ですね。時間がかかりました。プロフェッショナル・グルーマーとして新しい技術を学び色々なカットに挑戦し、いずれはコンクールに出たいと思っています。

現在、住んでいる家
 7年前にボーイフレンドと一緒に購入したクイーンアンビクトリアンの家です。2人とも古い家が好きで(家にキャラクターがある)、それにアラメダが大好きなのでここに決めました。4ベッドルーム、2バスルームで、3千スクエアフィートの家に2人と2匹の犬にはちょっと大きすぎますが気に入っています。

乗っている車
 4駆のジープです。荷台が広いので色々つめて便利です。もっぱら運転するのはボーイフレンドの方で僕は元旅行会社勤務のわりに土地勘がまったゼロ。自分の運転範囲も決まっていて知らない道は運転できません・・・。

休日の過ごし方
 お休みは日曜日と月曜日です。日曜日はお互い絶対何もしないと決めているので、僕は昼頃からチーズとワインを飲みながら映画を観て、彼は読書をします。あとは長時間かけて犬の散歩に行きます。近くにマリーナがあるので犬の散歩には最適です。月曜日は銀行に行ったり、ビジネスに関する書類整理とかショップに必要な備品を買いに行ったりします。天気の良い日は、ワインを片手に庭にあるジャクジで温泉気分に浸ります。

好きな場所
 トイレとイスタンブール。トイレは最近、ウォッシュレットを付けたので快適に過ごしています。特に便座が温かいので思わず長い間、本を読んでしまいます。

最もお気に入りのレストラン
 彼も僕もワインが好きなのでどうしても自宅で食べることが多いのですが、何かのセレブレーションの時はアラメダにある「PASTA PERICAN」に行きます。ベイを見渡せるイタリアンレストランです。

よく利用する日本食レストラン
 アラメダの「KATSU」レストランです。ショップからすぐの所にあるので、寿司が食べたい時に行きます。

1億円当たったとして、その使い道
 アニマルシェルターにドネーションして、残ったらビジネスクラスで彼と世界中を旅行します。

日本に戻る頻度
 2年に1度。家族の集まりが2年ごとにあるので彼と行きます。この間も行って来ましたが帰るたびに日本はやはり素晴らしいなと考えさせられます。特にサービスと食事は最高ですね。それに治安の面でも。ただ日本に移り住むかと聞かれれば考えてしまいます。やはり自分の生活のベースはアメリカですし、日本の住居は狭く感じます。

最近日本に戻って驚いたこと
 黒髪の女性がいなかったこと。そして、若い男性が何となく薄汚れていて清潔感がない感じがしたことですね・・・、ごめんなさい。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 近くに日本食スーパーがないこと。特にお刺身とかお酒を買いたい時が困ります。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 ベイエリアだけではなくアメリカ全般ですが、保険料や医療費が高いこと。これから年を重ねていき仕事を引退した後、快適な生活が送れる程度のファイナンスができるか不安です。

日本に郷愁を感じるとき
 寅さんのビデオを観る度に感じます。特に田舎の風景が映し出される時など。

お勧めの観光地
 アメリカの観光地では特にありませんが、他の国だとやはりトルコでしょうか。

永住したい都市 
 ハワイかスペインの片田舎がいいですね。

5年後の自分に期待すること
 ショップを拡大し、マネージャーに任せボーイフレンドと残りの人生をのんびりしたいですね。

インタビューを終えて
 森川さんのショップにお邪魔しました。ペットと飼い主が一緒に写った写真がたくさん飾られている店内には、フレンドリーなスタッフたちと和気藹々とお仕事をされている森川さんの姿が。どんな犬でもショップに来ると思わずキスをしてしまうという森川さんの動物好きなところも感じられました。


森川さんに5つの質問!
最も印象に残っている本
 「64の犬物語」。本は雑読しますが、特に好きなのは旅行のエッセイと動物に関する本などで、ニューヨークとかロスに行った時は必ずBOOK OFFに立ち寄り100冊ぐらい購入して来ます。

最近読んだ本
 柴田二郎著の「患者に言えないホントの話」です。

最も印象に残っている映画
 「カラーパープル」と「タイタニック」です。

自分を動物にたとえると?
 犬!特に愛犬の“ちび”かな。性格がひょうきんでチャーミングなんだけど、時々憎たらしいのよ(笑)。

座右の銘は?
 「朝が来ない夜は無い」。

(BaySpo 2010/04/16号 掲載)

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