一般編  Vol.146
今瀬 博さん
 1974年12月5日千葉県生まれ。18才の時に渡米。サンフランシスコ州立大学では犯罪社会学を学び、郡刑務所や国選弁護人の下でアメリカの社会を学ぶ。卒業後は同大学の大学院の日本語コースで教授法を学び、オデッセイスクールで教鞭をとる。2002年に日本語教師としてスタートし、2009年からは同校で生徒生活指導や副校長などを勤めた。今は「知心気人」を育成する為に活動している。趣味は旅行、カメラ、キャンプ、ハイキング。旅先ではボランティア活動を行い、子供達と携わっている。
世界と自分にポジティブに関わり合う知心気人
 日本ではあまり馴染みのないギフティッド教育、EQ(Emotional Quotient、感情知能)教育を専門にベイエリアで教育活動を続けている今瀬さん。思春期の子ども達に囲まれ忙しい毎日を送っている今瀬さんに、ベイエリアでの暮らしぶりについて聞いた。
今瀬 博さん

(Hiroshi Imase)BaySpo 1243号(2012/09/21)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 1993年の3月にサンフランシスコに来ました。その後、19年間ベイエリアに住んでいます。きっかけは、子供の頃憧れていたユニバーサルスタジオに行く事でした。映画が大好きで、是非行ってみたいと思いました。しかし、ユニバーサルスタジオがあるロサンゼルスは危険な所だと思い、サンフランシスコを選びました。地図では近そうでしたが、実際にアメリカに来てみて、車で7時間という距離にびっくりしました。遠いですね(笑)。

現在の仕事について
 この8月にサンマテオ市にあるオデッセイスクールの副校長を退職しました。この学校はIQの高い子供達を集めた少人数生の中学校です。オデッセイスクールには10年間勤めました。専門分野は中学校のギフティッド教育とEQ(感情知能)教育です。これからは、日本でEQ教育に取り組み、知識人だけではなく、心の知能指数が高い「知心気人」を育てていけたらと思っています。今は、日本にあるシックセカンズジャパンという会社で2013年の夏に向けてのEQキャンプを企画しています。

その道に進むことになったきっかけ
 SFSUの大学院の日本語教師養成コースで修士を取り、未知の分野であるギフティッド教育 に飛び込みました。思春期真っただ中の生徒達の成長を見守る事が、僕の喜びになりました。

いまの仕事に就いていなかったら
 駐在所のおまわりさんですね。自転車に乗って、町や村を回って、コミュニティーを守り、子供達の育成に関わっていると思います。僕にとってはコミュニティーというのが重要なので、職業が変わっても、コミュニティーに貢献できる仕事をしていたいです。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 100%ネイティブでも、先生でしょう。でも冒険家にもなってみたいです。

英語で仕事をするということ
 生徒達と話したり、親にアドバイスしたり、悩みを聞いたり、躾をしたりする時はどうしても英語を使わなくていけませんでした。しかし、ほとんどの場合、生徒達や親の話を聞く側だったので、僕の英語は聞く英語でした。

英語で失敗したエピソード
 英語の間違いなどは普段から沢山あります。日本に修学旅行で生徒達を連れて行った時に、よく間違って日本人に英語で説明したり、日本語を話さない同僚に日本語で話したり、英語と日本語がごちゃごちゃになる事がよくあります。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 警察官です。よく子供の頃は「どろけい」という遊びをしました。これは「警察官」と「どろぼう」という二つのグループに分かれてする鬼ごっこです。僕はもちろん「警察官」の役でした。後は、小学生の時はテレビの前で空気銃を片手に西部警察を見ていました。渡哲也率いる大門軍団に入りたいと思っていました。

休日の過ごし方
 友達と御飯を食べに行ったり、飲みに行ったりします。よく昔の話で盛り上がります。お酒を片手に、同じ話を同じ仲間で同じように話して大笑いしている時がとても楽しいですね。後は、スターバックスでラテを飲みながら、本を読んでいます。

乗っている車
 白いラインが入っている青のミニクーパー。今までシビックに始まり、ジープやフォルクスワーゲンに乗ってきましたが、ミニクーパーに収まりました。町中は最高ですけど、遠出には向いてないですね。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 平均の睡眠時間は6時間です。朝は7時前に起きますが、就寝時間はバラバラです。夜7時に疲れてそのまま寝てしまう日もありますが、夜12時まで仕事をしている時もあります。

好きな場所
 ヒルズデールにあるホールフーズの近くのスターバックス。お客さんが少ないんです。

最もお気に入りのレストラン
 Osha Thaiがいいですね。ゲーリーストリートにあるOshaはよく大学時代に通いました。今は、2ndストリートのOshaによく行きます。色々な思い出がありますね。

よく利用する日本食レストラン
 サンマテオにある「やきとりKOKKO」です。多い時は週に3回行く時もあります。何でも美味しいですが、一番おいしいのは親子丼です。やきとりだと牛タンです。

1億円当たったとして、その使い道
 今まで旅行中に出会った人、大学時代の友達など、世界に散らばっている友達を招待してパーティーがしたいです。そしてそれぞれの冒険談を聞きたいです。

日本に戻る頻度
 教師という仕事は休みが多いので、6月末から8月末までの夏休み、2月にあるスキー休み、4月の春休み、そして5月の修学旅行で日本に行く事があります。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 最近、朝5時すぎにコソ泥が僕の車の中の物を盗もうとしていた事です。

日本に郷愁を感じるとき
 やっぱり家族です。甥っ子や姪っ子もどんどん大きくなるし、親は年とるし、僕も年とりますし、家族と一緒にいる時間が大切ですね。

お勧めの観光地
 日本だったら、湯田中の温泉郷が良いです。海外だったら、ボリビアです。ボリビアではウユニ塩湖へオフロードの旅をしたり、ルレナバケでアナコンダ探しに行ったり、ピラニアと泳いだりできます。後は、デスロードを自転車で滑走するのも楽しいです。

永住したい都市
 北海道の知床とかいいですね。自然のある所でゆっくり生活したいです。

最も印象に残っている本
 大学時代は犯罪社会学が専攻だったのですが、サンフランシスコ州立大学のProfessor Curtinが書いた本(教科書)が印象的ですね。新しい視点からアメリカ社会を説明していました。それをきっかけに犯罪社会学を専攻に選びました。

自分を動物にたとえると? なぜ?
 長野の地獄谷温泉の猿。落ち着きがなく、温泉が好きだからです。

5年後の自分に期待すること
 5年後も自分の人生の目的に向かって、毎日ワクワクする事をしながら過ごしたいです。いつも去年の自分に「おつかれさま」と言えるように精一杯1年を頑張りたいです。5年後は同じビジョンを持った人達と学校を建てて、独自の教育を展開したいと思います。

座右の銘は?
 虚心坦懐です。「虚心」は心に先入観やわだかまりがなく、ありのままを素直に受け入れる事のできる心の状態。「坦懐」はわだかまりなく、さっぱりとした心。平静な心境です。人間関係を築く上でとても重要だと思います。この言葉をとても大切にしています。


取材を終えて
 ギフティッド教育、EQ(感情知能)教育といった日本ではあまり馴染みのない教育を日本でも広めようと活動されている今瀬さん。今後のご活躍を期待しております。

(BaySpo 2012/09/21号 掲載)

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