ビジネス編  Vol.71
横尾 健治さん
 佐賀県出身。熊本大学を卒業後、第一生命に入社。1993年、渡米。USFのParalegal Certificateプログラムを終了し、GAP Inc.で日本やヨーロッパ諸国の店舗設置関連事業を担当。後、Morrison&Foerster弁護士事務所、東京三菱銀行サンフランシスコ支店に勤務。2007年に自身の会社Kenji Yokoo Fine Arts, Inc.を設立。2012年にはインターネットサイトAirbnbを利用したバケーションレンタルビジネスをスタートした。
旅行者にも現地の人と同じような生活の経験を
 長年の夢を叶えてサンフランシスコに移り住み、法律のバックグラウンドを持ちながら、現在はアートディーリングとバケーションレンタルのビジネスを行う横尾さんにベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
横尾 健治さん

(Kenji Yokoo)BaySpo 1276号(2013/05/10)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 大学卒業後、第一生命の総合職として仕事を始めましたが、その仕事が果たして自己実現に繋がるのかどうかと疑問を抱いて「若い間であれば何でもできる」と、従来からの夢であった外国での生活をしたいと考えました。当時サンフランシスコに友人がいて、留学の手伝いなどをしてもらうことができたことと、大学在学中に旅行で訪ねた時にアジアンコミュニティーが大きいという印象もあったので、1993年に渡米しました。

ベイエリアの印象
 有名な都市であるにもかかわらず、大都市過ぎず、公共手段で色々なところへ行け、様々な民族、文化、芸術が上手く共存している所で、しかも気候がとてもマイルド。また、食べ物、飲み物(特にワイン)が美味しい。

自分の専門分野について
 カリフォルニア在住のコンテンポラリーアーティストの作品を紹介したり、1800年代後半から1900年代前半頃の主に旅にかかわるアンティークの販売をするアートディーリングと、「Airbnb」というインターネット・バケーションレンタルサイトを通してビジネスをしています。

その道に進むことになったきっかけ
 ますアートディーリングですが、私は小さい頃からアンティークやアートがとても好きで、サンフランシスコに来てからは、この街が1984年の金鉱発見を機に街となってからの古い建物が意外なほど良く残っていて、当時の日本とは違い古いものを残しながら新しいものと上手く調和させて活用していることを非常に興味深く思っていました。40歳を迎えるにあたり、その当時までは趣味として楽しんでいたアートをどうにかビジネスにつなげられないかと考え、日本にカリフォルニアのコンテンポラリーアートを紹介することや、長年蒐集していたアンティークコレクションをベースにアートディーリングのビジネスを始めました。その後、去年ロシアンヒルに長年夢であった1907年築のエドワーディアンの2フラットの建物を購入し、それを自らがジェネラルコントラクターとなってリノベーションを実施。古き良きサンフランシスコの雰囲気を伝えられる場所で、現地の人と同じような生活を国内外の旅行者に経験してもらえるように、そのうちの1つをバケーションレンタルとして貸し出し始めました。

英語で仕事をするということ
 20年の時をほとんどをサンフランシスコで過ごしていますので、英語で仕事をすることは普通のこととなりましたが、やはりいつでもどこかで正しく使えてるかどうか(伝えているかどうか)を考えてしまいます。特にバケーションレンタルのビジネスを始めてからは海外からのお客様も多く、英語でのコミュニケーションの大切さとともに、人間同士の言葉を超えたコミュニケーションの大切さを感じています。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に
 弁護士資格を取り、アート分野の専門弁護士になっていたかなと思います。

あなたにとって仕事とは
 長年会社組織で働き、その対価として給与を頂く生活をしていましたが、今のように独立して働いて報酬を得るのは対価の不安定さはあります。しかし、自分が素晴らしいと思えるものを相手に紹介したり、それを共有することで相手に本当に喜んで貰えて、しかも報酬が頂けるのはとても幸せなことです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 小学生の時に「ツタンカーメン王の秘密」という本を読んで、考古学者になりたいと長い間思っていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 銀行でサラリーマンを続けていたのではないかと思います。

現在、住んでいる家 
 サンフランシスコのロシアンヒルにある2ベットルームのフラット。

乗っている車
 1998年モデルのホンダ・シビック。もうボロボロですが、とても頼りになる車です。

休日の過ごし方
 長期の休みとなれば旅行をすることが多いですが、週末であれば、友人達と集まっての食べ歩きや、ワインカントリーまで出かけてワイナリー巡りをしたりして楽しんでいます。

好きな場所
 平日のあまり混んでいない美術館。

最もお気に入りのレストラン
 自宅の近所にあるスパニッシュタパスの店「Zazuela」。ハイド・ストリートのケーブルカーを見ながらサングリアを飲み、旬の食材を使ったシンプルな小皿料理を色々としめます。たくさん飲んでも歩いて帰れるのもいいですね(笑)。

よく利用する日本食レストラン
 サンフランシスコ、チェストナットストリート近辺にある「Chotto(ちょっと)」というお店。シェフはアメリカ人ですが、味は日本。カウンターで日本酒や焼酎を傾けながら美味しい一品料理を食べていると、ふと日本にいるような錯覚に陥ってしまいます。

1億円当たったとして、その使い道
 バケーションレンタルビジネスを拡大するための物件購入資金に充てます。

日本に戻る頻度
 1年に1回ほど。佐賀の実家に両親がいますので、せめて顔を見せに帰ろうと。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 私は魚が好きなのですが、日本で普通に食べることのできる、さまざまな種類の新鮮な魚を手に入れることが難しいこと。

ベイエリア生活で不安に感じること
 東日本大震災等の災害が起こり、ベイエリアも同じように地震地域ですので、準備と覚悟はしているつもりですが、やはりとても不安に感じるときがあります。

お勧めの観光地
 イタリア、トスカーナ地方にある、ルッカという16〜17世紀の城壁に囲まれた街。ここはフィレンツェやピサにも近いのですが、観光地化し過ぎておらず、6年ほど前にここで山々を見下ろすヴィラを友人達と一緒に借り、その時の素晴らしい経験が現在のビジネスであるバケーションレンタルにも繋がっています。

永住したい都市
 やはりサンフランシスコ、ベイエリアです。気候、文化においてとても住み易く、今まで様々なところへ旅行しましたが、帰る度に「何と素晴らしいところに住んでいるんだろう」と感じます。

5年後の自分に期待すること
 現在のビジネスを軌道に乗せて、バケーションレンタルのユニットを増やし、私がサポートするアーティストの作品を見てもらえるスペースを作っていたいですね。

最も印象に残っている本
 1985年に映画にもなったアリス・ウォーカー著の『カラー・パープル』です。 

最近読んだ本
 Susan Vreeland著の『Clara and Mr. Tiffany』。ティファニーのステンドグラスやランプシェードが製作される上で重要な役割を果たした女性のストーリーを事実に基づいて小説化したものです。

最も印象に残っている映画
 『私に近い6人の他人(Six Degrees Separation)』という映画が色々な意味で私が現在の仕事をするようになったきっかけを作ったともいえる映画です。

最近観た映画
 ジャック・ケルアックの『路上(オン・ザ・ロード)』を映画化した『OnThe Road』をKabuki Theaterで観ました。

自分を動物にたとえると
 チーズが大好きなのでねずみでしょうか?

座右の銘
 元々私の母が座右の銘にしているものでしたが、上杉鷹山の「成せば成る、成さねば成らぬ何事も、成らぬは人の成さぬなりけり」は、困難な状況に陥ったときに自分を奮い立たせるのに役立っています。

(BaySpo 2013/05/10号 掲載)

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