ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年 大学院時代に読んだ論文に感銘を受け、著者(今のボス)と一緒に研究がしたいと思ったのがきっかけです。彼が違うところで研究していたらそこに行ったと思います。ベイエリアに研究室があったのは運がよかったです。そこから連絡をとり、海外で研究するための奨学金を取得し、2011年4月に妻とともに渡米しました。
ベイエリアの印象 気候がとてもよく、緑豊かで自然が身近にあり、人は優しく感じます。質の高い出逢いが多い印象です。渡米当初は初めての海外生活に戸惑いもありましたが、想像していたよりも住みやすい環境で仕事、生活ともに充実した日々を過ごしています。日本の商品や食材も比較的簡単に手に入るので、海外生活のハードルが最も低い地域のひとつではないでしょうか。
自分の専門分野について カーネギー研究所で植物の「かたちづくり」や「環境応答」の仕組みを理解するための研究を行っています。カーネギー研究所は1902年に鉄鋼王と呼ばれるAndrew Carnegieが科学技術を支援する目的で設立した研究所で、米国内に6つの研究分野を有しています。そのうちの2つ、植物生物学と環境生態学が、スタンフォード大学のキャンパス内に立地しています。植物科学分野では、直面する農業、環境、エネルギー問題を解決するための基盤を築くことを目的としています。
その道に進むことになったきっかけ 大学時代、サッカー以外で夢中になることができたのが生物学でした。特に、「分子のレベルで生命現象を理解する」ということが魅力的で、どんどんはまっていきました。出会った先生方や先輩方が格好良かったこともこの道を選択する決め手となりました。植物はなぜ真っ直ぐ伸びるのか? という問いを研究していたらここまで来ました。
英語で仕事をするということ 研究では情報の正確性が大事ですので、誰が読んでも同じ意味として受け取られるような英語を意識しています。ただの平易な文になることが多いので、もう少し深みが出せるようにしたいですが。
英語で失敗したエピソード 細やかなニュアンスを伝えられなくて共同研究者の気分を害することがありました。微妙な感情を言葉に乗せることが難しいです。
英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
自分の文化背景が変わりそうですが、100%ネイティブでも今の仕事がいいです。
あなたにとって仕事とは? 社会貢献を念頭に、誰も知らないことを世界で初めて明らかにする。この刺激的な活動を通して、新規な情報を提供することで、世の中に役に立つような働きができることが理想です。
生まれて初めてなりたいと思った職業 小学校4年生の文集のなりたい職業欄に「プロのサッカー選手になりたいけど、簡単ではないだろうから学校の先生」と書いてありました。サッカーは好きだけど才能がないとあきらめていたのでしょう。冷めた子供ですね。教師が簡単だと思っていたわけではなく、生物の先生になりたいと思っていました。理由は単純で、その当時カブトムシとクワガタムシが好き過ぎたからでした。いきものが好きなら生物の先生という視野の狭さも垣間見えますが、カブトムシとクワガタムシを大量に捕獲して模写していたことを覚えています。
いまの仕事に就いていなかったら 今はサイエンスを通して世の中の情報を増やすという仕事をしていますが、情報を選択し伝播する仕事も面白いと思います。誰かの何かのきっかけになることができる仕事は素敵です。
現在、住んでいる家 家族が増えるたびに転々としています。今はスタンフォード大学横のアパートメントに落ち着いています。
睡眠時間・起床時間・就寝時間 子供を寝かしつけてそのまま一緒に寝落ちるということが多々ありますが、12時就寝、7時起床で7時間。
休日の過ごし方 SFコリンチャンスでサッカー、友人とバーベキュー、家族でお出かけ。バーベキューできる場所がどこにでもあるので、こちらに来てからバーベキューすることがほんとに増えました。気持ちのいい太陽と木々の下で手軽にのんびりと、おもしろおかしく過ごせるのがいいですね。
好きな場所 Oakland Zoo。 年間パスを購入して子供とよく行きます。それほど広くなく子供と行くには丁度よい大きさですが、リクガメやコウモリなど動物の種類が豊富で何度でも楽しめます。ヤギや羊などとふれあう場もあるので触覚でも動物を感じることもできます。行く度に子供の反応が変化するので、それを楽しめることも好きな理由のひとつです。一番のおすすめはテナガザルです。
最もお気に入りのレストラン Palo AltoのTown & Country Village内にある「Douce France」。こちらに来て最も利用しているカフェです。
よく利用する日本食レストラン Mountain Viewの割烹「波浪」。子供連れでも入りやすいのでよく利用します。
1億円当たったとして、その使い道 6000万円で顕微鏡を買って、毎年1000万円ずつ研究費にまわして4年間。ワクワクしますね。
日本に戻る頻度 日本で開催される学会に合わせて年に1回ほど。
現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき 温度や重さ、距離など単位がアメリカ独特なこと。紙のサイズ規格も異なるので日本用に書類を準備するときに面倒なことがあります。それと、コンビニがあればいいなとたまに思います。
現在のベイエリア生活で不安に感じること 家賃と物価の上昇にどのように対応していくか。
お勧めの観光地 Muir Woods National Monument。ゴールデンゲートブリッジから約12マイルという近距離にある国定公園。メイントレイルは舗装されているのでベビーカーを押してでもレッドウッドを楽しむことができます。子連れにもやさしいのでおすすめです。シダ植物やコケ類、地衣類も豊富で見ていて飽きません。ハイキングトレイルも充実しているので来客時にもよく行きます。休日の日中はパーキングが混むので朝早く行くか少し遅めに行くことをおすすめします。
5年後の自分に期待すること 好きなことを継続してできる努力を続けていること。
最も印象に残っている本 「よじのぼり植物」。C.Darwinによる、植物のよじのぼり運動の観察記録。原著は150年前に出版されていますが、ここで報告されている植物の巧妙な仕組みを現代の生物学がどこまで解説できるのか。まだまだ分かっていないことは多いですね。
最近読んだ本 坂口安吾の「白痴」。青空文庫さんにはお世話になっています。
最も印象に残っている映画 浅野忠信さん主演の『Focus』。この映画での演技に衝撃を受け、これをきっかけに浅野忠信さんの出演作を中心に一時期邦画を観まくりました。
最近観た映画 こちらも浅野忠信さん主演の『Electric Dragon 80000 V』。先日のJ-POP SUMMITのカストロシアターで、浅野さんご本人と一緒に鑑賞できたことはいい思い出です。
自分を動物にたとえると?なぜ? 蛇でしょうか。しつこい性格なので(笑)。
座右の銘は? 「継続は力なり」。