一般編  Vol.227
グレース・めぐみ・フレミングさん
イリノイ州生まれ。3歳から10歳までを日本で過ごす。カリフォルニア大学バークレー校・東アジア言語文化学部で学士号、州立大学サンフランシスコ校で臨床心理学の修士号取得。バイリンガルストーリーテラーとして、日本のむかしばなし、日系アメリカ人のストーリーなどの語り・パフォーマンスを行う。Hand in Hand Parentingの「つながり子育て」インストラクター。
憧れは子供の話が聞けるおばあさん
バイリンガル、バイカルチャーであることを生かして、ストーリーテラー、子育てインストラクターとして活動するめぐみさんに、ベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
グレース・めぐみ・フレミングさん

(Grace Megumi Fleming )BaySpo 1478号(2017/03/24)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 アメリカ生まれで3歳の時、日本人の母、アメリカ人の父、アメリカ生まれの妹と渡日。当時はバイリンガルだったらしいけれど、すぐ英語を忘れてしまったそうです。日本語しか話せなかった10歳の時に家族で再渡米。結婚してからは1989年から1992年まで日本に住み、その後、東京生まれの息子と主人と再びアメリカに戻って来ました。

ベイエリアの印象
 ベイエリアの人種のダイバーシティ(多様性)、色々な人種や文化が混じり合っているところが好きです。私の甥っ子、姪っ子たちもまさにその代表といった感じで、日系の子はもちろん、モロッコ、イラン、メキシコ、中国、ベトナム・ラオス、アフリカン・アメリカン系の子たちがいます。それからベイエリアには海と山の両方があることも気に入っています。家族や友達と一緒に山道を自転車や一輪車に乗るのは快適です!

自分の専門分野について
 カリフォルニア大学バークレー校の東アジア言語・文化学部で学士号を取得、その後、州立大学サンフランシスコ校で臨床心理学の修士号を取りました。何年かセラピスト、ヒプノセラピスト(催眠療法士)として働きましたが、子供が生まれてからは、バイリンガル・ストーリーテラーとして活動。現在は、パロアルトにある非営利の家族支援グループ、ハンド・イン・ハンド・ペアレンティングの「つながり子育て」のインストラクターをしています。

その道に進むことになったきっかけ
 10歳でアメリカに来たとき、日本の親戚、慣れ親しんだ環境、文化から離れるのがとても辛かったんです。大学で日本語を勉強したのは日本が恋しかったから。また、家族関係もとても大変だったので、親子関係をもっと楽しく意味のあるものにできるかどうか知りたくて、大学院では臨床心理学を専攻しました。

英語・日本語を使うということ
 日本語で「つながり子育て」を紹介していると、この尊敬深く、やさしく、「耳を傾ける」方法を知らなかった自分の母親に、今やっと私の心の声を聴いてもらっている感じがするんです。英語で日本のむかしばなしを語ると、アメリカの子供たちにも私の好きな文化を知ってもらえるのでうれしく思います。

言葉で失敗したエピソード
 東京からカリフォルニアのターロックに移って来た現地校5年生の時、教室で自分がとっても楽しかった出来事を2分ほど一生懸命に話したんです。みんなは微笑んではくれましたが、だれも笑ってくれなかった、という思い出があります。
あなたにとって仕事とは?
 親子がお互いに耳を傾けて、心を喜ばせながら一緒に遊んだり、勉強したり、働いたりできるような情報とエピソードをできるだけ分かりやすく、楽しくシェアすること。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼稚園の先生。先生は生徒が帰ったあと、幼稚園にあるおもちゃでこっそり遊んでいるんだろうな〜と思っていたから。

いまの仕事に就いていなかったら
 大学時代にアルバイトをしていたレストランでウェイトレスをしていたかも?

現在、住んでいる家
 ロスガトスの一軒家。

乗っている車
 2002年のマツダと2002年の日産車。2台とも黄色です。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 8時間が理想ですが、起床時間は7時15分ごろ、就寝時間は午前12時ごろ。

好きな場所
 サンタクルーズ、富山県、東京、日本アルプス、北海道、青森、京都。イタリアのトスカーナ。

最もお気に入りのレストラン
 ほとんど毎週日曜日は自転車で20マイルほど走って、おなかをすかせてからサンタクルーズの「Betty Burgers」に行きます。日向ぼっこをしながら楽しい雰囲気の中、自転車や一輪車で一緒に走った友達とおしゃべりしながら食べるのがお気に入りです。

日本に戻る頻度
 母が日本の認知症専門のグループホームにいるので年に1度か2度は戻ります。

最近日本に戻って驚いたこと
 赤ちゃんを抱っこしているお父さんたちを見かけることが増えたこと。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 いろいろです。数年前は東急ハンズで「コップのフチ子」をよく買っていました。それから、大好きな河童をデザインしたシールなども。日本は漫画で難しい現象の説明をするテクニックがとても進んでいるので、『我が家の母はビョーキです』といった気になる本を手に入れたり、友達が持っていた使いやすいお箸が気に入って、合羽橋をさがし回っても無くて、結局ダイソーで見つけたこともあります(笑)。

日本に郷愁を感じるとき
 お正月、お盆、春祭りの時期、「日本にいたらな〜」と思ってしまいます。歴史ある建物や何百年も前から私たちを見守ってくれている樹木がある神社やお寺で、お参りをしたり、感謝いっぱいの気持ちでいられるだけで幸せな気持ちになります。除夜の鐘をついたり、その鐘の音聞くのは、やはり日本でないと雰囲気が違います。お盆は一度しか覚えていないのですが印象深く、親戚がたくさん集まって、みんなで食卓を囲むっていいですね。母の実家は富山の魚津なので、美味しいお魚いっぱいありました。親戚は金髪で青い眼の夫が珍しかったらしく、いろんな質問をして楽しんでいました。東京生まれの息子は、東京の明治神宮でお宮参りをして、七五三は京都の平安神宮でしました。友人が呉服商なので、彼のアドバイスで衣装を借りて本格的にしたんですよ。

お勧めの観光地
 自然が好きで、ハイキングやマウンテンバイクが好きな人にはサンタクルーズの山、ヨセミテ、ユタ州のモアブ。春はDeath Valleyの花見。アートが好きな人にはサンフランシスコの様々な美術館です。

5年後の自分に期待すること
 もっと子供が喜べるように遊べるおばさん、おばあさんになりたい。けんかしたり、引きこもっている子供(と大人)でも、しっかりやさしく話を聞いてあげられるおばさん(おばあさん)になりたい。「つながり子育て」を日本語と英語でもっと上手に教えたいです。

最も印象に残っている本
 冒険物、特に冒険が好きな女の子を描いた本が好きでした。1年生の先生に読み聞かせてもらった『ももいろのきりん』や、小学生のときに読んだ、『ガリバーの旅行記』、『エルマーのぼうけん』、『長くつ下のピッピ』。

最近読んだ本
 家族支援グループ、ハンド・イン・ハンド・ペアレンティングの創立者、パティ・ウィフラー著の『LISTEN: Five Simple Tools to Meet Your Everyday Parenting Challenges』。「つながり子育て」のツールを英語で読んで日本語で話し合う、ブッククラブ+勉強会をうちでホストしています。毎週、9人ぐらいのお母さんたちと脳研究の話しをしたりする活動で、お互いを深く尊敬しあうサポートグループです。

最も印象に残っている映画
 幼稚園の時に映画館で見た『バンビ』。スカンクのフラワーは可愛かったけど、印象に残ったのは怖いところばかり。最後はお母さんが猟師に撃たれちゃったし、山火事があったし・・・。しかもそんなに大変なのに、お父さんは遠くの山のてっぺんでかっこよくポーズしていた!

最近観た映画
 主人が観たくて観に行った『Ant Man』。私が観たくてNetflixで観たのは『あん』。すごく良かった。小豆とか木とか風の声が聞こえるおばあさんにあこがれました。横浜で焼き鳥店をしていたやさしい祖母を思い出しながら観ました。

自分を動物にたとえると? 
なぜ?
 トンボ。すいすい飛べるから。トンボのようにどの方向でも見える目で周りを見たい。

座右の銘
 Alone we can do so little; together we can do so much.(ヘレン・ケラー)一人でできることはほんのわずかだが、皆が共に力を合わせればたくさんのことができる。

(BaySpo 2017/03/24号 掲載)

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