一般編  Vol.299
上田 真子さん
アカデミーオブアート大学 Animation/VFX学科卒業。現在Niantic, Inc.(ナイアンティック社)の3DアーティストとしてARゲームの開発に携わる。
誰かの日常に少しでも感動を 生み出せる瞬間を
幼い頃からアニメーションやミュージカルを観て育ち、画面越しに映るアメリカの文化や雰囲気、特にサンフランシスコに魅せられ「住むのが憧れで仕方なかった」という上田さん。現在はPokémon GOで知られるNiantic社で3DアーティストとしてARゲーム開発に携わり、世界中の人と人を繋げたいと話す彼女に、ベイエリアでの生活について伺いました。
上田 真子さん

(Ueda Mako)BaySpo 1603号(2019/08/16)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 大学の進学がきっかけです。2010年、日本の高校を卒業後サンフランシスコに渡り、半年間の語学学校を経て、サンフランシスコ市内の美術大学アカデミーオブアートに入学しました。

自分の専門分野について
 Niantic, Inc.(ナイアンティック社)の3Dアーティストとして働いています。世界をリードする AR(拡張現実)企業としてARのゲームを開発しています。ゲーム以外にも文化庁メディア芸術祭での「Pokémon GO」の展示や「Ingress Prime」アノマリーイベントにてインターラクティブインスタレーションの製作に携わっています。

その道に進むことになったきっかけ
 小学校の時、TVに映るPIXARの社風に惹かれてアニメーションがしたいと思ったのがきっかけです。スタジオジブリとディズニーのアニメーションを観て育った私は、その頃からサンフランシスコに住むことが憧れで仕方なかったのを覚えています。テレビの画面越しに映るアメリカでは、Tシャツとジーンズで会社に行って、家族との時間を大切にする文化がある。ここで働きたいと子供ながらに思いました。

英語で仕事をするということ
 今でも大変なことだと思っています。アーティストだからこそ言葉が大切なんだと再確認することも何度もあります。チームでものづくりをするにあたって、説明する能力はどんな言語であっても求められます。また、SFのオフィスだけでなく、シアトルのチームと働くことが多いので、ビデオ電話やメールは特に意識してコミニュケーションには気をつけています。

英語で失敗したエピソード
 たくさんありすぎて、わからないです。いまだに馴染めないのは、sarcasticです。嘘なの? ほんとなの? と今でも戸惑ってしまいます。信じてしまって、何年か後に気づくことも…。でも、sarcasticは言えるようになってきたのかも。笑

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 カフェで働いたり、お花屋さんでバイトしてみたかったです。大学の時はビザの都合でバイトをしながら大学に通うことができなかったので、まわりの学生が羨ましく思う時もありました。実際のところ、バイトなどできる余裕など大学時代は全くありませんでしたが…。

あなたにとって仕事とは?
 世界中の人と人を繋げ、誰かの日常に少しでも感動を生み出せる瞬間を探す仕事だと思っています。私のいるNianticは、位置情報アプリや位置情報ゲームを製作しています。Nianticには、「ADVENTURES ON FOOT」というビジョンがあり、「人を外に連れ出そう!」その考えにとても共感し少しでも力になりたいと思いました。また、IngressやPokémon GOは毎年各国でLiveイベントも開催しています。ゲームを通して、国籍、世代や人種を越えて、人と人とが現実でも人と繋がり、交流することができます。私自身も各国のIngressのアノマリーに参加し、エージェントやトレーナーの方々と直接お話を聞いたり一緒にプレーできる時が一番嬉しいです。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 お花屋さん。朝がとても苦手なので挫折しました。

いまの仕事に就いていなかったら 
 美術館のキュレーターです。静かでひんやりとした美術館という空間が子供の頃から好きでした。今も趣味で美術館や建築を巡り歩いていますが、空間の演出や企画することに興味があるんだと思います。

休日の過ごし方
 梅酒作り、藍染など手で何かを作ることが多いです。Fort Masonで年に数回開催される、クラフトフェアに行くのがお気に入りの週末です。次はこんなもの作ってみたい! と創作意欲に駆られます。

好きな場所
「Sea Ranch」サンフランシスコから約160キロ(車で3時間ほど)の場所にあるシーランチコンドミディアムです。太平洋に向かって崖地に立つ木造の建築が自然に溶け込んで、とても美しいです。海に沿ってトレイルがあり、コーヒーのマグを持ったまま気軽にお散歩もできます。

よく利用する日本食レストラン
 Izakaya Rintaro(居酒屋りんたろう)さん。お弁当のパッケージがすごく可愛くて、和食ケータリング屋さん「Peko Peko(ペコペコ)」 の頃からすごく気になっていました。Mission地区にできたレストランは、木組みの素敵な建築のレストラン佇まいです。居酒屋スタイルのバーカウンター(調理場を眺め至福の瞬間)に座るのがお気に入りです。お昼の定食を食べに行くのがおすすめですが、夜メニューの手作りの梅酒、ミルフィーユ味噌カツ、羽根つき餃子は、マストオーダーです。なんともたまらないのが〆メニュー。いくら丼、納豆ご飯。あたかも、日本にいるかのような食事を楽しめるのがRintaroさんの魅力です。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 雑誌です。「Casa BRUTUS」、「POPEYE」や「美術手帖」は、バックナンバーをお取り寄せしています。とても重いのはわかっていても、建築や美術館の情報がとてもわかりやすくて日本の雑誌が大好きです。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
MUNIとBART。交通機関は、いまだに不便だと感じます。日本と比べて、時間帯によってホームやバス停も安全に感じません。大学生の時は、バス停に立っていたのに素通りされたこともあります。笑

日本に郷愁を感じるとき
 サンフランシスコは、年中春と秋の繰り返しのような気候なので桜の木を近所で見かけたり、蒸し暑い夜があると日本の四季を懐かしく想います。

永住したい都市
 デンマーク・コペンハーゲンです。コペンハーゲンは、街全体が洗練されたデザインに溢れていていました。特に、Tietgenkollegiet(チーィットゲンコレギエット)という学生寮があるのですが、とても素敵な建築なんです。学生時代住んでみたかった…。

5年後の自分に期待すること
 変わっていくことを楽しみ、沢山のことに挑戦し続けたいです。その瞬間をワクワクさせられるアーティストになっていますように!

最も印象に残っている映画
 『RENT』です。ミュージカルが好きで、高校生の時にたくさんのミュージカル映画を見ていました。その一つが、RENTです。日本に住んでいたので、LGBTやHIVを題材にした内容に驚きと感動がありました。今日という日を大切に生きてというメッセージが込もった『Seasons of Love 』という曲が大好きでした。

最近観た映画
 『The Last black man in San Francisco』色彩や構図が芸術的な映画で、サンフランシスコの街を知っているからこそ100倍楽しめる作品だと思います。

(BaySpo 2019/08/16号 掲載)

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