ビジネス編  Vol.85
藤本 真也さん
カーネギーメロン大学コンピューター工学科卒。外資系半導体企業でゲーム機のCPU開発に携わる。その後雑貨の輸入販売会社を起業し、京都から紙工作キット・パイプロイドを米国全土に展開。2016年には日本を代表するお好み焼き店「鶴橋風月」の米国一号店をサンタクララにオープン。日本と米国の架け橋になるべく、業種にとらわれず日々奮闘中。Magnote Corporation - President & CEO、Kansai Gourmet Services Inc. - Chief Okonomiyaki Officer
垣根を越えた人脈と視点で新たな市場を作る
エンジニアとしてベイエリアへ移住後、現在は起業家としてベイエリアでお好み焼き屋「鶴橋風月」を始め、コンサルティングや雑貨輸入会社なども経営する藤本さん。「業種にとらわれず新しいビジネスを開拓したい」と話す彼に、ここでの暮らしについて伺いました。
藤本 真也さん

(Shinya Fujimoto)BaySpo 1687号(2021/03/26)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 アメリカの大学を卒業後に日本で外資系半導体の会社でエンジニアとして働きだしました。その後プレイステーション2の開発でベイエリアへ転籍となったのが1998年なので、かれこれもう23年になります。

ベイエリアの印象
 大学で4年間住んでいた東海岸のピッツバーグでは秋から春先まで雪に埋もれる毎日だったので、最初にベイエリアへ赴任した時は同じアメリカでこんなに気候が違うのかと驚きました。あと高い建物がないので空が広いなぁと、いつも日本から出張で戻ってきた時に思います。

自分の専門分野について
 エンジニアとしてはCPUの設計をしていたので、かつてはそこが専門分野でした。その後10年以上前に独立・起業してからは雑貨の輸入・卸販売、日系企業のアメリカ進出支援、新規事業の企画立案、お好み焼き屋の経営など、色々とやってて絞るのが難しいのですが、強いて言うと業界の垣根を越えた人脈と視点で日本とアメリカを繋いで新たな市場を作るということでしょうか。

その道に進むことになったきっかけ
 私の父親は大阪で50年前に大手企業を脱サラして、その頃まだあまり一般的にではなかった英語の塾を自宅の庭にプレハブを建てて開講しました。さらに学生時代にはバイトで貯めたお金でシベリア鉄道で大陸を横断してイギリスへ留学したという話など、「ようやるわ」と言うような話をいつも聞かされていました。そのような環境で育ったということが、何事にも興味を持ったのであれば全力でチャレンジするという性格につながっているのではないかと思います。

英語で仕事をするということ
 小学生の時、母親のアメリカ留学に伴い家族でボストンに住んでいたため、幸い英語はその時にある程度身につきました。なのでコミュニケーションに不自由は感じないのですが、関西人なのでボケとツッコミがなかなか英語では同じノリでできないのが歯がゆく感じます。

あなたにとって仕事とは?
 ワクワクするような楽しいことに全力で立ち向かい、辛いことも家族や仲間の助けを借りながら乗り越え、常に自分自身の可能性を広げられることを追い求めています。その過程が結果として収入になったり新しい商品やサービスに繋がっているので、それが仕事というのであればそうなのかもしれません。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 幼稚園の頃はスーパーのレジのボタンが押したくて、将来はスーパーでレジ打ちになるつもりでした。小学校高学年の頃はゲームのプログラマーになりたくて、自作のゲームを作ったりして遊んでいました。

いまの仕事に就いていなかったら
 私はテレビゲームの進化と共に成長し、おもちゃ屋でバイトをしながら関西代表として全国大会に出場するほどのゲーマーだったので、やっぱり何かしらゲーム関係の仕事に就いていたと思います。

現在、住んでいる家
 フリーモントに一軒家で家族4人で住んでいます。

乗っている車
 日産の電気自動車、リーフです。今となっては電気自動車はこの界隈はいっぱい走ってますが、ミーハーな私は10年前の販売直後に購入しました。

睡眠時間・起床時間・就寝時間
 1時ぐらいに寝て7時には起きるので平均6時間ぐらいですが、相撲をやってる時期は嫁さんにつられてライブで観てしまうので、夏は夜中2時すぎまで起きているので寝不足です。

休日の過ごし方
 自営をやっていると休日というものがあってないようなものなのですが、子どもとテレビゲームをしたり吉本新喜劇や漫才を観たりしてます。

好きな場所
 マウイはのんびりしてて現実逃避するにはもってこいですね。日本に帰るとよく有馬温泉に家族で行ってます。

最もお気に入りのレストラン
 お好み焼きの風月というと宣伝みたいになっちゃいますが、実際好きじゃないと飲食店経営はできないと思います。

よく利用する日本食レストラン
 コロナの前はサニーベールの六甲やサンタクララの炭屋によく行ってました。

1億円当たったとして、その使い道
 ベイエリアじゃ1億円だとすぐ使っちゃいますが、次の事業の初期投資でしょうか。

日本に戻る頻度
 ずっと年5回ほど戻っていましたが、コロナでもう一年以上戻ってないです。

日本に持って行くお土産
 ワイン、ナッツ、ドライフルーツ、エコバッグ、あと逆輸入の紙工作キットのパイプロイド

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 焼酎、日本酒、干物、ってただの呑兵衛ですね。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 これは皆さんもそうでしょうが、コロナの隔離生活がカリフォルニアは特に激しいので、テキサスの友人が羨ましいです。

現在のベイエリア生活で不安に感じること
 医療費・保険が異常に高いこと、銃規制が一向に進まないこと、大学の学費が高いこと。この3つはベイエリアというよりアメリカの三重苦ですね。

日本に郷愁を感じるとき
 テレビで温泉が紹介されたりするときや、紅白見てるときには帰りたくなります。
お勧めの観光地
 LivermoreやLodiのワイナリーはまだ観光地化してないのでお勧めです!

永住したい都市
 春秋は大阪、夏冬はベイエリアが良いですね。

5年後の自分に期待すること
 まずは新たに手掛けている日系オンラインコンビニを軌道に載せていること。あとは子どもも就職したり大学に入っている(はず)なので、少しアメリカから日本へ活動の比重を移しつつ、これまでの経験を活かして新しいチャレンジで成果を出していたいなと思います。

最も印象に残っている映画
 『Black Rain』大阪が舞台で高倉健とマイケルダグラスの日米合作、松田優作も出ててよかったなぁ。

最近観た映画
 飛行機乗ってた頃はちょくちょく見ていたのですが、ちゃんと観たのはちょっと前の『Toy Story 4』ですね。

座右の銘は?
 Gotta do what you gotta do.「やるべきことはしっかりやる」やらないといけないと分かってたのに、面倒だったり一歩踏み出す勇気がなくやらずに後悔したことが若い頃はたくさんあったので、自分に言い聞かせるために唱えています。

(BaySpo 2021/03/26号 掲載)

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