文化芸能編  Vol.18
碓井美樹さん
編集者、記者。神奈川県横浜市出身。大学卒業後、出版社へ。家庭誌、ファッション誌、インテリア誌の編集者を経て、2003年から約5年、『雑貨カタログ』(主婦の友社)編集長を務める。ライフスタイル分野の書籍も多数編集。現在はサンフランシスコ在住。サンフランシスコを題材にした編著書に『サンフランシスコのキッチン』(ジュウ・ドウ・ポウム/主婦の友社)、愛用するものについてのフォトエッセイ『BASIC&FUN!』(マーブルトロン/中央公論新社)がある。また、フードマガジン『cafe sweets』(柴田書店)で、「lovely sweets @ sanfrancisco」連載中。8月14日に新刊『レタープレスのデザイン』(ピエブックス)を発売予定。ウェブサイト:www.zakkanews.com
ここはライフスタイルを取材するのが面白い
日本では家庭誌『主婦の友』やインテリア誌『プラスワンリビング』などの編集者を経て、『雑貨カタログ』では4代目編集長を務めるなど、出版業界で活躍してきた碓井美樹さん。現在はサンフランシスコに在住し、エッセイ本の出版やコラム連載を通して、サンフランシスコでのライフスタイルを発信している。そんな碓井さんに暮らしぶりを聞いた。
碓井美樹さん

編集者(Miki Usui)BaySpo 1128号(2010/07/02)掲載

日本での仕事について
 日本では且蝠wの友社に13年間勤め、特に食やインテリア、雑貨などライフスタイル系の雑誌の編集をしていました。もともとは新卒で鰍メあに入社しました。編集部に配属され、旅の特集や食の特集を担当したりして、それもとても楽しかったのですが、総合出版社で女性誌がやりたいとずっと思っていたので転職しました。最初は家庭誌の『主婦の友』、それから、『新米・主婦の友』という新婚向けの新雑誌の創刊メンバーになり、料理や収納の企画をメインに担当。また、ファッション誌の『ef(エフ)』ではコスメや美容を担当しました。その後、『プラスワンリビング』というインテリア誌に異動になり、サンフランシスコに来る前までは『雑貨カタログ』で編集長を務めながら、同時にライフスタイル系の書籍を多数出版しました。

渡米したきっかけは?
 サンフランシスコで本の出版プロジェクトがあったので、2008年6月に渡米してきました。日本ではある程度、自分の目標を達成した感があり、一度、期間限定で海外に出てから、別のキャリアを作ってまた日本に戻れればと考えたんですね。フリーになって著者本を出せたらいいなとも思っていました。会社員だとなかなかできないことなので。それで、今年の3月に初めてのエッセイ本『Basic& Fun!』(マーブルブックス/中央公論新社)を出版したのですが、これは私の持ち物47点にまつわる話を、サンフランシスコの生活にからめて書いたものです。8月には、サンフランシスコとニューヨークの活版印刷のデザインスタジオについての本『レタープレスのデザイン』を出版予定で、今ちょうど執筆を進めているところです。

雑貨やインテリアはもともと好きだった?
 もともと子どもの頃からインテリアなどに興味があって、自分の部屋をいじるのが好きでしたね。全体を白でまとめていたので、緑色だった電気ストーブを自分で、カッティッグシートを貼って白くしたり、広さを出すために壁に大きな鏡を貼付けたり。

子どもの頃なりたかった職業は?
 作家です。昔から書くのが好きだったんです。こっちにきてすぐの頃、少しホームシック気味になったことがあったんですが、カフェで書きものをしていたらすぐに治っちゃいました。

書くのと編集、どちらがもっと好き?
 どちらも別の楽しさがあって好きですが、編集長として、全体を見ながら、スタッフと一緒にプロデュースしていくのは面白かったですね。隅々までかなり気合を入れて、ギリギリまでこだわって作っていました。その分、毎晩のように終電だったり、本当に忙しかったですけれど。
 今は雑誌より書籍の方に気持ちが向いていますが、書籍編集はひとつのプロダクトを作るような感覚です。最近はiPadやキンドルが出てきて、インターネットで活字がどんどん読めるようになってきています。でも紙である意味というのは、プロダクトとして後に残っていくことだと思うんです。なので、装丁などのデザインはもちろん、紙の質感にも、全てにこだわりながらモノを作っているところがあると思います。


ベイエリアの印象は?
 のんびりしていて、人が優しいですね。夏はエアコンいらずの過ごしやすい気候や果物や野菜がフレッシュで美味しいところも好きです。
 雑貨の取材対象としては、やっぱりパリや東京はお店の数がすごく多いのですが、サンフランシスコは体にいいものを食べるというのをごく自然にやっていたり、地に足を着けた暮らしをしている人たちが多いですよね。そのライフスタイルを取材するのがすごく面白い。アーティストやクリエイターもたくさんいます。世界中からアーティストが集まるニューヨークとはまた少し違って、サンフランシスコはクラフトマンシップというか、もっと地元の人たちが職人のような感じでものを作っているところがまたいいんですよね。

サンフランシスコで好きな場所は?
 ドロレスパーク周辺のグルメゲットー、18thストリートの辺りなど好きですね。最近はミッションベイが面白くて、取材でもよく行きます。20thと3rdストリートの辺りに缶詰工場だった大きな建物があるんですが、その中にかわいいデリがあったりして、アーティストもたくさん住んでいるんですよ。

世界中で好きな場所は?
 ニューヨークが好きで、大学のときから20回以上行ってるんです。蚤の市で雑貨を買っていたこともありました。ミュージカルが好きなので、毎回必ず何か観ます。一番好きな作品は「アイーダ」。さり気ない演出がすごくお洒落でした。東京では青山の裏側の少しひっそりしたエリアが好きです。

サンフランシスコでお気に入りのレストランは?
 「Bar Tartine」と「SPQR」、「OTD(out the door)」、「Chez Pnnise」、ピザの方の「Delfina」、「Rose Cafe」など好きです。最近よかったのが、ポトレロヒルにある「Flour Water」。ジャパンタウンの近くにある「Baker & Banker」も美味しかったですよ。周りにグルメの人たちが多いので、口コミで評判の場所に行くことが多いです。

流行や現地情報はどうやってキャッチする?
 私はけっこう感覚で動くタイプで、とにかく気になることがあったら必ず現場に行くようにしています。ネットで見て終わらせるのではなく、実際に行ってみるとやっぱり違うんですよね。なので、何かイベントがあったり、招待されたら、よっぽど予定が重ならない限り、1時間でも時間があれば行きますね。基本、ミーハーなので(笑)。こうしてアンテナを張っていると、雑貨に限らず、「あ、これ、この前も聞いたな」というのがだんだん多くなってきます。そこで企画を思いついたりすると、忘れないように、iPhoneにメモしておきます。

ベイエリアの生活で苦労する点は?
 やっぱり英語かな。取材の前と後に、メールや紙の上でのフォローが必ず必要ですね。

1日のスケジュールは?
 今はフリーなので、その日によってまったく違いますね。変わらないのは、毎朝7時起床。それから、朝か夜、必ず時間を作って、ワークアウトするようにしています。実は筋トレとか好きなんですよ(笑)。

休日の過ごし方
 友達とカフェでブランチをしたり、映画館や美術館に行ったりします。あと、ダンススタジオやジム、ファーマーズマーケット巡りも。たまにジップカーでドライブに行くこともあります。

日本に持って行くお土産は?
 ブルーボトルかリチュアルのコーヒー豆、ホールフーズのエコバッグ、ジューン・テイラーのメイヤーレモンのマーマレードかケチャップなど。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 梅干しと歯ブラシ。行きつけの歯医者で買ってるのが、小さくて、やわらかくていいんです。

日本に郷愁を感じるとき
 土用丑の日にうなぎが食べたくなるとき。毎年、みんなでうなぎを食べに行くのが一大イベントでした。

永住したい都市
 永住なら日本、東京かホームタウンの横浜です。

5年後の自分に期待すること
さらに、たくさんの5年分の仕事が形に残っているといいなと思います。

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インタビューを終えて
気になればすぐに足を運び、実際に目で見てくるという碓井さん。そこが日本であろうと、アメリカであろうと、どんどん人間関係を広げ、新しい世界を開拓していくそのバイタリティはさすがだと思いました。


碓井さんに5つの質問!

最も印象に残っている本
『アルケミスト』パウロ・コエーリョ

最も印象に残っている映画
『シェルブールの雨傘』とジャック・タチの『プレイタイム』

最近観た映画
『sex and the city2』
初日のミッドナイトの回をエミリービルで観ました。盛り上がりました(笑)。

自分を動物にたとえると?なぜ?
犬かな?(理想は大型犬ですが・・・)義理堅いところがあるから。

座右の銘は?
「(迷ったとき、問題にぶつかったとき)答えは全て自分の中にある」

(BaySpo 2010/07/02号 掲載)

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