一般編  Vol.115
石川 美佐子さん
北海道旭川市出身。地元でレポーターの仕事や、革職人に弟子入りし革製品を作るなどして活動。バックパッカーとしてタイ・ネパール旅行したのをきっかけに、英語をさらに勉強したいと2007年にニューヨークへ。半年後、サンフランシスコに引越す。日本舞踏グループ「凛華」を主催し、桜祭りや着物デーでパフォーマンスを披露している。着物デーについての問合せ先Eメール:kimonoday@yahoo.com
「一礼」の美しさにやられた!
世界を見るために英語を勉強したい、とやって来たアメリカで、凧揚げに参加したり、御神輿を間近で見たりと、逆に日本をもっと知るようになったという石川さん。現在「凛華」という日本舞踊のグループも主催し、サンフランシスコ日本町を中心に活動する石川さんの暮らしぶりを聞いた。
石川 美佐子さん

日本舞踏グループ「凛華」主催者(Misako Ishikawa)BaySpo 1125号(2010/06/11)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけは?

 英語の勉強をして世界一周するぞ!と、とても単純な理由でアメリカに来ました。最初は、北海道の田舎からいきなりニューヨークに来たので、その勢いに圧倒された同時に、そこに住むダンサーやカメラマンなど、夢に向かって頑張っている日本人の方と知り合いになり、刺激を受けました。ある時、アメリカの他の面も見てみたいということで、サンフランシスコに観光に来たのですが、ここで人々の親切さに感動したり、メルヘンな家の町並みに一目惚れし、引越してくること決意しました。

日本では?

 北海道の旭川でレポーターの仕事をしたり、革製品や鹿の角を使ったジュエリーを作る仕事をしていました。革製品の仕事場は、「クラークホース・ガーデン」というちょっと変わった牧場の中にあったのですが、そこでは従業員は皆、カウボーイネームを持っていたんですね。私は小柄だったので1ミリ、2ミリから「ミリー」という名前をつけてもらいました(笑)。今でも、アメリカではたまに自分のことを「ミリー」と紹介したりします。

世界一周しようと思ったのは?

 革製品の仕事をしていたとき、「深夜特急」を読んでバックパッカーに憧れ、タイとネパールに3ヶ月間、一人旅に出たんです。旅行英会話の本が手放せないくらいの英語力だったのに、一人でよく行ったなと思います。臆病なのに、行動力はあったんですね。その一人旅の経験が世界をすごく大きく広げてくれました。一番変わったのは、物欲がなくなったこと(笑)。女の子って色々なものを身の回りにおいておきたいし、買い物が好きじゃないですか。でもネパールでは、私が髪にしていたヘアピン1個をものすごく欲しがられてターコイズと物々交換したりして、ひとつひとつの物の有難みというのを感じました。それからはシンプルに生きよう、と心がけるようになりました。そして、もっと世界の色々なところを見たいと思うようになりました。

ベイエリアの印象は?

 海と山が近く、オーガニックでとても新鮮な野菜や果物がファーマーズマーケットで簡単に手に入るところは素敵ですね。
 あと、アメリカに来てから日本のことをもっと勉強するようになりました。ベイエリアでは特に凧揚げに参加したり、御神輿を間近で見たり、日本ではやったことのない日本らしい経験をしました。

日本舞踊の活動について

 私は凛華という日本舞踊グループで踊りを躍っています。個人ではこれまでもニューヨークのアートギャラリーやニュージャージーの桜祭りなどステージで踊りを披露させていただきました。その時は古典、新日舞など、先生にお稽古して頂いた曲を披露するというのがほとんどで、衣装や曲はすべて先生といった感じのスタイルでした。日本で草舞弦(soubugen)さんと一緒にパフォーマンスさせて頂いたことがあるのですが、その経験が凛華のスタイルのべースになっています。どういったものかというと、インドのシタールとタブラ、三味線という新しいスタイルのアジアン・フュージョン・ミュージックで、舞妓さんのような振り袖、だらり帯び風の衣装をまとい躍ります。舞妓さん1年目の結い方である日本髪割れしのぶ、自作の帯、かんざしなど衣装の構想も楽しくやっています。勉強途中なので、近くでご覧になると荒っぽさがまだまだあるとは思いますが、沢山の方に日本四季折々の着物伝統、文化や着物で躍る美しさを少しでもお伝えできるように活動していきたいと思っています。そしてもっと若い世代の人たちにも興味をもってもらい、ぜひ一緒に躍って頂きたいですね!私たち凛華は2ヶ月に1度、サンフランシスコ日本町で開催されている、着物を着て集まろうというイベント「着物デー」パフォーマンスをやっています。これからも、三線、ギター、ピアノなど色々な分野の方々とコラボさせて頂けるように、ラブコールを送り続けたいです!

踊りはいつから?

 子どもの頃から盆踊りなどは大好きでした。大人になってから、何か真剣に習ってみたいと思うようになり、最初はフランメンコやサルサ、アフリカンダンスなども様子を覗いたりしていました。あるとき、友達に日本舞踊の教室に誘われたのですが、そこで目にした先生の一礼にドキュン!とやられたんです。何だろう、この美しさは、と思い、どんどんとりこになっていったんですね。踊るのももちろん楽しいですが、先生がよく「着物は、着たまま日常生活がこなせるようにならなくては」と言うように、着物をきれいに見せるように動けるようになってくると、日本人としてとても嬉しいと感じます。

英語で仕事をするということ

 最近は特に踊りの関係で日本や着物のことばかり勉強していて、英語のボキャブラリーは増えてません。あらら…(笑)!日本らしい所作や、歴史、着物についてなどをうまく説明できるくらいの英語力と知識は身につけたいですね。

英語で失敗したエピソード

 ネパールで、英語も喋れないのに突然浴衣を来て踊ったことがありました。そこまではよかったのですが、その曲は1番までしか習っていなかったんです!そのことを英語でうまく説明もできずに、恥ずかしい思いをしました。

現在、住んでいる家

 サンフランシスコのリッチモンドに住んでいます。ニューヨークから引越してきたばかりのときは、何もわからずテンダーロインに住んでしまい、イメージしていたサンフランシスコと違う、とびっくりしました。一度、コインランドリーから服やシーツなどが全部無くなっていたことがあったんですよ!あとで監視ビデオを見せてもらったら、ホームレスらしき女性が全部の洗濯機からごっそり持って行く姿が映っていました…。

よく利用する日本食レストラン

 日本町の讃岐うどん屋さん「讃岐」はいつも「着物デー」の打ち上げに行きます。それからサンラファエルにある「umisushi」さんでは凛華のパーフォマンスの企画をしています。うどんや茶碗蒸し、デザートも手作りで美味しかった!

最近日本に戻って驚いたこと

 サービススマイルの美しさに嬉しくなります。それから、日本のレストランの料理の量が少ないと思った自分に驚きました。その後頼みすぎて、持ち帰りの容器をもらおうとしたら衛生上の理由で断られました…。

日本に郷愁を感じるとき

 先日、母の古い着物を送ってもらいました。あの着物のにおいはなにか凄く懐かしくて、心が温かくなりました。スープカレーを食べたくなったときも日本が恋しくなります。

日本に持って行くお土産

 こちらのスーパーのエコバックなど特に子どもがいるお友達には喜ばれました。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの

 着物関係の物。クラフトに使う古布です。今、使い古しのタオルやシーツなども使った「布ぞうり」を作っています。こちらの人は家の中で靴をはくし、これだと床掃除ができるので喜ばれると思います。

1億円当たったとしたら、その使い道

 音楽機材、照明、衣装などを揃えて「凛華世界ツアー」に出掛けたいです!

インタビューを終えて
 インタビューに着物で来てくださった石川さん。しなやかな仕草やピシっとした佇まいを見ていると、こちらまで久しぶりに和服を着たくなってしまうところは、まさに「着物大使」と呼ぶにふさわしい存在感でした。


石川さんに5つの質問!

お勧めの観光地
 日本だと旭川にある旭山動物園です。冬の雪祭りやべんぎんの散歩もオススメです。アメリカではグランドキャニオンでのキャンプがよかったです。

最も印象に残っている本
「タフ〜野生児タカハシ奮闘記」は、サンフランシスコに住む日本人、高橋正さんの信じられないようなパワフルな半生が書かれていて、とても面白かったです。

最近読んだ本
 「アイヌの世界〜ヤイユーカラの森から」(計良光範・著)をサンフランシスコ図書館から借りて読みました。北海道出身なので、もしかしたら自分の先祖かもしれないという気持ちで、とても興味深く読みました。子どもには5歳まで名前をつけないなど、文化が全く違うことが驚きでした。

自分を動物にたとえると?なぜ?
 熊かな?寒すぎると冬眠しちゃうんです。

座右の銘は?
 「才能とは夢を見続ける力のことである」。

(BaySpo 2010/06/11号 掲載)

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