一般編  Vol.147
服部 令さん
 1970年埼玉県生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、1993年三井信託銀行(現三井住友信託銀行)に入社。4年半の支店勤務後為替ディーラーとなる。2002年より金融に関する経験をもとに早稲田大学に勤務。人事部で主に年金制度、資金運用管理などの業務に従事。2008年に国際部に異動。2009年よりポートランドの早稲田オレゴンオフィスに駐在。2012年4月よりオフィス移転のためベイエリアに異動。高校、大学時代はラグビー部に所属。これまでに、ボランティアで母校(高校)のラグビー部の監督やコーチを務めた経験もある。
公私隔たりないネットワーク作りに励みたい
 早稲田大学サンフランシスコオフィス設立のために今年オレゴンから移転していらっしゃったばかりの服部令さん。新しい土地での生活について、お話を聞きました。
服部 令さん

(Satoshi Hattori)BaySpo 1250号(2012/11/09)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ、渡米した年
 2009年にオレゴン州ポートランドの早稲田オレゴンオフィスに赴任し、その後、今年(2012年)に、早稲田大学サンフランシスコオフィス設立のためにオレゴンから移転してきました。4月〜6月にかけては、バークレーにある日本学術振興会SFオフィスに一時的に席を置き、ベイエリアの情報や適切なアドバイスをいただきながら新オフィス設立のための手続きを進めてきました。ベイエリアへのオフィス移転は、これまで培ってきたポートランドでの学生交流中心の活動から、学生交流のみならず、研究面についても米国でのプレゼンスを高められるよう研究・教育両面で重要性の高いベイエリアに拠点を移し、西海岸での活動の強化を図るためです。8月に東京から鎌田総長や内田副総長らが来桑した際に、総領事主催による日米大学交流支援レセプションを、また、早稲田大学の地域同窓組織であるサンフランシスコ稲門会のみなさんには、早稲田大学サンフランシスコオフィス開設祝賀レセプションを催していただきました。

ベイエリアの印象
 ベイエリア内でもちょっとした移動で、天気や温度に大きな違いがあることに驚いています。また、日本との距離感や時差、天候、文化的な成熟度、自然環境など様々な面から見て、とても過ごしやすいエリアだと感じています。日系コミュニティーが大きく、早稲田大学の同窓の方々も多く活躍されていますので、公私ともに、さまざまな場面でお世話になっています。

自分の専門分野/現在の仕事
 早稲田大学サンフランシスコオフィスにて、教育・研究活動のサポートを行っています。教育活動のサポートは、これまでオレゴン駐在時から行ってきたプログラム運営、協定校との交流、留学生のリスクマネジメント、リクルート活動などです。ベイエリアにおいては、既にJUNBA(サンフランシスコ・ベイエリア大学間連携ネットワーク)には加入させていただきました。今後、日米の大学や研究機関との教育・研究活動につながる動きもしたいと考えています。研究活動については、研究者間個々人で進めるケースが多いわけですが、大学の組織力を持ってのアプローチを目指しています。

その道に進むことになったきっかけ
 もともとは約9年間、信託銀行に勤務していましたが、知人の影響で金融機関で得た知見を生かして大学(母校)のために働くという道に切り換えました。

英語で仕事をするということ
 米国内でさえもさまざまなアクセントや言い回しがあり、なおかつ世界中で使用されている言語ですので、多様性があり、特に婉曲的な表現はとても難しいです。反面「母国語ではないから」というある程度の割り切りもしています。

英語で失敗したエピソード
 これは英語というよりも、生活習慣の違いに近いかもしれませんが、研修でLAに滞在した時に、ホストファミリーと外で待合せをする際に、私が待合せ時間をSeventeen(17時)と言ったために、相手はSeven(7時)と勘違いしてしまったこと。郊外でしかも携帯電話も持っていなかったので、冬の暗い中で、ひとり泣くような思いをしました。それ以来アメリカでは、Military timeは使っていません。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に
 ホストファミリーの長男(20歳)は、忍者や武術に興味があったため、当初私を服部半蔵の子孫と勝手に思い込み、自分の宝物の忍者本を持ち出しては忍術についていろいろと質問してきました。一般に、侍や忍者に興味を持つアメリカ人はとても多いように感じます。もし、Hattoriという名でアメリカに生まれていたとすると、アメリカ人として、自らのルーツを探るべく忍者(あるいは日本)研究をしていたと思います。

生まれて初めてなりたいと
思った職業
 プロ野球選手。
いまの仕事に就いていなかったら
 飛行機が好きなので、航空関係。あるいは、教育にも興味がありますので教師でしょうか。(就職活動の際には、信託銀行にするか高校の社会科教員になるか迷いました)

休日の過ごし方
 暖かさを求めて、バークレーやサウサリートに足を伸ばします。

好きな場所
 サンフランシスコのFerry Building。仕事帰りにオイスターをつまみに海を見ながらビールを飲んでいます。

最もお気に入りのレストラン
 クパチーノにある「Gochi」。大学時代の同期の弟さんが経営するお店ですが、とにかく美味しい。

よく利用する日本食レストラン
 SFダウンタウンの「堂島庵」。それとSFダウンタウンのメトレオン内にある「Sanraku」。いずれもよく仕事帰りに寄らせていただいています。とても落ち着きます。

1億円当たったとして、その使い道
 早稲田大学への寄付(希望)、ベイエリアに家を購入(夢)、住宅ローンの繰上返済(現実)。

現在のベイエリア生活で、不便を感じるとき
 ベイエリアに限った事ではないですが、駐輪するときに頑丈すぎるほどのロックをかけなければならない時は不便です。

現在のベイエリア生活で
不安に感じること
 ベイエリアの気候が良い分、ここから出たときにその環境に馴染めるかが不安です。

日本に戻る頻度
 年に3〜5回。

最近日本に戻って驚いたこと
 日本に到着するたびに空港の清潔さを実感します。

日本からベイエリアに持って帰ってくるもの
 和食の素材、入浴剤(温泉のもと)。

お勧めの観光地
 ヨセミテ国立公園、軽井沢(星野エリア)。癒されるポイントに共通点があるように感じます。

最も印象に残っている本
 『The Essential Drucker』(Peter F. Drucker著)。初めて完読した英文の本ということで印象に残っています。

最近読んだ本
 『リーダーシップ入門』(金井壽宏著)。実用書が多いです。

最も印象に残っている映画
 『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズにハマっています。『オレゴンから愛』(昔のTVドラマですが)は、美しいオレゴンの景色が印象的で、ロケ地にも足を運びました。

最近観た映画
 『ALWAYS 三丁目の夕日 '64』。

自分を動物にたとえると
 クマ。見た目通りです。

座右の銘
 「天空海闊」。包容力のある人間でありたいと考えています。


取材を終えて
まだベイエリアに来て日が浅いとおっしゃる服部さん。おいしい食べ物に豊かな自然、文化の多様性など、さまざまな魅力のあるベイエリアをこれから楽しんでいって頂きたいと思います。

(BaySpo 2012/11/09号 掲載)

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