Vol.74
鈴木 優子さん
 岩手県出身。高校時代に奨学生としてアーカンソー州の高校に1年間留学し、帰国後東京外国語大学入学。途中リスボン大学、ウエスタンオンタリオ大学に各1年留学。卒業後リクルートに入社。1992年MBA取得のため渡米。卒業後はペプシコ本社、E&J Gallo WineryとPeople PC社、コンサルティング会社を経て2004年に独立。自身の会社Suzuki-Marketing Inc.を設立。2008年にはビジネスパートナーと共にVinAsia Inc.を設立し、カリフォルニア他のワインをアジアマーケットに輸出、およびPR&マーケティング活動を行う。家族はワイナリーに勤める夫と6歳の娘1人。
仕事とは社会に対する義務を果たすこと
 日本ではリクルート、そしてアメリカでMBA取得後にペプシコ本社、E&J Gallo Wineryなどに勤務をした後、独立。現在はマーケティング会社とワインの輸出会社を経営し、多忙な日々を送る鈴木さんにベイエリアでの暮らしぶりを伺いました。
鈴木 優子さん

(Yuko Suzuki)BaySpo 1290号(2013/08/16)掲載

ベイエリアに住むことになったきっかけ
 新卒で入ったリクルートを休職して1992年8月にMBAを取りにシカゴに渡り、本当は2年で帰る予定でしたが、卒業後ペプシコ本社に採用され、ミーハーにもニューヨークに住んでみたくなったのです。そこで当時の上司に「ニューヨークの会社に行くので辞めます」と脳天気にアメリカから電話をしたら、「バカもの!」と怒鳴られ、慌てて菓子折を持って日本に謝り帰ったというエピソードがあります。ベイエリアに来たのは、モデストからサンフランシスコに引っ越した1999年1月です。というのも、1997年に前職でダラスに住んでいた頃、ヘッドハンターに「ベイエリアの会社」に面白いポジションがあると誘われて来てみたら、実はモデストだったのです。地図で見るとモデストはサンフランシスコのすぐ隣に見えました(笑)。

ベイエリアの印象
 景色の色が濃いな、というのが最初の印象です。特に冬のダラスは曇りで寒い日が多く、どんよりしていましたから(プラス、その頃つき合っていた日本人男性と別れたばかりだったので・・・)この明るさに一発で魅せられました。

自分の専門分野について
 縦糸はマーケティング、横糸はワインだと思っています。マーケティングの会社、Suzuki-Marketing Inc.とワインの輸出の会社、VinAsia Inc.の2つをやっています。マーケットは日本を含め、香港、韓国、中国、台湾、シンガポール等のアジア地域です。マーケティング関係のプロジェクトは前者で、ワイン関係は後者で受けています。そのほかに日本の某商社の業務委託と日本の政府機関の仕事もしているので4つの名刺を持っています。

その道に進むことになったきっかけ
 マーケティングは、シカゴにあるノースウエスタン大学のケロッグ経営大学院でマーケティングを専攻したことです。ワインに関しては「ベイエリア」の会社だと騙されて(?)入社したモデストのE&J Gallo Wineryでマーケティングマネージャーをしたのがきっかけです。それまではほとんどお酒が飲めず、入社してからかなり叩き込まれました。また自分でもUCデイビスの講座をとったり、日本のソムリエ協会のワインアドバイザーの資格を取ったり、WSETの資格を取ったりと勉強しているうちに、どんどん深みにはまってしまいました。ワイン業界の人は面白く、情熱的で素朴な人が多いのです。気がついたら抜けられなくなっていました。

英語で仕事をするということ
 長年アメリカの会社で英語で仕事をしてきましたが、100%ネイティブの人と全く同じ土俵で互角に戦うのは本当に大変です。だから、自分が相手より優れているもの(例えば特殊技術だったり、資格だったり、「日本」だったり)を多く持っている方が楽に戦える。つまり自分が有利に戦える土俵を広げていくことが重要だと思っています。

英語で失敗したエピソード 
 独立したばかりの頃にお金を支払ってくれないクライアントがいて、調停に持ち込んだのはいいのですが、それが超泥沼化 。知り合いの紹介で、契約も結ばず安易に仕事を受けてしまったのが悪かったのですが、相手方は私が日本人であることを逆手に取って「英語がネイティブでないから誤解した」という論法まで使って攻撃してくるのには辟易しました。最終的に調停自体は勝ちましたが、弁護士費用が膨らみ、大赤字(笑)。

英語が100%ネイティブだったらどんな仕事に?
 弁護士。自分の苦い経験から、言葉のハンディのある人が不利にならないように守ってあげたいです。

あなたにとって仕事とは?
 家族の次。プライオリティーNo.2です。最初に入った会社の社風や仕事の仕方が一生付いてまわるといわれますが、私の場合もバブル絶頂期に新卒で入社したリクルートが、いい意味でも悪い意味でも私の原点になっていると実感しています。オフィスに垂れ幕が下がっていて、毎朝「エイエイオー」でしたから(笑)。仕事をすることは、自分の社会に対する義務を果たすことだと思うので、対価を頂くのであれば少しでも誰かの役に立つことができればと思っています。

生まれて初めてなりたいと思った職業
 今の私からは到底信じがたいのですが、小さい頃は病弱で入退院を繰り返していたので、主治医の優しい女医さんに憧れて、小学校の文集にはいつも「小児科医になる」と書いていました。

いまの仕事に就いていなかったら
 実家のある岩手県のどこかで小児科医をしていたと思います。今でも医療関係のドラマにはつい見入ってしまいます(笑)。最近ハマっているのは『救命病棟24時』です。

好きな場所
 ナパのカーネロスにあるCuvaisonというワイナリーのテラス席。きれいに手入れされたブドウ畑が見渡せます。ベイから吹き込む風を受けながらデッキチェアーに寝そべって、冷えたシャルドネをのんびり飲むと幸せです。

最もお気に入りのレストラン
 ヨントビルの「Ad Hoc」。有名なフレンチランドリーのサードレストランですが、ファミリースタイルのカジュアルなレストランです。メニューは日替わりで4コースメニュー1種類(52ドル)だけ。何が当たるかはレストランに行ってからのお楽しみです。ボリューム一杯で、大勢でワイワイ楽しめ、しかも味は超一流。予約を取りづらいのが難点ですが。

よく利用する日本食レストラン
 キャンベルにある「Sushi Zono」は我が家の第2の食卓と化しています。サンフランシスコにいたときは「Okina Sushi」によく行きました。

最近お気に入りのワイン
 DuMOLの「isobel」(シャルドネ)とHirschの「San Andreas Fault」(ピノ・ノワール) 。

1億円当たったとして、その使い道
 香港か東京に支社を設立したい!

最近日本に戻って驚いたこと
 頻繁に帰っているので浦島太郎状態ではないのですが、最近の若い人たちが妙におとなしいのに違和感を感じます。私たちがその年代のときはイケイケドンドンの時代だったというのもあるかもしれませんが、もっと元気でもっと楽天的だったのに、と。彼らに元気になってもらわないと日本の将来は無い、とちょっと心配です。

日本に持って行くお土産
 日本でまだ売られていないカリフォルニアワイン。

永住したい都市
 やっぱりベイエリア。特に少し前に灼熱、高湿度の日本から帰ったばかりなので・・・(笑)

5年後の自分に期待すること
 今のビジネスを大きくして、もっといろいろな良いワインをもっと多くのアジアの人たちに届けたいです。ワインはライフスタイルであり、文化とは切っても切り離せないものだと思うので、そういったエデュケーション活動も広くしていけたらと思っています。それから5年後には私の出身地の岩手県コミュニティに貢献することもしていたいですね。また、例えば、岩手出身で海外で起業している人たちのサポートコミュニティを作るとか。単なる社交的な県人会組織でなく、情報リソースになったり、企業のサポートをしたり、スポンサー・サポーターを募ったり、地元の企業団体や政府も巻き込んでのプラクティカルなコミュニティができないかなど、アイディアの段階ですが考えています。

最も印象に残っている本
 フェラーリ社の社長Gian Luigi Longinotti-Buitoniの『Selling Dreams』。唸りました。それから、葉山孝太郎の『ワイン道』。ワイン業界に入って一番最初に読んだ本。ジョークがいっぱいの愉快な本ですが、よく読むと緻密な知識に裏付けられたすごい本。後に葉山さんと一緒に仕事をする機会がありましたが、サービス精神旺盛な気さくなおじさんでした。本当はすごい方です!

最も印象に残っている映画
 少し前の映画ですが、工藤夕貴主演の『Snow Falling on Cedars』。目が腫れる程泣きました。それから、Will Smithの『The Pursuit of Happiness』。うちの主人がちょい役で出演してるんです(笑)。

座右の銘は?
 「自ら機会を造り出し、機会によって自らを変えよ」。大学卒業後入社した、リクルートの社訓です。入社するとそのプレートをもらうのですが、どこへ行くときも一緒に持って回りました。今でもオフィスの机の前に置いてあります。

(BaySpo 2013/08/16号 掲載)

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